見出し画像

チャームポイントに匂わすアイデンティティー

「華奢って云うのは身体が細いとかじゃなくて、首と二の腕が細いことだと思う」

男はある時そう言った。首と二の腕が細くないと幾ら細くても華奢だと思わない、と念を押すように繰り返しながら。

首すじ、うなじ、横顔のシルエット。幸い私は自分の身体の中でも首元は割と好きなパーツで、骨一つ分長いせいで捻挫をしたことがあればストレートネックのリスクもあるけれど、自分にとってのチャームポイントだと思っている。だからこそ、その言葉が妙に嬉しかった。

最近髪をばっさり切った。顎よりももっと短く。その結果、常時首元が露出するので、私は頻繁にチョーカーをつけたりベルベットやサテンの太いリボンを巻くようになった。きっと冬になったら思い切り細いハイネックのセーターを着たりすることだろう。

香水を選ぶ時は首元との相性にプライオリティを置くし、服やアクセサリーも首が綺麗に見えるかどうかはいつも必ずチェックする。私の見た目に於けるアイデンティティーは多分首にある。

誰だって自分の中で一等好きな部位というものがある筈。ぽってりとした唇には粘膜のように潤うルージュを。掠れた声には囁くような喋り方を。逞しく生えた眉には骨格に合った整え方を。それぞれが伸びやかな箇所をアイデンティティーにしたならば、きっと女性はみんな美しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?