青木真也へ捧ぐ

2022年3月26日のONE Xにて、青木真也が秋山成勲に負けた。

秋山選手にとって気持ちいい記事になるかわからないので始めに書いておく。秋山選手、おめでとうございます。正直試合前はどれだけ動けるか懐疑的だったけど、現役のプロなんだと見せつけられた思いです。

では以下言いたいことに戻ります。

青木選手は連勝中で、ちょうど実力を証明し直したところだった。ONE Xっていうお祭り色も少しある大会で因縁の秋山戦を制して、タイトル挑戦、というのが恐らくONE側の描いたシナリオ。

私は正直、秋山選手は負けて、引退表明するのかもしれないとすら思ってた。(秋山選手ごめんなさい)

でも、試合から離れて久しい46の選手に、青木は負けた。この事実を背負いながら、もう一度タイトル戦に向けて作り直すのは、青木選手の年齢的に結構厳しいかもしれない。

ONEのトップコンテンダーとしての青木真也が、この試合で終わるかもしれないのは、残酷すぎる事実だ。

秋山選手は46に見えない身体を作り上げていて、厳しい減量もクリアして、試合が始まってみても、思った以上に現役のMMAファイターの動きをしていた。

ただ青木選手ではない現代のMMAファイターと試合したら、多分秋山選手はそんなに勝てないんじゃないかと思う。秋山選手のメンタルは素晴らしいが、全てに高いレベルを求められる現代MMAは厳しいし、青木選手に対して脅威になった部分は、他の選手にはそんなに通じないのではないか。

でも青木真也選手にバックをがっちり取られても極めさせないで耐えきって、攻め疲れた青木にパワーでまとめきる。柔道家としての技術、パワー、強い気持ちがないと出来ない。秋山選手は青木選手にとって実は、ちょうどめちゃくちゃ嫌な対戦相手だったのかもしれない。

青木選手は秋山選手を絶対に舐めてなかったと思う。性格的にも、誠実に貪欲に試合の準備をしたはずだ。それもあって傍から見たら青木選手が有利だったと思うし、近年の実績は青木選手の圧勝だったから、今回の結果は番狂わせではあった。


ただ、青木真也には、呪いがかかっていて、番狂わせよりも呪いを解けなかったことがショックかもしれない。


それはビッグマッチに弱いこと。タイトなONEのタイトルマッチなんかはかなり結果も残しているので、そういう意味でのビッグマッチではない。順当に行けば青木選手が勝ちそうな、日本人選手相手で注目度の高いビッグマッチにはなぜか負けてしまう。

プロレスとMMAの交差点に時々現れるような、いかにも青木選手が得意そうなそんな試合で、青木選手は衝撃的な負けを喫してきている。
自演乙戦しかり、マッハ戦しかり、青木ワールドバリバリなはずのマッチアップで、どうも負けてしまう。

秋山選手との試合も、多分そういう試合だ。そこで負けて、またなのか、そんな思いも、私は抱いてしまった。


これから青木真也は、呪いをとけないまま、ONEのタイトル戦線から離れていくのかもしれない。そうなってしまったら、秋山戦はなんと残酷な試合だったのかと思う。

秋山選手に殴られ続け、パワーでも押し込まれてもう踏ん張れず、組みつこうとするも力が入らない。あの時の青木真也の表情は私の脳裏から当分消えそうにない。あの苦しそうな青木真也がもしもこのままMMAの前線から消えてしまうなら、こんなに辛く悲しいことはない。

辛く厳しい道のりになると思うけど、もう一度だけ、強い青木真也を見せて欲しいと、切に願う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?