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関係性のはざまで

 世の中には自分だからこそ体験できないことがある。それは男女の違いのような健在化しているものもあれば、そもそも意識にのぼらないものがある。自分である限り、決して見えないし、触れられないもの。それを体験した人から教えてもらうことは、自分の視野を広げる上でとても大事だ。

 時々、人と話していて「そんなことあるか?」と首を傾げるようなことがある。この前も、ある人が「男女限らず故意にぶつかってくる人がいる」と言っていた。

 それは確かに怖いと思ったが、同時に僕はそういう体験をしたことがなかった。
 平均よりも身長が高く、そこそこ肩幅も広いので、どちらかといえば、人が避けていく。

「ぶつかってくる人」の話は、これまでも何度か聞いたことがあった。きっと身体の小さい人や、弱そうな人が狙われているのだろう。けれど、おそらく僕は話を聞かなければそのことを知る機会はなかっただろう。

 体験できないのではなく、そもそも気づかない体験がある。それについて話す機会はなかなかない。

 だって、体験している人にとっては日常で、体験していない人にとっては注意を向けることはないからだ。わざわざ話題にあげることが難しい。

 雑談の中で、気泡のように湧き上がってきて、そして消えていく。

 でも、実はそういうものが「わたしとあなた」に溝を作っていると思う。だから、その部分を丁寧にすくいとれるようになっていくと、お互いの関係性はすごく深まっていく。

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