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読書備忘録25

この本に求めていたこと

企業モノのドラマが好きで、特に失敗談の特徴を知ることが個人的に好きなので、山一證券の失敗談を知りたいと思い購入

感想

企業の不正。今回はずっと隠し続けてきた簿外債務が、約2600億円にもなり、ついに隠しきれず明るみになる。法人営業部署で売買損失を補填するためにペーパーカンパニーを利用して、損失分をそのペーパーカンパニーにつけかえた。あまりにも額が大きくなり、旧大蔵省にも嗅ぎつけられ、自主廃業という形を取らざるを得なかった。

本件は、一定の人たちしか知ることができなかったため、社員からすると、何の前触れもなく、会社が潰れると知らされた。
この不正の全容を明らかにするために立ち上がったのが、社内の調査委員に立候補した嘉本をはじめとした、業務管理本部のメンバーであった。いわゆる「しんがり 山一證券 最後の12人」のメンバーである。

不正が起こるべくして起こっていたと思う。
大企業あるあるだが、組織が健全に機能していなかった。
1.臭いモノを見ようとしない、なんとかなると楽観的な役員陣。
2.意見を言う人間には、左遷などの不遇な措置をとっていたこと
3.道義的にダメだとわかっていても決めきれない決断力
4.未来の青写真を描かずに、情に左右された対応をしていた経営者

1、2、4は山一證券に限らず、パナソニックやシャープの人事抗争でも起きていたことだ。会社が傾く大きな要因の共通項かと思う。

しんがりを務めたメンバーは、山一證券に新卒入社して長期間、山一證券に勤めてきたメンバーであり、会社が自主廃業をしなければ、恐らくこれからも山一證券で働き続けていたメンバーである。
そんなメンバー達が、会社を去った後は異なる会社で働くものの、複数回転職している。
当たり前のように入社した会社で長いサラリーマン人生を送ってきていたのに、その後の職が定まっていないというか、、、。でもみんな口揃えて言っていたことは、後悔していないこと。自分に正直に生きてきたからこそ言える言葉なのかな。仕事は変わっても、自分の軸が太くブレていない。だから今が1番幸せと言えているのかなと。ここが、個人的に発見だったシーンだった。

自分の中でブレない軸、哲学があるからこそ、自社の見せたくない部分も公表に踏み切り、その後の人生が転々としつつも笑っていられる。

本編の最後に、本題とは関係のない部分に、心を動かされた作品であった。

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