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Who is ”Good Guy Video”? ③

 ようやく、今回のZINE、「Who is "Good Guy Video"?」の内容について語る段になった。
 と言っても、実物を読んでいただきたいので、具体的な内容についてはここでは触れないが、「GGV」さんが辿ってきたビデオ遍歴は、言わずもがな己のビデオ遍歴と重なる。自分語りをしたいわけではない。同じ時代を、違う年齢で生きている、その違いが、面白い化学変化を私にもたらしてくれた事に感謝しているのだ。

 「GGV」さんは、1994年頃からビデオショップに出入りし、未知の世界の入り口に立つ。これが、彼が4歳ぐらいの時とか!
 1994年──平成6年。日本の首相が細川→羽田→村山とコロコロ変わり、バブル景気は崩壊していた。が、まだそれほど深刻な不況ではなく、バブルの余熱が、ほんのり残っていたように思う。
 セルやレンタルで、映画やテレビドラマやMVなどが市場に出回っていたのは、ちょうどこのバブル景気の後押しもあったと思う。当時は、家庭用ビデオにはVHSとベータの2規格があったが(正確にはVXという製品もあった)、色々な事情や経過があり、結局はVHSが生き残った。
 しかし2000年代に入り、VHSビデオは一気に衰退する。DVDやハードディスク、PCの普及など、デジタル化が急激に進んだのだ。
 一般的には、ビデオテープは既に終わったツールである。
 が、しかし。ビデオテープに収められていた映像が、全てデジタル化されたわけではない。プロが作った販売用のセルビデオでもデジタル化されずに、永遠にそのテープにしか残らない映像がある。
 そして、当時のテレビ番組を録画したビデオテープなど、個人的な記憶の結晶であるホームビデオ。
 バブル景気の中の、ひとときの徒花のようにも思えるVHSビデオだが、その時代に様々な記憶や記録を刻んでくれたあの細長く薄い箱に、ノスタルジー以上の思い入れがある。
 私にとっては、VHSビデオやビデオ機器は当時の最新ツールであり、ハイテクであり、高価な買い物であり…夢を見せてくれる存在だった。
 こういう世代が、今となってはVHSビデオにノスタルジーを感じるわけだが、「GGV」さんは、ノスタルジーを越えた、謎のエネルギーの残滓を内包した不思議な宝箱として堪能してくれているのだ。この差が、私には愉快に思えた。
 若きビデオハンターと、オールドユーザー。是非いつか、VHSビデオについて嚙み合わない会話をしてみたい。
  
 私が最初に自分で買ったビデオテープは何だったかな?と、今回ふと思い出してみた。 
 現物は、まだ何処かに残っているのかいないのか。
 QUEENか、Led Zeppelinのライブビデオ。どちらを先に買ったんだったっけ? 今みたいにSNSにアップとかあれば、記録に残っていたのに。


Good Guy Videoさん………Instagram @good_guy_video


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