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ボタニカルファクトリー  化粧品の地産地消


鹿児島湾(錦江湾)を右手に鹿児島県大隅半島をぐんぐんと南へと車を走らせます。
南大隅町。山々や道場を見渡すと植生が「観葉植物」と言われる顔ぶれで、同じ鹿児島に住んでいても風景がちがうことに驚きます。

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(スターフルーツ)

植物のエッセンスをふんだんに使った化粧品を作っている
ボタニカルファクトリーさんは本土最南端の佐多町とほぼ変わらないところにあります。2014年に廃校となった小学校跡地を化粧品工場としてリノベーションし、ここは生まれ変わりました。

生まれ変わりました!と言っても・・・パッと見はまだ学び舎そのもので、駐車してある車は先生たちの車のようであっての校訓も掲げてあり。

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入り口は、、?ここか。

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では、
「失礼しまーす」
しーん・・・
「ごめんくださーい!!」
しーん・・・

でもすでにいい香りで満たされています。

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ここは、、一体・・・

勝手にズカズカと2階へ

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間違いない、ボタニカルファクトリーで。


職員室なようなところからにぎやかな声が。おお、、なんだか懐かしい感じというか、小学生のころの職員室に失礼しまーすっていう瞬間を思い出しました。

失礼ながら、かっこいいオフィス感というのはまったくなくて、職員室?教室の雰囲気をそのまま残し、案内されたソファも校長室で使われていたであろうよく見るタイプのもの。

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棚もそのまま活かされています。

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教室に蒸留器も!

「学校を占領したみたいでいやだし、
卒業生のあとを引き継ぐって感じで、なんかその方がいいよね笑」

と、お話をしてくれるのは、この日初めてお会いするCEOの黒木靖之さん


ーーー黒木さんは元々は佐多町で別のブランドで化粧品を作っていたが、2016年にボタニカノンというブランドを新しく立ち上げました。私がボタニカノンを知ったのは2017年でした。

「早いね!」

ここのリンスが好きでして・・・

普通のリンスってとろとろしてて、油分が多いのでどこまでお湯で流していいのかわからないくらいベトベト感がしつこい。そして、そのベトベトが顔や体に付く、のがすごくイヤで、髪型はずっとショートにしてました。(長いと大量のリンス・ヘアコンディショナーを使いますから)
これを使い始めてからもショートには変わりはないけど、ストレスがないので快適です。

このリンスには「黒酢」が入ってるんです。原材料にはっきりと鹿児島産黒酢と書いてあります。最初に買うとき、酢?シンプルすぎる・・・けど、これはもうなんだか間違いないないだろう!っていう勝手な直感でした。
(他にも月桃エキス・ホーリーバジルエキスが入ってて香りもいいです)

このリンス以外にもボタニカノンの商品は裏の記載を見たら、なんとなくいろんな材料が植物由来なんだろうなあってわかる表示です。
(他には化粧水も使っています)


「鹿児島は食の宝庫でもあり、基本的に食と化粧品は一緒だと考えていています。口に入れられるもの以外は使いたくないという思いで、リスクはあるけどシンプルな処方です。

それがいずれ当たり前になると思っているので。

食品と化粧品は一緒なんですよっていう考えはまだまだマイノリティ。
各地で化粧品づくりのワークショップをしながら、味噌汁くらいは自分で作りましょう、みたいな感じでお話をして処方(レシピ)も公開しています。
化粧品というは食品の延長だから、腐るもので作って1、2週間で変えていくというスキンケアをして欲しいという思いがあるので。」

積極的に地元のものを使う、つまり化粧品の地産地消。


「ただ植物っていうのは薬効が強いので、人によってはヒリヒリしてしまう方もいらっしゃいます。ダメな人でも肌や体のサイクルではいい時があります。
ケミカルなものではないので決して悪いものではないですが、草まけみたいに赤くなるとやはりどうしてもダメですね。
ケミカルなものだと、そういう状態が出にくいのですが肌が弱くなりがちです。」


ーーー食品と化粧品は一緒、、、全然そんなこと考えたことなかった。
どうしても今流行りの「コスパ」って言葉が出てきて、安くていいものを・・・と考えてしまい、何で作られているかなんてちゃんと確認していないことが多い。
処方も公開してくれるなら、自分で作ってみようかな?

