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僕らの「非モテキ」Kazさん編

桐崎美玲です。

兼ねてよりアナウンスしておりました企画、

僕らの「非モテキ」

がいよいよリリースです。
ここに至る経緯についてはまたブログでご紹介させていただきます。

本編に入る前に少しだけ、、

僕らの「非モテキ」が目指すところは
・先人たちの失敗を集めることで共に更なる高みを目指す。
・失敗を肯定して次に進む道標を作る。
・俺にもあったなぁとどこが懐かしい気持ちになる。

というところです。とはいえ僕らの「非モテキ」は桐崎ひとりでは作り上げられません。
皆さんの協力が必要です。
2回目以降も続けていくために皆様投稿よろしくお願いします。

それでは本編にまいります。

創刊号はこの企画の発起人にあたるKazさんです。
第1話については既にKazさんのブログでリリースされております。未読の方はまずこちらをご覧ください。

そして本noteでリリースされる2話目についても導入部分がKazさんのブログにてリリースしております。

つまり、これ以下の本文はKazさんのブログを読んだ方のみ進めるようになっております。
実験的要素も含まれた 僕らの「非モテキ」スタートです!!

非モテキ②

メールでのやり取りの末、デートの約束を取り付けた。
やってきたのは海の綺麗な街だった。
学生時代、頑張って働いた給料で(今よりも可処分所得多かった泣)、当時の僕にとって最高にオシャレなレストランを予約し、彼女を連れて行った。
ちなみに、当時の僕は「牛角よりうまい焼肉屋は存在しない」と本気で思っていた。そんな僕が、ない知恵を総動員して見つけ出したお店。
まあ、食べログでいうと2.8ぐらいの店だ。

その日まで僕は告白するシーンを、何度も何度も何度も頭の中でシミュレーションしていた。
何時に店を出て、どの辺りで和んで、どう告白するか。
もちろん告白する言葉も完璧だ。しっかり携帯に打ち込んで保存していたほどだ。

こんなにおシャレな店で食事をして、こんなに綺麗な夜景の前で告白されたら、彼女はきっと落ちる筈だ。
いや、落ちるに違いない。

**だって、腕を組んで来たんだから!(でもちょっと不安) **

2人でビールを飲んで、店の外に出る。

「今日は確実に目的の場所まで歩いたのだが、レストランからの動線を全く考えていなかった。

レストランから出て、目的の公園までかなり遠い…

告白する場面のシミュレーションは完璧だったが、そこまでの動線については全く何も考えていなかった…早くも要領の悪いポンコツ具合が露呈した。ポンコツは何も今に始まったことではない。

(今グーグルマップで調べたら2kmあったよ…)。

これは、せっかく良いレストランで良い雰囲気を作ったのに、全てが台無しになるのにはちょうど良い距離感だった。

時期は真夏だったので、さすがに2kmも歩くと、汗ばんでくる。

「Kazさん、どこ行くんですか?」

「良いからついてきてよ」

僕は半ば必死だった。

状況に応じて臨機応変にやる余裕など当時の僕にはない。

「こう」と決めたらそのストーリー通りに行かせることしか頭には浮かばない、周りの見えなくなるタイプだった。

ほろ酔いの良い雰囲気で~、手繋ぎからの〜からは程遠い。

途中で酔っ払いに絡まれる。

「よ、これからホテルかい。」

…殴りかかってやろうかと思ったが、目的はそこじゃない。耐えるんだ、俺。

もう、ダメだ。うまく行くイメージがわかない。

やっとの思いで公園に着く。

海の見える公園のベンチに座った。
(僕の中で)最高にオシャレな雰囲気だ。

彼女は今まで歩かされたことなど忘れたかのように、夜景に興奮していた。
さて、やっと本番だ。
僕は今から告白する。
心臓が止まりそうだ。
中学生のとき、好きな子の家に電話で告白したときと同じ気持ちだ。
その子のお母さんが、不審そうな声でその子に電話を取り次いでくれたっけ。
それで、見事撃沈した。
ふふ、いい思い出だ。

・・・やめよう。縁起が悪い。

「あのさ、俺・・・。」
やっとの思いで切り出す。
あまりの緊張にのどが詰まる。言葉が出てこない。
「サナエの事・・・好きなんだよね。…つ、つつ付き合ってもらえないかな?」
つつき合うと伝えたかった訳ではない。
「付き合う」だ。
しかし、よくこんな告白をしたものだ。
非モテがよく使う、**自分を守ろうとする姑息な言い回し。 **

