3/19 明治安田生命J1リーグ第5節 VS. 北海道コンサドーレ札幌 @ ヨドコウ桜スタジアム

ワールドカップアジア最終予選による中断前最後の試合、ヨドコウ桜スタジアムに北海道コンサドーレ札幌を迎えての第5節は2-2の引き分けとなった。

メンバー

セレッソ大阪は、前節負傷した清武がメンバー外となるが、乾が復帰即スタメンに。また進藤とブルーノ メンデスもスタメンに名を連ねた。
一方、トップチーム関係者に新型コロナウイルス陽性者が出た北海道コンサドーレ札幌は、前節からスタメンを5人変更。GK菅野を筆頭に多くの主力がメンバー外となった。

試合雑感

セレッソの前線からのプレス

札幌のボール保持はいつも通りのミシャ式。3バックの間にCHが降り、3CBの両サイドがSB化。WBが最前線の大外を担う4-1-5でセレッソのゴールに迫る。
これに対してセレッソは前線からのプレスで対抗した。
昨年の小菊セレッソもミシャコンサに対しては前線からのプレスを敢行していたため、小菊監督の中での対ミシャ式については前からのプレスが第1の選択肢となるのだろう。
また、札幌はコロナの影響によりメンバーの変更を余儀なくされている状況もその選択をする後押しとなったかもしれない。

結果的に、セレッソの2得点は札幌のビルドアップのミス(2点目についてはクリアミスか)によるものだったから、策が当たったとも言える。

セレッソが前からプレスを掛ける際に、札幌の4-1-5に対して、セレッソの4-4-2のうちセンターハーフを札幌の1にぶつけるマンツーマン気味にがっぷり四つを組めれば、効果的なボールを奪える守備として機能していた。
まさに1点目はそのような形で、GKのパスがずれたというところもあったが、前線からのプレスによりボールを奪取しゴールに繋げることができた。

しかし、その裏返しに前からのプレスを外されオープンな展開でセレッソ自陣にボールを運ばれる場面も目立った。
この点で苦慮を特に強いられていたのは山中だったかと思う。

ミシャ式の基本型は4-1-5となるのだろうが、相手からのプレスを外すためには、3-2-5や5-0-5と人の位置を調整しながら、ボールを回し守備のズレを狙ってくる。
このズレという点で、左SHの乾が札幌の4バック化した際の"右SB"を見れる形でプレスを掛けれない形になると、山中の前が苦しい状況になる。

この試合、山中が札幌のWG(元WB)に振りきられる場面もあったように、足の早さに強みがある選手ではない。札幌の言わば5トップのうち、WG(元WB)が前線大外にいることで山中をピン止め。ピン止めというと要は、山中にとって札幌のWGが近くにいる以上、それを見捨てて前線と連携して前に出てプレスに行くことが難しいということ。
そうなると、山中が前に出れない以上、乾が札幌の"右SB"を見れないとそこがフリーとなる。札幌はそこにボールを届けることに成功すれば、ボールをセレッソ陣内に進めることができた。

単発的なセレッソの攻撃

一方でセレッソの攻撃はというと、札幌の前からのプレスに苦しんでいた。

ロティーナ&イヴァンのセレッソであれば、自陣深くでキチンと守りきりボールを奪取すれば、自陣深くからでも丁寧にビルドアップをすることを仕込めていた。
しかし、現在のセレッソはその時代ほどにチームとしてのビルドアップが仕込まれている状態ではない。
このビルドアップについては、トップ下清武の個人による調整により、なんとかしてきたところであったが前節負傷したことによりこの試合ではそれは叶わず。
清武の不在により、ボール回しの落ち着かせ所を失っていた。

前節清水戦であれば、清武がトップ下から最後尾のボール回しに関与することで、ボールの保持あるいは展開に大きな役割を果たしていた。
が、この試合では清武はいない。そして、札幌もボールを失った際の守備の切り替えが早く、素早くセレッソのボール保持者にプレスを掛けに来る。
となると、どうしてもセレッソの攻撃は縦へと急ぐ形になる。自陣に押し込まれた状態から攻撃に移るときに、その攻撃が縦に早い攻撃になるということは、セレッソの中盤以下が攻撃のフォローに間に合わなくなる。
そうすると、セレッソの攻撃は単発的なものとなる。
そして、ボールを失えばミシャ式で押し込まれる。
という悪循環に陥る。

そのような中でも、セレッソがボールをゆっくりとボールを保持した際に形になっていた攻撃は、右サイドの松田中原で札幌のシャドーとWBを釣り出して裏のスペースにメンデスを走らせる形。
オフサイドと判定されてしまったものの、前半11分の場面はまさにそれで、松田のバックステップをきっかけに札幌の守備を釣り出した裏をメンデスが使った。

狙ったのか、そうせざるを得なかったのか

試合後の両監督のコメントからも読み取れるように、セレッソは札幌のやろうとしてくるであろうことに対して準備をし実行できた(前からのプレスによる得点)。
また、意図的に崩すことができたとされるのは、おそらく上述のメンデスの裏抜けのことかと思う。
それらを出すことはできたが、ゲームはコントロールできなかった。コントロールできなかったという点は、清武の不在の影響が諸に出ていたと感じた。縦に早い攻撃はそれを狙った以上にそうせざるを得ないことにより発生していたと思う。

一方で、札幌からしても自分たちの形でやるという点では、主力不在であった中でも、いつものミシャ式でというか、ミシャ式の型があるからこそ狙いを出せていたのだと思う。

主力選手の不在が及ぼす影響について、両チームにおけるチームの状況・特徴が表れた試合だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?