とは言え、日々のことに追われると化粧品を作ることに意識を向けるのちょっとむずかしい。

やはりボタ二カノンに頼ってしまいます。ボタ二カノンだけではなく、以前紹介したヴィーナスターさんも。

(ちなみに他にも国内外・コスパ等含めいいものはたくさんあるけど、私は誰がどんな風にどんな思いで作っているかっていうストーリーが好きなので、同じお金を出すなら、そのストーリーを知り、いいと思ったららそこの商品をできるだけ使いたいと思っています。あれ?意味伝わります?)

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あ、そうそう、ボタニカルファクトリーさん・venustar organicsさん・前回紹介した開聞山麓香料園さんは連携ができており、材料になる蒸留水の供給や商品製造のやりとりもあります。ボタニカルファクトリーさんはOEMも手がけています。(OEM=他社ブランドを製造することです)


ーーー話がちょっと専門的になりますが、2001年に薬事法における化粧品の定義が改定され、コスメの"自由な処方組"が出てこれるようになったそうです。

「2001年以前はお客様の判断基準が大手・ブランド名で、もう寡占状態。薬事法が変わる前は国が指定する成分を使わないと行けなかったんです。」

なんと!そうだったんですね・・・薬事法と化粧品が密接に結びついてること自体に私はなかなか納得がいかないのですが、これは素人のグチですが、日本の薬事法って誰のためにあるのか?って疑問になるほど世界一厳しいです。それが大きく変わった2001年ということだったのでしょう。

黒木さんは輸入コスメや雑貨を扱う仕事をされていたことから、コスメ業界に長く携われています。当時は上記にあるように「ブランド」がないと売れない時代。
際物の化粧品の企画をやられたそうです。塗ったら痩せるよ!産毛がなくなるよ!(ズボラな私も一瞬お世話になったことがあるような笑)

そこからいろんなことがきっかになり転機が。

「海外では50年ほど前からオーガニックコスメというのが生きてて、先を進んでいました。15年前に、輸入コスメを扱っていたときに海外の工場を見学に行って、そこでは原料となる植物の契約農場があり、、こういうことなんだなあって。
あと、娘のアトピーもきっかけです。」

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(黒木さんの手は試行錯誤された跡が残る”手でした”)


ーーーボタニカルファクトリーさんのHPでは一切”オーガニック”と書かれていません。

「オーガニック原料だけど、あえてそれを声高く言う必要もないかなと思っています。どの視線で商品をつくるか、
オーガニックと書けば売れるだろう、という薄い知識のもとに作っても本質のことを知っている人からは見抜かれるので笑。できるだけ自分たちは地元で等身大の商品づくりを。揺るぎないというか突飛なものではないとう姿勢で。

結局そういうことができるのが地方なんです」

ただ、都心部では受け入れられるけど、残念ながら「ここあたりでは意味わからん、と扱われる」ことがあるのそうです。それは徐々に浸透していくだろうし、日本の「オーガニック」の”基準”もあるようでないようなものなので、これから時代がもっと変われば風当たり・通しもきっと良い方向へ行くはず。

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ーーーコスメから話題が離れますが、この地方、鹿児島、最南端にあるボタニカルファクトリーに、東京からの移住者が二人もいらっしゃいました!

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お名前を失念してしまったのですが、工場担当の方と、

工場内という校内を案内してくれた、河野セイイチさん。
東京ではカメラマンをされていたそうで、ファッション撮影が多くめまぐるしい日々に疑問を持ち家族で鹿児島に移住されたそうです。街の鹿児島市内ならわかりますが、何もない、という枕詞がついてしまう大隅半島!!
変わってるかも・・・笑

「移ってもう10年になりますねえ。」と笑顔、めちゃ笑顔で明るい。

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ちなみにここの屋上は気持ちがいいです。この日はあいにくの曇りでしたが、晴れてたら最高だと思います。HPのオープニング映像で見てください。

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(すぐ隣の中学校、ここも廃校ですが工場を移す計画も)