自分を相手の下に置いているところも気持ち悪い。思い出すだけで、反吐が出そうだ。
最後のほうは緊張で、声が立ち消えていたかも知れない。
いずれにせよ、一番女が本能的に見る「自信」が圧倒的にない事だけは十分すぎるほど伝わったと思う。
何もする前から、いきなりパーソナルな部分をぶつけ合わせようとする「告白」という行為は、「言葉」という情報伝達だけで関係を持とうとする最悪の手である事に、この時はまだ気づいていなかった。

女のセンサーは基本的にバグだ。人の脳とアニマルの子宮が矛盾する事なく存在している。
男から見ると矛盾しているが、彼女達の中では、それは対立する概念ではない。

だから皆、女の「言うこと」は信じないわけ、「行動」しか信じないというのはそういう事。

「告白」がうまくいくのは、男が女にとって好みの見た目であるか、オスである事を、相手の女性に本能的にアプローチできた時だけである。
それは時にキスやセックスかも知れないし、仕事で頼りになることを見せることかも知れない。
いずれにせよ、なよなよと告白してくる目の前の男に対して、OKという返事が来るわけがない。
また脱線した。当時の自分の行動を振り返り、何が悪かったのかを分析する機会になってしまってるな。

話を戻そう。

とにかく、彼女は驚いていた、すごく。
「え?」
まさに青天の霹靂と言う表情。
僕が食べログ2.8のレストランにご飯に誘って、2キロ歩かせたとはいえ、途中で酔っ払いに絡まれたとは言え、この夜景だぞ!告白の流れだろ、どう考えても!(イヤ違うだろ)
お前もテンション上がってたじゃないか!
彼女は驚いた表情のままだ。
(どっちだ、嬉しくてその表情か?「まさかそんな」の表情か?)
僕は彼女の顔を覗き込んだ。
彼女はうつむいたまま、しばらく考えると

「ごめん」

と小さな声で言った。

(そうか…)

不思議と納得感はあった。

でもなんで、腕なんて組んだんだ。

聞くと、どうやら彼女は 特に僕に好意を抱いてわけでもなく あの日僕の腕を組んだのはただ単に酔っ払ってそうしただけのことであるとのことだった。

「そっか」

(「そっか」じゃねーだろ!全部間に受けてんじゃねーよ!その時は「そういう気持ち」だったんだよ!今日はゴタゴタして、雰囲気もないし、そういう気持ちに彼女がならないだけだろ!逃げ口上だよ、彼女の!テイよく断られてんだよ、お前は!)

…ふぅ。

しばらく気まずい沈黙が続いた。ぼくは勝手に自分の気持ちを伝えられたことで、ちょっとすっきりしてしまっていた。。

「ま、少し考えてみてよ。」
僕はそう言うと、気まずい雰囲気を少しでも良くしようと、明るく振る舞った。
「うん…。」

彼女はうつむいたまま黙っている。
僕は自分の気持ちを打ち明けて気持ちが楽になっていたので、どういう経緯でサナエを好きになったかということを、とうとうと説明した。そこには嘘偽りはなかったし、本心を伝えたまでだ。
「ありがとう。嬉しいよ」

サナエはそれだけ言った。
しばらく2人で、ベンチから光る海を眺めていた。
恋が潰えてしまった辛さと、自分の気持ちを伝えてスッキリと言う、なんだか表現しづらい感情になった。
…気が付くと終電の時間がなくなっていた。
僕は「今日どうしようかな」と言いながら、とりあえず駅まで送ることでした。 駅に着く頃には、彼女の終電までなくなっていた。彼女は僕と一緒にいるのは別に嫌ではなかったようで、なんとなく2人でどこかに行こうという話になった。
正直、僕は当時あまり夜更かしをしたことがなかったので、寝られる場所であればどこでもよかった。
駅に着くと、そこにはマンガ喫茶、カラオケ、ラブホテルがネオンを光らせていた。
今でこそ当然何事もなかったかのようにホテルに直行するが、当時は付き合う前の接触というのはしてはならないという固定観念にさらされていたので、カラオケか満喫に行くことにしようという話になった。

カラオケは周りもうるさいし、やっぱりここは漫喫だろうということで、満喫に2人で入りカップルシートで2人並んでいることになった。
ここまでして、自分でもこれを書いていて信じられないが、その日は特に何もせずにいっしょに寝た。
本当に指一本触れる事なく。
そして朝を迎え、そのまま2人で寝ぼけまなこで家に帰ったのだった。
続く

・・・


Kazさんありがとうございました。

非モテ時代の自分に確かなツッコミをすることで僕たちが学んでいる恋愛工学のおさらいができますね。

僕は思うんですが、どんなどきでも余裕を持って、胸を張っていれば大抵の女性は嫌悪感を示さない気がします。(当然身だしなみ等のゼロラインはクリアしたうえで)


さて続きが気になる皆様、安心してください。続きますよ!!

僕も気になります。


僕らの「非モテキ」次回お楽しみに。


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