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【自由詩】スニーカー

蝉が潰れていた
油蝉だろう色だった
気持ち悪くて怖いのと同時に
どんな音で潰れたのだろうか考えた
きっと食事の時
うっかり頬を噛んだ
その歯と肉の触れ合う瞬間のような音で
潰れて拉げたに違いない
蝉が潰れていた
わけもなく右足だけ足踏みした
スニーカーはきちんとスニーク機能を持っていたので
なんの音もなかった
蝉は潰れていた

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