見出し画像

studio KANRO  内野康平さん

先日紹介した種子島にある泊まれる植物館「あずまや」に滞在中に、ポートレート撮影会をさせていただきました。種子島の方々にあずまやにある好きな植物を選んでいただき、その前で撮影。

「これはとてもいい企画だと思ったんです!」と笑顔で言ってくれたのは、あずまやの管理人でありリノベーションを担当された、studio KANROの内野康平さん。理数系の一級建築士。どこか、なんとなく敷居が高い肩書き。でも内野さんはとてもフラットで明るくて驚いた。

https://studio-kanro.com

どこの誰かもわからないこちらの申し出を(撮影会)、前へと進めて下さりHPの特設ページを作ってくれたり、ネット上の応募まで手配してくれたんです。とてもうれしかった、、、うれしかったがこの行動力とフットワークの軽さはどこからくるのか?話しを聞きたくなった。

「建築学科ではあったんですけど、ずっとハンドボールをやっててスポーツばかだったんですよ。日本代表の時もあったんです笑」

日本代表まで行くとこんなにもイヤミがまったくない人間になるのか?いや違うか。。。

画像1

内野さんは福岡で生まれ育ったが、お母様が種子島の方ということでこの島とは縁が深かった。ある日、お母様より植物がたくさんある人家(のちのあずまや)がずっと空いているけどどう思う?と言われたことがリノベーションのきっかけになった。

一晩、泊まった感想を伝えた。何よりもブランコがよかったんです、と。
(詳細はこちらより)
「さいこーですよね、ブランコ」

これは最初から設計にあったんですか?
「あ、いや笑 これはここの足場を組んでる時に野宿して設計をしてる時があって、母親が上を見上げたときにブランコがあったらおもろいわーって言ったんで、いいかも!ってなって」

最初から設計図は固めず、現場で話しながら進めていくのだそうです。
「図面で進めていくのと、現場で進めて行くのは全然ちがって・・・。職人さんと会話をしながらできるのが楽しいです。ここは種子島の職人さんと1年近くかけて進めて、2ヶ月で仕上げました」

そうだ、この人は何か不思議だな柔らかいライブ感がある。迷いがなく反応が早いんだが、ライブ感ある人の特徴のちょっと苦手な暑苦しくさがない。

内野さんは広島に自分の設計事務所があるのだが、1ヶ月に1回は種子島に通った。地元の職人さんとすぐに仲良くなった。先方の理解を深めるために、もちろん材料などの勉強もあらかじめやった。前回書いた、左官の寅ちゃんなんてお正月早々出会ってその日に宴会。

当時27歳、図太いというか、、、いや職人さんが懐深いのか?ハンドボールで培ったチームワークなのか?

「人たらしなんですよ」・・・・ボソッと、6月よりstudio KANROの種子島支所で働くことが決まっている中野さんがにやりとしてつぶやいた。「車をもらったりしてて驚きますよ!」

資金はクラウドファンディングで170万円集まった。一方で驚いたことに、やり方がわからないから、という理由で直接現金を持ってこられた方が続出してトータル400万円弱に。予想もしていなかったことだった。
ウッチーの引きが強い!(島民の方々、職人さんたちにはウッチーと呼ばれている)
引きというか、みんなに愛されているのがすぐわかった。自分の主張は大きくなく、まずは相手の話をちゃんと聞いて、要求を聞いてそれに答えようとする。そんなウッチーを種子島の人たちは歓迎した。

おばあちゃん子だった。おばあちゃんのだんなさんが、なんと55歳で大工に入門したのだ。かなりぶっとんだおじいちゃんだったらしく、内野さんのお母さんが小さい頃、担いで泳いで無人島にいったりしていた。
そんなおじいちゃんに憧れて、おれも大工になる!と宣言したところ、
「大工は苦労する、設計士になりなさい」
ピシャリとおばあちゃん。
とてもしっかりしていたおばあちゃん。

そんなおばあちゃんがいた種子島。自分が育った福岡。最初の就職先、広島。自分がお世話になったところで仕事をしたいなあって。
今、彼はこの3つに拠点を構えている。

あずまやがきっかけで、JAXA種子島宇宙センターから依頼があったのだ。
食堂のリノベーション。すごいつながり。
「このやり方で(あずまや)でやって欲しいっていってくれたのはすごくうれしかった」
あずまやの土間には地元の砂鉄が混ざっていたり、様々なパーツは種子島産。JAXAの方に種子島に愛着を持ってもらいたいんですよ。。。

種子島LOVE

画像2

でも彼はここには住まない。それでいいと思う。
たまに広島から福岡、種子島と南下してきて、新鮮な風を吹かせることで、まわりのみんなは生き生きとしている。どんな環境にも溶け込んで変なプライドもない。(「誇り」はある。そうだこの人はやっぱり蟹座)

JAXAだけではない、今とても大きなプロジェクトが始まった。
築170年の元庄屋が、このあずまやのすぐ近くにある。そこのリノベーションが計画されている。元は市がここを片付けていたが、鉄砲や(さすが種子島!!)弓矢とか出てきたり、巻き物に伊能忠敬が泊まったことが記されていたり・・・で、とにかく市の方では手に負えないということで、内野さんに依頼があった。

ここみたいに、泊まれる庄屋?みたいにするのだろうか。
「泊まれるようにはします。ただ、とても大きくここの規模じゃないので、だだっ広い舞台を作ってそこで落語とかできたらおもしろいよねって」

いい!ウッチーいいじゃん!

しかも材料はすべて鹿児島産。あずまやはmade in 種子島だったけど、そこはmade in 鹿児島
県内のたくさんの企業から協力をもらっているらしい。もっともっと広がってほしい。

6月から種子島支所には中野さんが切り盛りをする予定。中野さんは内野さんと古い友人で、現在は長崎在住。ドラッグストアーに働いていたが、4月いっぱいで退職して未経験の建築事務所に入ることになる。ひとりで切り盛りすることになるが、人懐っこくてまっすぐな彼女なら王国を築けるはず。

画像3

内野さんと中野さん、とってもいいコンビ。人に不快感を一切与えない、めずらしいひとたち。いい風が種子島に吹いてる。




いただいたサポートはこれからも来双船がよい出会いができるよう、心から感謝しながら使わせていただきます!