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世界は広すぎてもピンとこない

「井の中の蛙大海を知らず」ということわざがある。
 簡単に言ってしまえば世間知らずに対する皮肉だ。

 けれど、世間知らずの方がもしかしたら生きるのが楽しめるかもしれない。井の中の蛙はその井戸から出た時に、驚きと感動を得られるのだから。

 確かに見聞きする世界が狭ければ、視野も考え方も狭くなってしまうかもしれない。でも、だからこそその枠を破るチャンスもたくさんある。

 そもそも限界を知ることすらできないまま死ぬってことは、それはそれで不幸なのかもしれない。限界を破る時に人間は大きく進化するのだから。

 今や小さな子どもでも当たり前に触れられるネットの世界は、ひたすらに広大だ。だから、世の中には上には上がいて、自分はちっぽけだって簡単に知ることができる。
「もっと凄い人いるよ」と子どもは言う。

 ただ、それは少し寂しい気がするのだ。
 仲の良い友達の中で切磋琢磨するからこそ、楽しんで進んでいける。小さな世界の中で、根拠のない自信をはぐくむのだ。
 初めから大人に断崖絶壁のような差を見つけられては、勝負を諦めてしまっても仕方ない。

 単なる安心感だけではない。それを破り越えていくために学校や家庭はあるのだろう。

 そういえば、一説によると冒頭のことわざには後付けの言葉があるらしい。

「井の中の蛙大海を知らず。されど、空の青さを知る
 いくつかのパターンがあるが、意味はさほど変わらない。

 自由であることと枠があることは打ち消し合わない。自由の中に制限があり、制限の中に自由がある。だから、時に制限が思わぬ発見を与えてくれるのだ。

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