生徒を頑張らせる評価方法

英語の授業では様々な活動を行います。Essay writingだったり、speechをさせたり、interview testを行ったり、ペアやグループでのtaskを与えたり、学習事項の確認小テストを実施したり。皆さんは、こうした授業中の活動や小テストをどのように評価に組み入れていますか。

成績やテストの点数といった評価は、良くも悪くも生徒のやる気に大きく影響します。今回は、授業中に行う小テストや活動を、どのように評価に組み入れたら生徒の頑張りを促せるか考えてみようと思います。

考査で出題する

最も単純なやり方は、その課題を定期考査などで出題することです。テストで同じ問題、同じ課題が出題されると知っていれば、生徒はそれに向けて頑張ることになります。

たとえば、授業の活動や課題として書かせたessay writingを想定してみましょう。テストで同じ課題作文が出ると分かっていれば、生徒たちが準備段階でより良いものを完成させようとすることが期待できます。

一方、テストに出すというやり方にはデメリットもいくつかあります。一つには、テストが暗記勝負になってしまうことです。事前に準備したエッセイをまるまる暗記し、それを吐き出す形式になってしまうと、思考力・判断力・表現力を測るテストとはなりません。考査の時間や分量も圧迫され、初見の実力問題を出題するのが困難になってしまいます。

また、テストで同じものを出題するとなると、準備段階で完璧なものを求めることになってしまいます。生徒には自分が書いたエッセイを暗記してくることを求めることになるわけですから、そのエッセイをミスの無い完璧なものにしておく必要があります。しかし、完璧なエッセイにたどり着くのは困難ですし、学習のプロセスという観点からもそれは不要です。教員側の添削が過度に求められることにもなります。

成績に加味する

授業や課題で取り組ませた成果物を、成績の一部に組み込むというのもよく使われる手法です。その場合、「成績の何%に相当」のように具体的に示す場合と、特に具体性は持たせずに「平常点」の一環という扱いにする場合があります。

目の前の課題への取り組みを強めたければ、前者、つまり「成績の何%に相当」と明示してやったほうが効果は高まります。ただし、考えようによっては「他の課題や考査で取り返せる」と感じる生徒もいるでしょう。そういう意味では、後述の「テストの得点に組み込む」ほどのインパクトはないかもしれません。

定期テストの得点に組み込む

もう一つの評価方法は、授業中の活動や課題、成果物などを、定期考査の得点の一部としてカウントするやり方です。例えば、授業中に行うプレゼンテーションを5点満点で評価し、その5点は直近の定期考査に組み込みます。あるいは授業中に行う小テストを、直近の定期考査の10点分に加える、といった具合です。

実際のやり方としては、加点方式と組み込み方式があります。加点方式は文字通り、定期考査に加点するもの。5点満点の評価を定期考査に加点するとなれば、その定期考査は事実上105点満点になるということです。一方、組み込み方式では、定期考査の例えば10点分は事前に実施済みというイメージになります。実際の定期考査では残りの90点分のテストを実施することになります。

生徒は(良し悪しはさておき)テストの点数には非常に敏感です。私の経験上では、だいたいのケースにおいてこのやり方が一番生徒の取り組みを加速させることになります。テストの点数に組み込むとなると、「成績に加味する」と漠然と伝えたときよりも、より具体性・切迫性が出て、取り組みへの必要性を感じるということでしょう。

課題に応じた適切な評価方法を

言わずもがなですが、上のどのやり方にもメリットデメリットがあり、万能なやり方というのはありません。課題の性質、生徒の状況に応じて、適切な評価方法を選んで実施する必要があります。

生徒への影響力という観点だけで言えば、おそらく「定期テストの点数に組み込む」のが最もインパクトが大きいでしょう。しかし、課題の性質によっては、1点刻みの点数化がそぐわないものもあります。例えば授業中に書かせたエッセイの評価は、1点刻みの点数化というよりは、ABCのような少しふわっとした評価の方が適切かもしれません。そんな場合には、評定算出のときに参考として利用する程度の扱いの方がいいと思います。

何かしらの参考になれば幸いです。ご意見や感想があればぜひコメントをお願いします。

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