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婦人的客旅手引

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乙女視点のトラベルガイド
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ビジネスクラスで見る夢

初めてビジネスクラスに乗ったのは、いつのことだっただろう。いくらでも伸ばせる手足と、ごろんと横になれる自由は、飛行機という閉ざされた空間の中ではとんでもなく尊いことに感じられたし、座席に置いてあるポーチには歯ブラシや歯磨き粉、アイマスクに耳栓…と、痒いところに手が届くアイテムたちに心ときめいた。 その気持ちは今だに健在だし、ビジネスクラスに乗るというだけで旅をするのがぐっと愉しくなる。 そして、今回スイス旅で利用したスイス インターナショナル エアラインズのビジネスクラス

ヨーロッパの最終地点

謎の多い国だとは思っていた。空気が綺麗そうだとか、治安が良さそうだとか、自分の中に存在するイメージはどれもこれもポジティブなものながらどこまでも抽象的だし、日々私の頭の中を占拠しているスイス製の時計に関してもその土地においてはどのような立ち位置なのか今ひとつ分からない。 年に一度の大イベントであるバーゼルワールドには一度は行ってみたいと思っているし、そうでなくてもジュネーヴを訪れて、時計メゾンの本店巡りや、パテック フィリップ・ミュージアムでその緻密な芸術に垂涎してみたい。

一度きりの数日間のためのワードローブ作り

旅先で洋服を褒められることは、とても嬉しい。それが現地のマダムからの言葉であっても、SNSを通してのコメントであっても。 「紀至子さんのお洋服、とても可愛いけれど、どんな風に選んで持って来るんですか?」今回一緒にハワイを訪れた方にそんな問いかけをして頂き、思わず頬を染めながらも、自分のスーツケースの中身について考える好機となった。 そしてそれは、旅という数日間の為のワードローブ作りにおける、自分なりのノウハウがいつの間にやら完成しつつあるらしい、という気付きでもあった。

わたしの旅支度《機内編》

旅のコラムやエッセイを書くようになって、沢山旅をするようになってきた今日この頃。折角なので、必ず旅先に持って行くお奨めアイテムを自分への忘れ物チェックとしてのメモ代わりに羅列したいと思います。 ウルトラライトダウンジャケット/UNIQLO 私が飛行機に乗る時に無いと困るのが、ユニクロのウルトラライトダウンジャケット。飛行機の中って意外なほど寒くて、時には震えることも。カーディガンを持ち込んだり、パーカーで乗り込んだり、という試行錯誤を繰り返した結果、ウルトラライトダウンだと

運を開きに香港へ

今までに何度か聞いたことがあった。香港には作るだけで運気が上がる印鑑屋さんがある、と。 実際に何人かの友人に「ペニンシュラに判子を作りに行かない?」と誘われたことがあったし、気が乗らないでも無かった。それでもなぜか実現するには至らなかったのだ。ペニンシュラの判子、というキーワードだけを薄っすら記憶に残したまま。 今回の香港への旅は突然だった。そして何処へ行くも、何をするも決まっていないまま(大好きな蓮香楼にだけは何としてでも時間を作って行きたいと思ってはいたけれど)香港へ

ダウンタウンガールみたいに

女の子に「海外に行くなら何処がいい?」と聞くと、大抵答えは決まっている。ハワイ。まるで幼い子供が甘いお菓子を思い浮かべる時のように、彼女たちはうっとりしながら、その三文字を口にする。 居心地の良いビーチやプールでの日光浴。美味しいと話題のお店のエッグベネディクトやパンケーキ、ハンバーガーショップを計画的に巡っては写真におさめる。それからカラカウアアベニューでお目当てのバッグやお財布をチェックして、在庫を比べるためにもアラモアナへも行かなくちゃいけない。パワースポットにも行き

深夜0時半、ドバイ行き

「ドバイへ行きませんか?」 その誘いはある日突然やって来た。そしてそれから1ヶ月も経たない12月のある日、私は羽田発0時半のエミレーツ便に乗り込んでいた。 日本の書店ではドバイの観光本が簡単に手に入らない。大きな本屋さんへ行ってようやく1冊か2冊売っているかいないか、というところだろう。そんなこともあって、私はドバイに関する予備知識が殆ど無い状態のまま、天井がまるで星空のようにきらきらと瞬く機内をぼんやり見上げながら眠りに落ちた。 機内で11時間と少し。飛行中十分に睡眠