女がヘアサロンに行く理由

朝、目が覚めて歯を磨く時、メイクをする時、トイレで手を洗う時。その都度鏡越しに目に入る自分の姿を見て思うこと。

それは「顔色は悪くない?やつれていない?今日のメイクでおかしいところは無い?」というシビアな確認。そして「今現在の髪型は自分にとってちゃんとベストなのかしら?」という問答。

私には永らく髪を委ねている人がいる。Violetという美容室の前原穂高くん。彼とは私がJJでライターをしていた頃からの付き合いで、その間月に一度は髪を切って貰い続けている訳だから、私の髪のアイデンティティは彼が握っていると言っても過言ではないだろう。

私は自分の髪型に対してそれなりに自信を持っているけれど、それは単に彼が髪を切ってくれているから、それに尽きる。自分が何だか冴えない気がする時、今よりも少しで良いから自分をブラッシュアップさせたい時、例え僅かだとしても好きな人に素敵だと思わせたい時。そういう時、私は彼の元に駆け込むのだ。「可愛くしてください」と。

いつか同業者の友人が言っていた。「彼の手にかかればハサミを三回入れるだけで自分の顔が変わる。それはもう魔法みたいに」と。その時私は深く頷くと共にどうして自分が彼に髪を切って貰うことに対して固執してしまうのかが理解出来た気がした。彼はオンナの可愛いを操る魔法使いなのだ。

美容室に行ってがっかりなんてしたくない。可愛い、綺麗、色っぽい。何か新しい魅力を手に入れたくてわざわざ行くのだから。今までの自分史上もっともピンと来るヘアスタイルにしたくて勇気を出して切るのだから。

私が髪型を変える時は大抵いつもお任せしてしまう。というよりも、「自分が考えているなりたい自分」より「彼が考えてくれる新しい自分」の方が素敵な場合が多いから必然的にそうなる、という方が適切かもしれない。気がつけば一気に短くなることもあるけれど抗うつもりも無い。いつだって髪を切った後は「今の方がずっと良い」と周りに褒めて貰えるし、マイ・フェア・レディでイライザが花売り娘から仕立ての良い淑女に変わるような新鮮な驚きと感動も味わうことができる。

そういう訳で、もしも信頼できるヘアさんに出会うことが出来たならおすすめしたいのは総てを任せてしまうこと。新しい髪型に悩んでいる時は自分の好きな女性のイメージを纏めたフォルダを見せて、あとは思い切って託してしまう。そうすれば新たに自分では知り得なかった色香を纏うことができるかもしれません。

青山や銀座に赴けば星の数ほどある美容室。その中で心に決めた美容室があるとしたらそれはとても幸運なことだと思う。だってそれって自分の良さを一番引き出してくれる人を知っている、要は運命の相手に出会えているということではないでしょうか。

運命の恋人と運命の美容師はジプシーするだけじゃ巡り会えないのかもしれません。


Violet
住所:東京都港区南青山5-10-1 H2 AOYAMA BLDG.3F
TEL:03-5778-9646(予約) 
定休日: 第1.3月曜日、毎週火曜日
営業時間: 平日 12:30~21:30 土日祝 10:00~19:00

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前田紀至子

乙女的生活手引

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