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【Webライター】下手したら裁判。情報をSNSやQ&Aサービスで調査してはいけない理由

自分の記事に掲載する情報を、SNSやYahoo!知恵袋、教えて!gooなどのQ&Aサービスで探しているライターを、何度も見かけたことがある。

あるいは、情報収集に困っているライターさんに「まずはSNSやQ&Aサービスでニーズを把握してみましょう」なんてアドバイスをしているライターや編集者もいた。

とんでもない。これらのアドバイスは、自身で情報を精査するスキルがないライター初心者は、"絶対に"従ってはいけないものだ。

一見有用に見えるのだが、この方法にはとんでもないリスクが潜んでいる。

注意喚起を促すためにも、そのリスクについて解説したいと思う。

①著作権侵害で訴えられるリスクがあるから

Twitter社のガイドラインによると、「Twitterのサービスを利用した上でのRTや埋め込み」については許諾されているが、発信者の著作権自体は手放されてはいない。

過去に訴えられた例としては、スクショでツイートを転載したものや、イラストの無断転載などが挙げられる。また、ブログや別のサイトの内容を無断転載したツイートをRTしたことで訴えられた、という例もある。

こうした情報の転載に関する発信は非常にデリケートな問題なので、十分注意して扱わなければならない。

また、裁判とまではいかなくても、自分のツイートを勝手に掲載された投稿者がサイトの運営者やライター宛に「記事の訂正」「記事の非公開」「使用料や賠償金の請求」などを求めるトラブルは日常的に起こっている。

②記事の読者と情報発信者の属性が一致しているとは限らないから

記事を作るときには、必ず読者像(ターゲットやペルソナ)を設定する。記事を書くときは、この読者像を踏まえた上で情報を拾ってこなければならない。

ところがSNSなどをはじめとするインターネットコミュニティは匿名性が高く、読者像がズレることがしばしばある。

例えば、「若者向けのおすすめ商品」の記事を書くとして、SNSなどで調べた場合、その情報を発信しているのが若者とは限らない。商品を売る側の人間が若者のふりをして発信しているケースだってある。

こうした場合、読者からしばしばツッコミを受けることになる。「それは若者向けじゃない」「この記事はちゃんと調べて書かれているのか?」など、記事自体の信用性に関わる問題に発展することも少なくない。

③確証バイアスが働くから

人間は、自分が正しいと思っていることについて情報を集めようとすると、自分の仮説とは違う情報をスルーし、正しいと思っている情報ばかりを集めるようになる。これを「確証バイアス」という。

マスメディアやSNSの世界では、しばしこれは起こりうる。ある問題発言に対して、99%の人から批判されているにもかかわらず、1%の賛同者の意見のみを拾って「私は正しかった」と結論づけている人の例は、SNSやニュースを見ればごまんとある。

SNSで情報を集める難しさはここにある。SNSには色々な意見があるが、その正しさまでは担保されていない。

結果、少数派の意見を取りあげて記事を書いてしまい、一般読者から袋だたきに遭うということも珍しくない。

④正しい情報とは限らないから

SNSや(とくに)Q&Aサービスは匿名性が高く、デマも飛び交っている。

過去、コロナをはじめ大きなニュースがあるたびに、素人はもちろん、専門家を名乗る人であっても間違った意見を発信し、被害者を増やしてしまったケースは後を絶たない。

また、本人はデマのつもりはなくても、情報が古かったり、他の人に伝わる際に内容が歪曲してしまうこともよくある。

「SNSで誰かが投稿していた内容」「匿名性の高いコミュニティや掲示板」で得た回答については、その情報が正しいかどうかを確認するステップが必要になる。

使い分けることが大切

上記のようなリスクはあるものの、だからといって「一切合切使うな」ということを主張するつもりはない。

「類似商品はあるか」「今のトレンドは何か」など、市場の情報やニーズを探る上では十分に役立つ。一方で「情報の正しさ」を確かめるには向かない。

要は、使い分けだと思う。

どういう情報を取りに行くときはSNSで調べるべきなのか、また使うべきではないのか。

情報ツールの性質をある程度知っているライターじゃないと、使うのが難しい。

少なくとも上記のリスクを踏まえた上で、少しでも危険に感じるのなら別の情報手段を模索してみることもおすすめしたい。


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