開放的な屋上だったので河野さんと話が弾みました。

「最初は鹿屋市でスローカフェをやろうと思って。でもなかなかうまくいかなくて・・・、そこから撮影の仕事をやるようになりました。こっちでは写真の撮影だけでは収入が期待できないので、動画も、デザインもやりました。HPデザインも勉強しましたよ!」


カフェ、、、今ならギリギリなんとかいけるかもしれないけど、10年前の鹿児島だとけっこう厳しい。喫茶・カフェ文化がない地域なのだ。

不安定でも知らない地方でなんとか仕事をまわしてきた。それでけでもすごいと思うが、1ヶ月前からボタニカルファクトリーのデザイナーとして入社されたそうです。とにかく楽しそう!生き生きとされています。

「黒木さんがクリエイターにはとても理解がある人で・・・ずっとフリーランスだったのでどこかに所属するのは初めてなんだけど、環境もいいし働きやすいです」

ここに到るまでの経緯もあると思いますが、かなり恵まれていると思う。都会から地元じゃない地方に移り住んで、仕事を続け、長く住み続ける人はほんのわずか。なかなか地方生活が肌に合わずに、すぐに都会へ戻ってしまうパターンが多いと聞きます。その気持ちはわたしもわかる。


月桃が自生している場所も案内してくれました。

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茂みをドンドン進んでいきます。楽しそうに案内してくれます笑

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お、ほんとだ。

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月桃は、同じ鹿児島でも私が住んでいるところでは冬越しが難しく手がかかりますが、ここではこんなにきれいな花が!

と、先日まで”月桃”と説明していたのですが、これは月桃ではなくて
「クマタケラン」という指摘を植物に詳しい友人からいただきました。
月桃は花が下向きでもう少しふっくらとしています。クマタケランは花が上向きでほんの少し。葉も少し大きめですが、花が咲かないとどちらかなかなかわかりません。私もすっかり忘れていました。

校内にあった斑入り月桃を掲載しておきます。

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斑入りの月桃は初めてです。
(中国の方は月桃の香料を使っている商品はお好みじゃないそうです。私は大好きなんですが・・・)



ーーー亜熱帯気候と温帯気候が交差するところ。気候の交差、混在が豊かで多種多様な自然を、風景を生み出しています。たくさんの子供がこの小学校で巣立ったように、ボタ二カノンの「アグリコスメ」がたくさんの人たちに届けられますように。

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ーーーお話の最後にボタニカノンコスメの光を見た気がしました。

「月の満ち欠けとかそういうのも含めて、エネルギー(自然界というか森羅万象のエネルギーだと思います)とか目に見えないものもちゃんと考えて作っていこうと考えていて、研究も始めました。

夜にエネルギーが移るという話を聞いたこがあるので、一晩寝かせるとか、ですね。

そういうのって目には見えないけど肌につけた時に、ひょっとしたらいい作用おこってるかもしれないし。

同じレシピだけど全然違うということがあり不思議です。
何かあるんでしょうね、ものが持つ波動とか・・・そういうもの」

スピリチュアルな分野ではよく聞かれる”波動”
普段の会話ではなかなか出てこない単語なのでピンと来ない方もいると思いますが、

黒木さんがあまりにもさらりとおっしゃったのにはとても感動しました。

天文学で「ダークマター」という言葉あって、計算上では存在しているんだけどその正体が分からないものを意味しています。ダークマターもエネルギーであって、”波動”なのではないでしょうか。そう思うと何もあやしいものじゃない。

そこの土地の風を感じ、そこの土地の土と水で育った植物たちにはちゃんと魂があり、エネルギーがあり、波動がある。

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きっとそれはコスメだけじゃなく、もっといろんな分野でもそういうことを考え、取り入れる時代がそろそろ来たのだと思います。


*実は男性がボタニカノンシリーズは一番合うんじゃないと思っています。全体的に使い心地が「あっさり」してるんです。じとっとしてないというか。(保湿性がないということではないので、女性にももちろんオススメですが)
香りもいいので仕事のストレスが一瞬、癒されるはずです。
いつもニ◯アだなあって男性の方、ぜひお試しください!


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黒木さんと河野さん 長いお付き合いということでナイスコンビネーションです。

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