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【日記】にこにこ

先週のアルバイトの日、教員が研究室の鍵をかけて講義に行ってしまったので、ショートメールで連絡をしてから解錠の連絡が来るまで、大学図書館の雑誌倉庫で文芸誌のバックナンバーを読んでいた。デビット・ゾペティの『いちげんさん』。差別や悪意ではない、見えない区別の意識の犠牲になる主人公。さらには、それを新人賞に選んだ人たちにも作者に対して、その意識が露呈している(これは、当時に文芸評論家の方が指摘していたものを最近読んだのだ)。

帰りにコンビニで漫画を立ち読んだ。その話は構成が憎くて、興奮して眠れなかった。ただ、それは不穏なものを見たための興奮だった。

今週はよく夢を見る。夢を見ると疲れるから、夢を見ていると、せっかくの大好きな寝ている時間が惜しくてうんざりするのである。

白日夢も見る。シチュエーションはいろいろだが、トーンは一緒で暗い。不信と憤り。「優しいと言われたら無害だと見下されていると思え」「芯を食ってもにこにこしている相手はお前らを人だと分かってない」と、よく通る声を放つ口が見える。

不安だ、悲しい、と相談したら、「わたしも」と応えられた。そして相手はつらつら自分だけの不安を語る。遮ると、私を責める。「まずは相手の話を聞くんだよ」と、スマートフォンでゲームをしながら宣う。ならば、あんたが話を聞くんだよ先に。違うか。

こうやって、私が話すことをきっかけに利用して自分語りをするのは、私の話をキャッチしたのを直ぐさま地面に棄てて自分の感情を投げつけることだ。痰を吐かれて服を汚されたような惨めな気持ちになる。それだけのことをしておきながら相手はにこにこしている。「私が悲しみと不安を共有してあげることでこの子を癒してあげてる」って陶酔しているからだ。そして、「共感! 共感!」とにこにこしながら羊のように周りの人たちも鳴かせて、私に我慢を強いる。残念ながら、あんたは共有してるのではなく一方的に押しつけてる。しかも、自分からではなく私の話し出すのをきっかけに利用して。狡猾。卑怯卑怯。しかも、自覚なく、にこにこしながら。馬鹿阿呆。虫酸が走る。顔を拳で殴りたい。西瓜みたいに割って蟻にたからせてやりたい。

人に優しくしても、あるいは調子に乗らないように、正確には調子に乗っていないように見せるべく発言や行動に注意しても、みんな仲良くしてくれなかった。にこにこしながら気遣ってくれるだけで終わりだった。親切な行動は、優しい人がやっても重みがないから、消費される。私が生意気なことを不遜なことを言ってもみんなにこにこしていたのは、私は仲間じゃないから。私は同志じゃないから。私を子ども扱いしているから。私を舐めてるから。私は脅威じゃないから。

にこにこしている奴等とは、もう会いたくない。自分の認めないものは、にこにこしている仲間同志でゲラゲラ笑って辱しめ、忘れる輩だ。もうここでは何もしたくない。

私の顔は能面より凹凸がなく、皺もない。にこにこしないからだ。

正直に言うと、そんなやつらばっかり仲間と楽しそうで狡い!

という幼心もなきにしもあらずだ。

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