前田紀至子

新潮社ニコラモデルや光文社JJライターを経て、旅や美容を中心として暮らしに関する文章を寄稿しています。

なりたい自分に近付く術、遠退く罠

自分が見られたい姿を装うことが必ずしも正解ではないと知ったのは、つい最近のこと。
これまでの私は、透明感が欲しければ紫色のコントロールカラーを駆使し、イノセントに見せたいと思えば白い襟付きのワンピースを纏う、「いわゆるガーリー」に傾倒しては、その枠の中にきちんと収まるように生きていた。それが私にとって最善なのだと信じて疑わずに、気持ちよく過ごしていた。
だけれど、歳を経れば経るほど、どうも「ガーリ

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思い上がりは視線に出る

歳を経れば経るほど実感するのは、自分が思っている以上に自分の良くない部分、とりわけ傲慢な考えは他人に伝わっているということ。
人よりも自分が偉いと思っていたり、見下すような感情ほど、相手に感度良く届く。それは、特に付き合いのない、街中で単に数秒すれ違っただけの相手でさえも。

たとえば軽くぶつかった時、すかさず自分の荷物や服にだけ視線がいって、相手のスマートフォンが落ちたことになんてお構い無しだっ

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「愛してる」みたいな、気が利かない言葉を

自分の誕生日にはあまり思い入れはないし、お祝いをして貰うと逆に恐縮してしまうような性格なのだけれど、やはり大切な人におめでとうと言ってもらえたり、自分が歳を重ねることや、今ここに存在していることを肯定してもらえるのは嬉しい。そう改めて考えたのは、昨夜素敵な女友達が「遅くなったけれど」とお誕生日をお祝いしてくれたから(そしてそれはたとえ364日遅れたとしても嬉しいものは嬉しい)。

そういえばいつか

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愛と恋、私の場合。

四六時中言の葉を交わしたければ恋、素敵な事を伝えたかったら愛。
そう思うようになったのは、つい最近のこと。

テレパシーの種明かし

ある夜、初対面だったりそうじゃなかったりする男女何人かで食事をする機会があった。

そういう時に話題に上るのは、大抵「好みのタイプはどんな人だ」とかいう当たり障りなく盛り上がれるもので、その日のその時間も例外ではなかったし、これまた例外なく答えようが答えなかろうが関係なく自分の番が廻ってきた。

「テレパシーが使える人が良いな。喋らなくても会話が出来る人。ついでに会話の間や言葉選びの感覚が会う

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フレグランス・レッスン

最近、#10yearschallenge というハッシュタグが流行っているけれど、そういえば私がはじめて香りによる官能を目の当たりにしたのは、ちょうど10年前のこと。

冬のある夜、ボーイフレンドのベッドで毛布に包まって部屋を見渡していたら、マホガニーの棚の上に冷たく佇む存在にぶつかって視線が止まった。高さ10センチにも満たない引き算の極限とでもいうようなスクエアな黒い瓶は、香水瓶だという確証を

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