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起き上がる方法を教える

2024年1月29日
 ようやく3月に出版する本の校正を終え、編集者に送った。前回とは違う校正者の修正案を検討するのに時間がかかった。
 送信後、AppleIDに問題が起こり長くメールが使えなくなった。データを複数の機器でicloudを介して同期しているので不便この上ない。ハードディスクが壊れてデータを読み取れなくなるのも困るが(パソコンを使い始めた頃はよくあった)、サーバーに依存しているといつ何時仕事ができなくなるかわからない。
『サムダルリへようこそ』を見終わってしまった。写真家として活躍していたがパワハラを疑われ故郷に帰っていたサムダルが、ソウルにいた頃の心境を母親のコ・ミジャに打ち明ける。パワハラをされたといってサムダルの失脚を謀ったアシスタントの母親に彼女は殴られた。
「痛かった。驚いた。怖かった。私の味方が一人もいない世界で怖かった」
「あの時は怖かった。でも、今は本当に大丈夫。ここにこんなに泣くお母さんがいるじゃない、私の味方の」
 母親は娘を陥れたアシスタントと対決する。
「私はこの子に転ぶ方法は教えることはできなかった。でも、起き上がる方法は教えた。百回も千回も起き上がる」
 龍應台がこんなことをいっている。
「私たちが必死になって学んだのは、百メートル競走をどう勝つかであった。転んだらどうするかなんて、誰も教えてくれなかった」(『父を見送る』)
転んだ時にどう起き上がる方法を教える親は少ないだろう。
 私の母のことを思い出した。母は何をしようとしても反対することはなかったが、内心心配でたまらなかったのではないかと今は思う。親が子どもにできることはあまりないが、信じて見守る勇気は持ちたいと思う。

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