言葉を尽くしても伝わらないこともある

 自宅のネット回線業者を乗り換えようかと検討していて、幾つかサイトを見たり、資料を取り寄せたりしていた。

 その中でたまたま候補の会社の店舗が近所にあったので、取り寄せるよりも行って話を聞いた方が早いと散歩がてらに訪ねました。

 他にお客さんもおらず、長くても15分くらいで終わるだろう、と思って入りました。

僕「ネットを他社から乗り換えようと思って、資料と話を少し伺いたいんですけど」
店員(以下「店」)「いらっしゃいませ。どうぞおかけください」

 第一印象としては、特に引っかかるところはない普通の対応だった。

 けれど、次の一言で住所を聞かれた。
 店員さんの理屈としてはわかる。顧客情報があった方が話が進めやすいだろうし、対応エリアなのかを調べる必要もあるのでしょう。
 ただ、その後の予定があった僕としては話を長引かせたくなかった。

僕「あの、まだ検討段階なので、少しお話を伺えればいいんですよ」
店「いえ、すぐ情報が出ますから」
僕「でも僕は〇〇さん(業者)とは契約してないですから、情報が出ないと思うんですけど」
店「大丈夫です、契約しなくてもデータが出ますから」

 店員さんの名誉のために書いておくけれど、柔和な雰囲気で押しの強い方ではなかったです。
 ただ、自分の言っていることが伝わっていない感触だけはありました。
 けれど、どうも僕のデータが出てくるらしい。
「契約していない会社に自分の個人情報が見れるのってどうなんだろう?」と思ったけれど、自信満々に言うので、きっと通信会社同士で情報を限定して、共有できるようなシステムがあるのだろうと勝手に納得しました。

 しかし、10分くらい待てども出てこない。

 僕は少し特殊な家に住んでいて、宅配便の業者なども時折迷って電話をかけてくるので、それが原因だと思っていました。事実、そのことも店員さんに伝えました。

 どれだけ検索しても情報が出てこないので、だんだん店員さんが焦ってきていました。

「あの僕は契約を持ってないから、出てこないんじゃないですか?」
 ともう一度尋ねたのですが、そこだけは自信満々に否定されました。

「資料かなにかはありますか? それがいただければ結構です」と言って席を立とうとしたら、資料はいただけたのですが、「今確認しますから」と電話をとって、どこかにかけ始めてしまった。

 流石に席を立つわけにもいかずに待ってみると、電話をかけてもわからないらしい。ただ、ヒントは得たようでした。なにか書類の中から契約書みたいなものを出してきて、

店「すいません、こういった契約番号やIDってわかりますか?」
僕「いや、ありません。だって、僕は〇〇さんとは契約していませんから」
店「えっ! あっ……そういうことですか! ということは他社さんからの乗り換えですか?」
僕「はい、そうです」
 ようやく話が通じたようで、それから5分で終わりました。

伝わらないことを嘆く必要はない

 僕はずっと1つのことを伝えているつもりでした。
 言葉を尽くして、言い方を変えて伝えていたつもりだったのに、それは伝わりませんでした。

 人と人とのコミュニケーションはやっぱり1人では成立しなくて、どちらかに阻害する要因があるだけで、簡単に不全に陥ってしまう。
 それを強く思い知らされました。

 でも、裏返せばコミュニケーションが成立しないのは必ずしも自分が原因ではないということです。
 実際、他者に隠したいことの1つや2つくらい持っているわけで、伝わらないことがありがたく感じられることだってあるでしょう。
 思い通りに伝わらないからこそ、そして思い通りに受け取れないからこそ、僕達は相手をもっと知りたいと願い、わかろうと言葉を尽くすのではないでしょうか?

 なかなかにハッとさせられる出来事でした。

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本田

日々の思考と記録

毒にも薬にもならないけれど、身体に染み込むように、思ったこと、考えたことを自分の言葉で書きます。拙くたって、伝わらなくたって、真摯に書く。
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