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「ビジネスとしてのDPZ」ウォッチャーが見た独立宣言

みんなだいすきデイリーポータルZ。がついに長年のアイデンティティー、会社の業務として変なことをウェブでやる。時代に幕を下ろし独立する。というお知らせがありました。

言いたくなったことは過去の自分がだいたい書いていたので、追記することもないか。って思いかけたんですが

ウェブマスターあらため社主の主張
「ウェブメディアが収益をあげるためにはバナーなどの方法がありますが、読者のみなさまからお金をいただく はげます会を中心にしたいと考えています。私たちは記事を書く、読んだ人は価値があると思ったら対価を払う」
このビジネスモデルに俺は入れねえ。なぜなら、という理由は上掲noteに書いたので割愛しても、ほかに言いたいことがふたつ、見つかりました。

■値付け

デイリーポータルZをはげます会価格表

比べてほしいのが下記。

2023年度ミシマ社サポーター

月1,100円は高い・いいや新聞購読料を思えば安い。などの議論はそれ自体がエンターテイメントだから止めませんが、ミシマ社の出版物に感応する層にとって月割2,500円の先払い30,000円は驚くほどの高価格ではないんですよね。
もちろんフィジカルなモノを生む「出版活動」が拠点だからこそ可能な手法、という言い方はできるでしょうけれど、DPZのビジネスセンスがだいたい苦笑いで迎えられるの、ちょっと分かる。そんな感想になったんです。
江ノ島くんアクスタしかり、化けわらじグッズしかり、それらはプラットフォームの収益ではなくライターに還元されるべき、という高楊枝思想は支持しますが、おなかぺこぺこな時はね、へこへこしたって良いんだ。そう言いたい。

■本の雑誌社との相似または近似
サムネイルの2記事を読んでひらめいて以来の持論になっている「デイリーポータルZ」と「本の雑誌」はやっぱりどこか似ている。それがもうひとつの想起した点でした。

最後まで読んで宮田って誰。と登場人物紹介欄まで戻ったらタマキングだった。なぜここに(と思ったけど複数回出てるんだな)。違和感のなさが「本の雑誌」文化との汽水域みたい

2020.4.22

DPZ好きなひとはたいてい東海林さだお好きで、椎名誠もまあまあ好きで、ってことは当然の帰結として本の雑誌との親和性は高く、その二者の汽水域が宮田珠己である説を提唱している(2か月ぶり2度目)俺も納得の1本

2020.6.29

すなわち本の雑誌社の倒産危機in2008年を思い出したんです。

・個人の趣味で始めた、仲間うちのミニコミ
・手売りから流通に乗せるようになって「商売」になった
・いつしかお財布事情が苦しく
・のっぴきならないところで現れる白馬の騎士
・そいつが良い奴なのか悪い奴なのかで心は乱れたが、食うためというよりは続けるためには軍門に下るかあ

みたいなストーリーが「ビジネスとしての本の雑誌社」にはあって、一方デイリーポータルZの場合

・個人の趣味で始めたウェブサイト起源の企画を企業の領土の片隅でこそこそ展開するうち、知る人ぞ知るレベルから飛躍
・所属する領土の変遷にともなって親分の風向きが徐々に怪しく
・魂を売るか売らないかフェーズになってしまえば、それは売れないよねえ

ってだいたい逆回転っぽい。だからどうしたとうわけではないが。

そう、今年亡くなったひとといえば個人的には本の雑誌の生みの親一択なので、なおさらデイリーポータルZのこのタイミングでの第2フェーズ突入は感慨深い。

だからこそ、今後にご期待ください、と宣言するDPZ社主の弁を読んで

林:これまでは会社が運営するサイトで、そこのものだからサイトをやめるかどうか、続けるかどうかそこの会社が握ってたんですけど、今度は僕の判断になったので、永遠に終わらないだろうと思ってます。永遠の命を手にしました。終わらせるとしたらおれが終わらせる。デイリーポータルZ終わらせるのおれしかいなくないですか。
橋田:それはそうだ。
林:引導を渡すのはおれかなと。あ、でも終わらないですよ。死ぬまでできるんですよ。定年もないですから。85歳ぐらいまでできます
古賀:めっちゃやる。
橋田:100歳までいきましょうよ。

太字は引用者

いや、めでたい席では誰も言わないことだけれど、明日をも知れぬ。ってことばはもうちょっと深く考えるに値する、とは思ったのでした。

だいたい同世代だけどちょっとだけ年上の、サラリーマンを隠れ蓑に好き放題やってる者としてのシンパシーはありつつ、ね。

あと、

江ノ島鑑定団を自称する者としても、なくなったら困っちゃうんで。


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