「カメラを止めるな」に見る「インセプション」との共通点とは
こんにちは、副業愛好家のまきです
本日、今話題の映画「カメラを止めるな」を見てきました。
全体としてとてもおもしろかったです!
今回はネタバレを含みつつ、私の一番好きな映画「インセプション」との共通点をお伝えしたいと思います。
「カメラを止めるな」あらすじ
とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影していた。本物を求める監督は中々OKを出さずテイクは42テイクに達する。そんな中、撮影隊に 本物のゾンビが襲いかかる!大喜びで撮影を続ける監督、次々とゾンビ化していく撮影隊の面々。
”37分ワンシーン・ワンカットで描くノンストップ・ゾンビサバイバル!”……を撮ったヤツらの話。
(公式サイトより)
「カメラを止めるな」の映画の階層性
この映画の面白いポイントはたくさんあるのですが、根源的にはやはり「脚本」が一番おもしろいです。
そのポイントはズバリ「映画の中の映画」という階層です。
・第1階層の映画
あらすじにもある42テイク撮って撮影されていた映画が第1の階層になります。
カメラマンに注目すると階層が捉えやすいのですが、ここでのカメラマンはアルコール中毒のカメラマンです。
・第2階層の映画
そして、その第1階層の映画を撮ろうとして本当にゾンビに襲われてしまう…という37分ノーカットの映画が第2の階層です。
これは「ONE CUT OF THE DEAD」というタイトルが付いています。
カメラマンは腰痛持ちの男性と、そのアシスタントのカメラワークがダサい女性です。
・第3階層の映画
更に、次の階層はその第2階層の映画を撮ろうとしてハプニングに見舞われつつも何とか生放送をやり終えるというドタバタドラマで、これが第3階層になります。
カメラマンはこの映画全体を本当に撮影している人(クレジットだと撮影は曽根剛さん)です。
本編はこの第3階層までで終わります。
・第4階層の映画
そして最後の階層は、そのドタバタをわざと演出して私たちに届いているこの「カメラを止めるな」という映画になります。
カメラマンは第3階層と同じで、この映画全体を本当に撮影している人です。
この階層はエンドロールで初めて出てきます。
第3階層と第4階層の違いが一見わかりづらいのですが、第3階層では、第2階層の映画のエンディングで血の☆マークを撮影したのは組体操で撮影したことになっています。
対して第4階層では、ハシゴに登って撮影しています。(こちらがおそらく実際の撮影方法)
この階層に気づいたときに、私の頭の中に「インセプション」が浮かびました。
これも「インセプション」のネタバレになりますので、閲覧注意!
「インセプション」のあらすじ
ドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)は人の心が無防備な状態、つまり夢を見ている間に潜在意識から貴重な秘密を盗み出すスペシャリスト。その特異な才能は産業スパイが暗躍する世界で重宝される一方、そのために彼は最愛のものを奪われ、国際指名手配されてしまう。そんな彼に失った人生を取り戻すチャンスが。そのためには「インセプション」と呼ばれる、アイデアを盗むのとは逆に相手の心に“植え付ける”、およそ不可能とされる任務を成功させる必要があった。
「インセプション」の夢の階層性
「インセプション」の面白さは、「夢の中の夢…」とどんどん深い夢の階層に入り込んでいく「夢の階層性」です。
▼インセプションでの夢の階層
現実:飛行機
夢第1層:バンのチェーシングと橋からの転落
夢第2層:ホテルのエレベーター
夢第3層:資産家が最期を過ごす雪山の病院
夢第4層:コブ夫婦が作った世界。資産家の息子ロバートをモルが隠す
夢第5層:斉藤がコブを待つ城。映画冒頭の場所も同じ
物語のクライマックスでは、キックによる起床を繰り返し、夢の世界から現実に戻っていきます。
そのキックによる起床はその層での刺激(着水)だけでなく、一つ下の層での死による刺激でも代替可能です。
このルールを利用すると、以下のように整理できます。
仕組みとしては、第5層で出会ったコブと斉藤は、第5層最後のシーンで写った斉藤の銃を使って自殺し、そのキックで第4層で起床します。
第4層で斉藤は1度も描かれていませんでしたが、第3層で夢の共有をする装置を使ったものとして、第4層にいたとします。
そして、斉藤が第4層で目覚めたらすぐ転落死なりでまたコブと斉藤は自殺し、第3層の雪山に戻ります。(もしくは第3層の雪山病院の崩壊がキックとなって、第4層の夢から覚めます)
次に、同じ原理で第3層で自殺するか、第2層のエレベーターキックかによって、第3層の夢から目覚め、第2層のホテルに戻ります。
そして、また同じく第2層で自殺もしくはバンの着水によるキックで第1層に戻ります。
最後に、第2層での溺死か第1層での睡眠薬切れかによって現実に戻ります。
「インセプション」でよく話題になるのが、最後にコブは現実に戻れたのか、深い夢の世界に堕ちたままなのかという点ですが、このやり方でコブは現実に戻ったと考えられます。
「カメラを止めるな」と「インセプション」の共通点
ここまで書いたらよくわかるかと思いますが、ズバリこの2つの映画の共通点は「階層を利用したトリック」です。
観客を次々と異なる階層に誘い込むことで、「今見ていた階層が最後じゃなかったんだ」という驚きを与え続けられるのです。
分析はできても、こんな映画を作るのって絶対難しいですよね。
本当に2作とも面白かったです。
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