黒猫のあくび「世界に甘やかされてる(勘違い)」

青空に降る雪を見た。

現象としてはただそれだけだ。そこには静かな凪があった。

黒猫は冬が嫌いである。寒いから。コタツよこせ。
黒猫は夏が嫌いである。暑いから。もう何もしたくない。

黒猫は空がすきである。そして散歩も好きである。なのでちょっと遠出していたのだ。野良はそこらへんとっても自由なのでね。ちょっとお出かけして広々した空を見てきた。コンクリートの塊でさえぎられることの無い空を見てきた。

壁もなく吹きさらしなので風は冷たかったが、それは体温が冷えていくのが嫌いじゃない黒猫にはちょうどよかった。忙しい飼猫の皆さんは知っているだろうか?19日はスーパームーンらしい。まるまるな月が更にまるまるで、まるっとしている。それはきっととてもとても丸々なのだろう。月も好きな黒猫は、月光浴をしようかなと思う次第である。そのときはみいさんも誘ってやろう。夜のお散歩は連れ立ちが居たほうが楽しいのだ。

久しぶりに凪いでいた。2月は私生活が暴発中だからこそ、こんな凪を自分の中に見るのは久しぶりだった。怒りのデスロードノンストップ放映中の暫しのCM期間である。CMってこんなに静かだったのね。ああ、頭に入ってきていないだけか。枯れた田んぼと畑の匂いが、頭の中の何かを溶かした。


黒猫は何かが足りないのは足りないのだが、足りないまま足りないなりに凪いでいた。目を細めて日光を思う存分浴びて、ふと空を見ると、晴れたまま雪が降っていた。

きらきらと光る白くてふわふわなものが、透き通るような青さに映える。

とっても美味しそうだった。

時々こうして世界は甘やかしてくるのだ。寒いのは嫌いだが、雪で遊ぶのは好きな黒猫に「今年、ちゃんと雪見た??見せたげる。」といわれた気がした。でも世界に言いたい。とっても綺麗だったし、雪見たけど今年雪だるま一個も作ってない。猫団子で唯一雪が降っても炬燵で丸くならない猫の私が雪だるま作ってない。しっぽをダンダンするしかない。


でも、とても綺麗だった。よく見る水面より、ただの朝日より綺麗だった。ビルのガラスもキラキラしてるが、それとは違うものだからね。世界にそんだけ甘やかされたから、しょうがなく私も世界がそれなりに好きだよありがとうって答えるために、目を細めてあくびをしたのだ。


お出かけを終えて、狭くなった空を見て思う。


ああ、明日会社行きたくねえな。
しみじみと、空に溶けたいと思った。

案内とは何を書けば、、、着る毛布は暖かく、そしてもふもふ。我らは芋煮会をしたいと願う猫団子です!!生き辛い~そうだよね生きてて偉いよみんな!