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2023_0603_本読み

<1915字>

冒頭の写真:
『猿蓑』読んで、ミノムシのことを下で書いて、そういえばミノムシの写真とったような気がする、と探してて、そういやこれ撮ったなと「蛾つながり」でアップしました。

トリバガ、っていう仲間。翅拡げて1センチくらい。拡大すればこの通り、名前の由来がわかって嬉しくなる蛾です。
きれいだな。
空気を掴む効率が悪くなりそうだけれど、どうしてこういう形になるのだろう。

検索すると、アヤニジュウシトリバ、っていう種っぽくて、ニジュウシトリバガ科というのに属していてトリバガ科とは別の類のようです。翅脈よく見えてるから数えると確かに片側12本。なんて素直なネーミング!
ニジュウヤホシテントウと十二単じゅうにひとえを思い出した。


6月3日(土)は以下を読みました。

『あまりにロシア的な。』 
亀山郁夫 著

青土社
第4章 記憶の冬、冬の記憶
3歴史の影ーー東欧から
アウシュヴィッツ=オシフィエンチムまで1・2・3・4ーー(未完の)回想2
(257〜263ページ)

オシフィエンチムはアウシュヴィッツのポーランド語名。
残りわずかになった本をぱらぱら見ると、これが最終パラグラフ。
2まで読みましたが、ここは以下のように結んでいました。

〈 どのような残酷さにもなまくらになった感覚は、あらゆる暴力シーンの一バリエーションでしかオシフィエンチムを経験しないだろう。私はひたすら、無垢へのノスタルジーで自分を慰め、果てしない悲劇として暴力を感覚できた幼年時代への旅立ちを願うだろう。 〉

(音読した人:山崎)

ここを読んで、フランクルの『夜と霧』の中学生の感想文がすごかったとか、『アンネの日記』をアンネと同じ年頃に読んでものすごく辛かったとか、そういう話がみんなからでてきました。





『2023年版 夏井いつきの365日季語手帖』  

レゾンクリエイト

この本は、日めくりのように一日一句が紹介されているのですが、今日は5月23日のところでした。

季語は 単衣ひとえ

〈 いくさ遠し遠しと思へ単衣縫ふ  山田みづえ 〉

いつごろの句なのかと作者を検索。大正15年生まれでほんの10年前に亡くなられた方でした。
意図せず、戦争つながりになった、と読み手のめいさん。

(音読した人:めいさん)





『俳句的生活』  長谷川櫂 著

中公新書
第11章 平気

子規の辞世の句、糸瓜へちまの三句に、諧謔みを読み取る筆者でした。

そのあとの話がすごくて『俳句分類』という66冊の和綴のノートが残されていて、そこには室町から江戸時代末までの12万句がさまざまの形式で分類整理されていた、とのこと。筆者は〈 俳句の博物誌 〉と言い表していました。

今ならすごいデータベース、とちらっと思いましたが、作る行為がきっとすごく違うと思いました。
筆写し、音を味わい、解説や思いを書いていく、ということでしょうから。

漱石から「手習はやめて読書を」(手習とは、お習字のこと)と勧告されていた子規のことですから、調べて書き写して考えて書いて、という作業は、すごく楽しいことだったろうな、と想像したわけです。

(音読した人:きよもとさん)





『芭蕉七部集』  中村俊定 校注

岩波文庫
『猿蓑』

五句読んだだけなのに、書くことが多すぎです。

蜑という語でてきて、が何か虫の類だと思ったら、海人あまのことで、読みも「あま」でした。この字は、元は中国の水上生活の人々を呼ぶ字のようで、たんぱく質の蛋もその意味で使われるらしい。「虫」が入ってるのは蔑称的なんでしょうね。

話変わって、

〈 みのむしの茶の花ゆ(ゑ)をられける   猿雖えんすい

今まで読んだ連句でも、時々ミノムシは出てくることがありました。山崎は虫(蛾は特に)好きで、そういうものを詠み入れる俳句の世界に親しみを感じています(ミノムシはミノガという蛾の幼虫です)。

でも生態をよく知らないので検索。幼虫の間は、ミノ(というよりツト、という感じですね)の中で生活しています。ミノから半身を出して移動して木の葉を食べています。そのままミノの中でさなぎになって雄は成虫の蛾になりますが、雌はそのままミノの中で羽の無い成虫になり、そこで交尾してそこで卵を産んで死ぬ、という一生らしい。

なんと日本にミノガの仲間は40種もいるそうです。
有名なのがオオミノガとチャミノガだそうで。

またまた話変わって、

〈 簀子も靑し 〉の簀子が読めなかった。すのこ、でした。注に簀子縁すのこえんのこととあり、竹で作った縁(お寺のぐるりにある?)とあたりをつけ、「靑し」の意味がわかった気になりました。

(音読した人:山崎)

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