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Vケット開催から見つめ直すアバター文化

バーチャルマーケット2最高に楽しかったです。

通称「Vケット」は動く城のフィオ氏を主催として今回で2回目となる、仮想空間上で3Dアバターやモデルを試着・鑑賞できる展⽰即売会です。

私は1回目に参加できなかったので、今回始めて一般参加で見学しました。Vケット自体の感動はまた別にまとめたいと思います。

さて、今回のイベント開催と同時並行で公式配信があったのですが、閉会式配信の後に「バーチャルマーケット打ち上げ配信 in 異世界酒場」が副主催の水菜氏のYouTubeチャンネルで行われていました。

途中から視聴していたのですが、ねこます氏とアバター文化について話しているところがとても共感できるものだったので、自分の考えも交えて文章化してみます。

アバター文化の今昔

配信の中で幾度となく出現したキーワードが「アバター文化」。

端的に表すと「すべての人間が(現実空間とは別の場所で)なりたい自分になる文化」といった具合だと理解しています。
この欲求はとても普遍的で根源的なものなのではないか、としきりに言われていました。

インターネット上で他人と交流する文化がある人にとって、アバターという存在はとても大事な観点というのは理解してもらえると思います。
これはアイデンティティであり、その人の性格や言動を決定づける重要な要素になります。

未だVRのアバターに触れたことがない人でも、以下の例にこだわりを持っている人は多いと思います。

・SNSアカウントのアイコン画像
・ネットサービス、ネットゲームの自キャラ

時代を遡るとまだネット回線が十分に発達していない頃、ただの文字だけのチャットよりも任意のアイコン画像を選択して発言できるチャットの方が盛り上がっていたのを覚えています。
さらにこの頃、インターネットという概念を話に盛り込んだ作品などで「アバターを持つ」という(当時は特殊な)行為がしきりに描かれていました。

その後アバター作成を中心に据えているサービスもたくさん生まれ、「これは産業であり十分に収益化できる」という事実を歴史に残しています。
(例えば、ハンゲームとかアメーバピグとか)

「自分ではない誰かになりたい!」という欲求を簡単に満たせるのが一般的なアバターを持つ理由であり、ここまでの文化を歴史上最も現実空間に近いレベルで昇華させたものがVRにおけるアバターと言えるでしょう。

異世界転生

次の面白かったテーマがこれ。

異世界転生モノが流行っている理由も、このアバター文化に近いものがあるのではないかという仮設。

社会的ネットワーク(ソーシャルネットワーク)の概念を例にして説明すると、社会の形成には「ノード(nodes)」と「つながり(ties)」が必要で、nodesがアバターにあたります。そしてアバターを被った自分を認識してくれる他者(及びコミュニティ)が必要であり、これがtiesになります。

現代の日本では精神的な貧困も問題視されていますが、異世界転生モノで手軽に社会的ネットワークによる充足感を得ている、というのが正体。

日本のオタク産業はこの傾向が非常に強くて、以下要素を満たしているものが多い気がします。

・現実の生活(家族・学校・会社など)と分離して楽しめる
・現実とは異なることを思考・体験できる
・同好の士を見つけることができる

このように社会が形成されているからこそ、そこに文化が自然発生するのではないでしょうか。

社会に参加するためには、自分がそのネットワークに参加している(nodesになっている)ことを実感できないといけません。ドラクエで「メラを使える自分」と「メラを食らってくれるモンスター」がいることが大事。というのは納得感がある例えです。

将来VR空間上でも十分なソーシャルネットワークが構築できるようになれば、それこそ本当にVRの時代がやってくるでしょう。

はやく私も異世界に転生したいです。

VTuberブームとバーチャル世界の産業

さて、ここまで行くとVTuberが日本のオタクにウケている理由もわかってきた気がします。

しかしながら、VTuberは既にタレント業と化していて、プロモーションの一種であり、アバター文化とは同列に語れません。ここまでに話したアバター文化とVTuberブームを混同していないか?というのが配信中でもホットな話題の一つでした。

勘違いポイントはVTuberはアバター文化の何段か上にあるもので、本来土台としてあるべき産業がまだ抜け落ちてる状態であるということ。

現在Vケットを筆頭に、VR空間上で何かをするということ自体に可能性を感じている人は、そこに新たな経済圏が生まれるのを期待していると思います。そうなった時にようやくプロモーターとして、VTuberが本当の意味のバーチャルタレントとして活動できるはずです。

そのためにもちゃんと第一次産業としてVR空間のアバター文化を広げるのは意味のある活動だと思うし、水菜氏が配信でつぶやいていた「VRアバター改変のオンリーイベント(第二次産業/二次創作)」は、個人的にもとても興味ある文化圏です。

そもそもVTuberはアバター文化にアイドル文化が混ざったものと私は見ています。VTuberファンとアイドルオタクはほぼ同じムーブをするというのが1年以上観察して得た私の知見。

ここも配信上の両氏と同意見なのですけど、アイドル冬の時代があったのと同じようにVTuber冬の時代がくる可能性は否めませんが、パフォーマンスをすること自体に流行り廃りがないのと同様に、アバター自体がオワコン化することはなかなか無い気がします。

「お前が櫻歌ミコになるんだよ!」

ここまで長々とアバターについて言語化してきましたが、最後に一番面白かった話。

水菜氏がバーチャルマーケット開催にあたってインタビューを受けた際に、「アバターってどういうことなんですか?」という質問を受けたそうです。正直これに完璧な答えを返すのは難しいと思いますが、ねこます氏曰く

「いいからヘッドマウント付けて……、お前が櫻歌ミコになるんだよ!

みんなもまずは自分のアバターを手に入れて、なりたい自分になろう。

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