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大坂なおみファンは「純〇〇人」的フレーズに敏感説

バイレイシャルなアスリートの物語が目につきやすくなったのは間違いなく自分を大坂なおみファンと規定して以降のことですが、つい今朝も、陸上100メートル走でイタリアに五輪金メダルをもたらした男性アスリートの記事を読んでいて、ん。ってなったのは記事の主題ではない「そういう一節」でした。

ミックスゾーンには、父親がフロリダ出身と知った米国記者たちが駆けつけ、何とか陸上王国との縁を聞き出そうとするが、勉強嫌いの新王者は英語があやふやで彼らは困惑するばかり。
99.9%、俺はイタリア人です。金メダルはイタリアに捧げます。それから俺の子供たち、俺の家族、支えてくれたチーム全員にも。記録はいつか破られる。でも、この五輪の金メダルだけは永久に俺のものです。我が家のリビングの壁にずっとあり続けるでしょう」 (太字は引用者、つまり私)

こういう記事を見かけたら複数報道を見に行くのも、なおみ姐さんのおかげで身についた趣味でして、当該「ミックスゾーンでのインタビュー」動画は見当たらず。(公式記者会見動画は下記TIME誌にあります)

別にこのひと個人に興味があるわけではないのに、99.9%ねえ。と探してまわる最中に拾った、不要不急な情報を死蔵するのもナンなので、インターネットに放流しておきますね。

・イタリアン母とアフリカンアメリカン父、イタリアで知り合って結婚、その後USへ
・エルパソ(テキサス州)で生まれてすぐ、陸軍所属の父は韓国転勤、母はそれを機に子連れで故国へ。以後シングルマザーとして子育て
・つまりNumber誌の「父親がフロリダ出身」ネタ元不明(父親の現住所はダラス)
・学校で親の絵を描く宿題が出たとき母しか描けなかったので、クラスメートにイジられた。「当時の空想上の父親は“海軍出身で世界平和のために戦っているからイタリアには来れない”だったな」
・疎遠だった父との関係性を修復することが、陸上選手としての伸び悩みの打破につながるかも、というコーチの助言もあり、生き別れていた父へ約1年前に連絡

云々。
母国メディアの取材では「アメリカ人の血が流れているのは事実だけど俺は自分のことは100%イタリア人だと思っていて」と語り(そりゃまあそう言うよね)、ニューヨークタイムズにおいては
「子どものころからのあこがれはアンドリュー・ハウ。アメリカ人とイタリア人の両親を持つ歴史的アスリートで、自分の境遇を重ね合わせやすかったから」と自ら50%を肯定する発言はあるんですけど、Number誌の「99.9%、俺はイタリア人」発言に連なるような記事は見つけられませんでした。

99.9%ってそれ、リップサービス? アメリカ人取材記者たちへの? たった0.1%だけ? と、ちょっとイジりたくなりつつも、なんとなく躊躇する気持ちが生じるのは、やっぱり「100%イタリアではない」ことで、いろいろあったんだろうな。って想像できるからです。
大坂なおみファンを自認するまでの自分なら、もうちょっと浅いところで笑って済ませていた気はするので、なおみ姐さん。姐さんのおかげっすわ。

媒体をいまひとつ信用しきれていないこともあって、この記事について言いたいことは特にないんですが、「ピュアにこだわる人たちの情熱はどこから来るのか」という問いは、このところずっと持ち続けています。

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