罪と罰日記 5月31日 可哀想過ぎる35歳

フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」を少しずつ読む度に、少しずつ感想を書いていく日記(2008年に書いたものです)。

 とにかく幸せそうな人が出て来ません。

 偶然でくわした学生も、極貧で、あの有名な「生きていてもしょうがない老婆を一人殺しても、その金で100人の生命が助かれば正義ではないか」って駄弁ってるくらいで。

 さて、斧を入手したラスコーリニコフはついに金貸しの老婆、アリョーナ・イワノヴナ殺害に至りました。
 あっ、ちなみにこの日記は全編ネタばれありですから。

 えっ、もうだっけ?ってくらいに早い。
 まだ70ページちょっとじゃん。
 中2のとき、斧を手に入れる過程で読むのをやめたんだけど、するとこれくらいしか読んでなかったのか。
 微かな記憶では半分くらい読んだつもりだったんだが。

 しかし、あっけなくアリョーナ・イワノヴナ(露文特有の覚えづらい名前は既に続出してます。カチェリーナやワズーミヒンやナスターシャが誰だったか、途中でよく忘れます)を殺害した後、ああ、可哀想なリザヴェータが偶然、そこにでくわしちゃうんです。

 リザヴェータは、今のところ「罪と罰」登場人物中、特に不幸ですよ。

 老婆の腹違いの妹で「もう35だった」。
 姉にこき使われ、炊事に洗濯、内職に針仕事に床洗い。
 何を命じられても断らないのに、姉は遺言状でリザヴェータに一文も残さないことにしている(と、町の学生すら知っている)。
 未婚で、ひどく不格好で、背ばかりむやみに高く、醜い女なのに(学生曰く、「真っ黒けでさ、兵隊芝居の女形みたい」だそうで)、しじゅう妊娠している——。

 人生に何か良いことがあったんだろうか、リザヴェータ。
 おいしいものを食べたり、海辺でくつろいだり、本当に愛してくれる男性と愛を語らったりしたんだろうか。
 君の35年の人生に、光や希望はあったのかい?

 と、尋ねる前に、姉殺害現場でラスコーリニコフに斧で殺されてしまうんです。
 可哀想過ぎる。

 「もう35」のリザヴェータ…。

 そして、ついに第二部へ突入しました。本日108ページ。 

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