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強い日差しから守ってくれる木が、暑さに耐えかねて、枯れてゆくと?

猛暑続きだと、それよりも少しでも気温が低めだと、「最近は楽ですね」なんて挨拶を交わすようになりました。

慣れるしかない近年の猛烈な暑さですが、木にとっては、どのような意味をもつのでしょう?

少し前に、木は、たくさんの水を土壌中から吸っていますが、実は、その多くを体内の生きた組織や葉を冷やすために使っている、というお話をしました。

海水浴に行ったときなどを思い浮かべると簡単に想像できますが、強い日差しが長時間じりじりと照りつけると、砂浜はあっちっち!となり、容易に日焼け、軽度のやけどをしてしまいます。

一方、植物は、光合成するために光はほしい、でも、有害な紫外線や強光による高温の悪影響は受けたくない、という、なかなか難易度の高い生活をしています。

特に今のように、暑い時期にはそうです。

その難しい生活を支えているのが、生きた組織がやけどしないよう冷やしてくれる「水」、それも土壌中に含まれている「水」なのでした。

関東地方は、地形にもよりますが、火山灰が厚く積もった肥沃な場所が多いため、多くの木は根が深め。そして、根の深い根は、一般に乾燥害に強いです。

それで、夏の高温乾燥時でも、以前は、関東地方では、木はそれほど枯れずにすんでいました。

ですが、最近では、土量の少ない植栽帯に植わっている木が増えています。

それで、今年は、ちらほらと、高木も低木も、7月の初旬頃から枯れ始めているのを目にするようになりました。

30年近く東京に暮らしていますが、今年はこれまでになく早い時期から、高温乾燥による植物の枯れに多く遭遇している気がします。

そして。

今の場所に住み始めてからずっーと、そばを通るたびに気にして眺めていたスダジイが、ついに立ち枯れてしまっていました。

剪定でわずかしかなかった葉が、真っ赤でチリチリになっているのを見ると、完全にやけど状態を連想してしまいます。

暑くてかなり苦しかったのだろうな、と思うと、気の毒と言うよりも、申し訳ない気持ちになりました。

この木も、長年小さな植えますの中で、暮らしていました。

私たち人間を強い日差しから守ってくれてきた、そしてこれからも守ってもらいたかった木が、暑さや水不足で立ち枯れていく厳しい環境で、これから人間はどうやって生きていけばよいのでしょうか?

また一つ、木陰や季節の思い出をつくってくれていた、長年の仲間のような木を失ってさびしく思いつつ、呆然としながら暑いご近所を歩いています。


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