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セレッソ大阪U-23が好調な要因を考えてみる

開幕から5勝5分1敗。
開幕戦の敗北以来、10戦無敗で暫定2位に位置付けるセレッソ大阪U-23。
2016年は12位、2017年は13位であったところを考えると今年の躍進が際立ちます。
昨年までと今年とでは何が違うのか、U-23大阪ダービーを振り返りながら纏めてみようと思います。

整い始めたチームとしての戦い方―攻撃編―

U-23大阪ダービーにおいて、セレッソ大阪U-23は狙いを持った攻撃を繰り返し行っていました。
ポイントとなったのは山内の位置取り。
セレッソはサイドバックを低い位置に置き、ボールを回しました。


セレッソのサイドバックの低い位置取りによってガンバのサイドハーフは吊り出されます。
属人的な守り方の強いガンバの守り方により、センターバック・サイドバック・ボランチ・サイドハーフ間のスペースが広がり、空いたスペースに山内がするすると入り込みボールを受けることで、セレッソの攻撃は効果的にガンバのゴールへと迫ることができました。

ここでポイントとなるのは繰り返しこの形が見られたということ。
相手の守備陣形に意図的に隙を作り利用する仕組みをチームとして共有できていることによりスムーズな攻撃を仕掛けることができます。
また、山内がフリーでボールを受けることができるタイミングでディフェンスラインから縦にパスをすることをチームとして共有できているため、ボールを失う場所も予測しやすくなります。ボールを失う可能性が高いところがわかっていれば、攻守の切り替えも素早くできます。

大阪ダービーでのセレッソの先制点もまさにそれで、魚里から山内への縦パスがカットされるものの、斧澤の素早い寄せでボールを再奪取。ボールを奪った斧澤はすぐさまガンバのディフェンスラインの裏へとボールを放り込み、走り込んでいた山根がボールを受け見事にゴールを決めました。

整い始めたチームとしての戦い方―守備編―

今シーズン、複数失点試合が0試合のセレッソ大阪U-23。
その要因は共有されたボール循環のイメージによって、攻守の切り替えでボールを再奪取できている点が1つ。
もう1つは4-4-2でブロックを作り守備を行う際のコンパクトさです。

撤退守備において、セレッソ大阪U-23は4-4-2の陣形を敷きます。
この守備において重要視しているであろうことは相手に中央を使わせないこと。
4-4のラインはペナルティエリアの横幅で横圧縮、2トップは相手のセンターバックからボランチへのパスコースを遮るように位置取ります。
相手のボール回しを制限し外へ追いやり、全体をボールサイドにスライドさせボールを刈り取る。簡単には中央を使わせない守備によって複数失点をするような守備の崩壊はしなくなりました。
U-23発足直後の芋づる式ディフェンスとは雲泥の差です。ここはかなり改善してきました。

U-23ダービーを終えて

U-23大阪ダービーは山根のゴールで先制。その後も再三シュートを放つもことごとく枠内に入らず。Football LABによると、シュート21本放つも枠内は4本で得点は1。この数字は辛いところ。
逆に、試合序盤から裏へのボールへの対応に不安定さのあったGK永石の影響もあり、がら空きのゴールに決められるという勿体ない失点をしてしまい、結果はドロー。10試合負け無しながらも3試合連続追い付かれての引き分けとなりました。

攻撃面では決定力が圧倒的に不足している現状が浮かび上がりました。試合後の大熊監督のコメントでもトップに上がれず「ここ(U-23)にいる」原因と言われてしまうほどの状況。ゴールは水物、1度決まり始めればドバドバと出るのかもしれませんが勝ちきれない試合が続く要因となっています。

一方守備面でも、不用意なミスからの失点があとを絶ちません。若さゆえのところもあるでしょうけれども、あまりにも勿体ない。
また、運動量が落ちてくる試合終盤には中央を割られる場面もちらほらとありました。90分通しての試合運びも改善の余地がありそうです。

今回のダービーで個人的に印象的だったのは、高円宮杯プレミアリーグU-18大阪ダービーと今回のU-23大阪ダービーの試合展開が似通っていたこと。
U-18ダービーでは前半のうちに素早い攻守の切り替えでガンバを制圧し圧勝しました。U-23ダービーでもゴールを決めきれてさえいれば、U-18と同じ結果になっていたのではないかと思います。

素早い攻守の切り替え、コンパクトな守備、この辺りはトップから下部組織まで「SAKURA DNA」として一貫性を持たせていくのでしょう。

まとめ

セレッソ大阪U-23好調の要因は、
①共有されたボール循環に伴う狙いを持った攻撃
②そのボール循環によって予測可能なボールを失う地点への素早いアプローチによる攻守の切り替え
③コンパクトな陣形を保つことによって崩壊しない守備
の三点にあるのかなと思います。

初期の頃のU-23の試合を見て、観戦から離れてしまった方には是非とももう一度足を運んでもらいたいなと思います。
今のセレッソ大阪U-23にはスタジアムへ観に行く魅力があります。


観客数が数百人の試合よりも数千人の前でプレーをすることはきっとU-23の選手たちの成長に良い影響をもたらすはずですから。

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