私の丈、あなたの丈

洋服を買う時に誰もが気にすること。それはきっと自分にとって好みのデザインかどうか、或いは自分にとって親い色であるかどうかということだろう。

だけれど洋服を着こなすにあたって、もう一歩踏み込みたいならば、見に纏うものの「丈」について注意深く観察してみたい。

私は、誰しもが「黄金の丈」を持っていると思う。それはまるで、腕を通した瞬間に顔色をぱっと明るく見せてくれるパーソナルカラーのように、その人の持つ空気を一番素敵に見せてくれるもの。丈というものは、3センチ間違えば途端に幼くなったり野暮ったくなってしまう。それなのに、ごくさりげなくて主張が少ないものだから、うっかり軽視してしまいがちなのだ。

例えば、特におかしいところは無い筈なのに、鏡に映った自分のコーディネートに妙な違和感を抱いてしまう時、そういう時はもしかすると丈のバランスが悪い時かもしれない。それほどまでに全体の印象を左右してしまう、恐るべし強敵。その反面、体型の悩みだって簡単にカバーする最強の味方にもなり得る。

私の場合、小柄で骨が細いこともあり、どうやら自分にとっての黄金の丈は大抵少し短めのようである。例えば、薄手のニットやパンツなど体の線に沿うものであれば、手首や踝が覗くくらい。スカートの場合はちょうど膝頭が見える長さ。靴下も短めが好ましくて、うんと活用できるのは三つ折りソックスの丈か脹脛の半分のあたりまでの丈。ハイソックスやニーソックスだと、どうしても少し華奢さが目立ちすぎて垢抜けない印象になってしまう。

こうして自分にとっての黄金の丈を見つけることが出来れば、毎日のコーディネートを考える作業はぐっと楽に、そして愉しくなる筈。似合わないと思っていたようなジャンルの服を意外な程さらっと着こなせたり、無地の白いシャツとパンツだけでもぐっと気の利いた印象になるかもしれない。

トップスの丈、スカートの丈、パンツの丈に靴下の丈。そしてこれからの季節ならばブーツの丈。一番活き活きと魅力的に見せてくれる丈探し。一度鏡の前で手持ちの洋服を折ってみたり、少しズラして弛ませたり。そんな研究をしてから秋服を買いに行けば、とびきり使えるアイテムとの出会いが待ち受けているかもしれませんね。

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多謝
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前田紀至子

乙女的服飾手引

乙女視点の服飾百科
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