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ゲームと教育~ゲームは本当に悪影響なのか~

私がお会いするホームスクーラーや不登校のお子さんを持つお母さんたちから受ける質問で多いのが「ゲームは自由にやらせていますか?」との質問です。

我が家は自由にやらせています。
根底には私のゲームに対する期待があります。
必ずゲームは子ども達に良い影響をもたらすと思っています。

ゲームは大きく分けて3つだと思います。

・swicthやスマホゲームなどの「デジタルゲーム」
・UNOやカタンなどの「カードゲームやボードゲーム」
・鬼ごっこやかくれんぼなどの「遊び」

 お母さん達の言う「ゲーム」は恐らく「デジタルゲーム」のことでしょう。
「放っておくと一日中マイクラをやっている」という子もいるようです。

何故、世の親は子供からデジタルゲームを遠ざけようとするのでしょうか。

私はとても不思議なんです。
自分自身がゲーム(ファミコン&スーパーファミコン)ばかりしていた小学生だったこともあるし、私の周りのゲーマーは(私よりもゲームを種類も時間も熟している方が多いのですが)みんな頭もよくて仕事も出来るし、なぜこんなにも【子ども×ゲーム】が「ダメなもの」になってしまったのか。

本当にゲームは子どもに「悪影響」なのか

先ほど挙げたようにゲームは大きく分けて3つ。
・swicthやスマホゲームなどの「デジタルゲーム」
・UNOやカタンなどの「カードゲームやボードゲーム」
・鬼ごっこやかくれんぼなどの「遊び」 

大きな分類はこの3つなのですが、子ども達のゲームの使い方は2つだと思います。

・遊ぶ
・作る

(ゲーム実況を「見る」などの行為は今回は除外します)

多くの親は「デジタルゲーム」×「遊ぶ」の組み合わせで起こる子どもへの悪影響を懸念しているのだと思います。

でもそんな親たちにも、ゲーム分類がどれであれ、掛け合わせられるものが「作る」行為であればゲームは教育として正当化されます。

ゲーミフィケーションという言葉ができ、ゲーム化はビジネスでも多用されてきました。
教育系イベントでもゲームを作るというワークショップが開催されていたりします。
そして今後小学校でも必修化されるプログラミング学習ではまさにゲーム作りも学ぶわけです。

元来、子ども達が遊びの中で作ってきたゲームはとても多いと思います。

私が子どもの頃は近所の子ども達と一緒に色んな遊びを生み出しました。ルールも自分たちで作っていきます。
かくれんぼと鬼ごっこを掛け合わせたような遊びはたくさん出来ました。
そう考えると缶蹴りやケイドロもそれらの組み合わせから生まれたものかもしれません。

いま我が家のホームスクールは、YES International School東京校で過ごすことが多くなっているのですが、その中で末娘が行っている継続的なプロジェクトのひとつに「ボールゲームを作る」というものがあります。

実際のボールを使ってみんなで出来るゲームを考えています。

これ、いま3つくらいゲームとして完成しているのですが、なかなか面白いものを作ります。

かくれんぼとドッヂボールを組み合わせたり、
宝探しとドッチボールを組み合わせたり。
おにごっことかくれんぼとドッチボールを組み合わせたり、

デジタルゲームと違って、小2の末娘が作ったゲームはルールに穴だらけです。スムーズに遊びが遂行されない場合も多い。
またYESでは異学年の子ども達がごっちゃになって遊ぶので、遊ぶメンバーによってはルールの改変やハンデづくりは必須なわけです。

デジタルゲームやボードゲームは最初からルールが決まっていて遊び方も決まっています。ルールや遊び方に則って、多少難易度の設定はあっても、プレイヤーが能力をゲームに合わせなくてはいけないので、ゲームによっては「従った遊び」しか出来ないのです。

その点だけを考慮して比べてみると「作りたての遊び」はルールの改変し放題。
子ども達がそれぞれで頭を使い一緒に遊ぶ異年齢児童に配慮しながら遊びを完成させていきます。
これはPBLに直結することも多いため教育的要素がわかりやすいのです。

なので、高学年にならないと難しいかもしれませんが、デジタルゲームやボードゲームなど「従った遊び」として完成させるまでをみんなで作る過程そのものも、プロジェクト学習としてはかなり優れているものだと思います。

「遊ぶ」は学習にならないのか

ではルールがあり遊び方が決まっているゲームを「遊ぶ」ことは学習にならないのでしょうか?

私はそうは思いません。

ゲームの多くはクリティカルシンキング(批判的思考)やロジカルシンキング(倫理的思考力)を養うものだと思っています。そして、ゲームはその養ったそれらを瞬間的に機能出来る判断力まで養ってくれるものだと思います。

デジタルゲームではこれは顕著です。

エビデンスは?実証されているのか?
と思う人も多いでしょう。

例えば、アクションゲームをやりこむと正確な判断が素早く出せることは証明されています。そしてアクションゲームで遊ぶことで脳の認知機能障害を和らげたり、障害そのものをなくしたりできる可能性があることも明らかになっていますし、(http://www.wired.co.uk/article/adam-gazzaley-neuroscience-and-gaming-wired-health-2015)複雑で管理能力のいる作業の効率がゲームをしない人よりゲームをする人の方が30~50%向上したという研究結果もあります。

他にも、テトリスをプレイすることで大脳皮質(知覚、随意運動、思考、推理、記憶など、脳の高次機能を司る部分)が活性化されることは海外の研究で報告されていますね。(https://www.sciencedaily.com/releases/2009/09/090901082851.htm)未だこの実証が覆ったと言うニュースは目にしていません。

ゲームの効果は他にもあります。

よくゲームに没頭すると社会性は養われないと言う方がいますが、これも研究結果では否定されています。
ゲームで遊ぶ人の65%が、実際の友達と一緒にゲームで遊んでいるとの調査結果もあります。友人や恋人、夫婦、家族の関係性においてゲームが良い影響を与えているという調査結果もあるのです。
他にもテレビゲームにはセラピー効果があることも実証されているようですし、これから更に研究が進んでいけばゲームが子どもに悪影響だと言う人も減っていくかもしれません。

それでもまだ「作る」しか信頼できない人へ

それでもまだ、子どもがゲームで遊ぶことに抵抗がある人はいるかもしれません。

「作る」ことなら許容できるのであれば、それは少し誤解があるかもしれません。
ゲームの中では「遊ぶ」と「作る」は真逆にあるのではなく、実は共存しています。
ボードゲームやカードゲームはデジタル制御されていませんので、先に挙げたルール改変も可能な訳ですから組み合わせは最高ですよね。

でもデジタルゲームも「作る」要素が取り込めるものも実は多いです。
デジタルゲームは「クリエイティビティな能力は養えない」と言われることも多いですが、冒頭で挙げた親たちが懸念する子ども達が夢中になるゲームのひとつ「マインクラフト」もクリエイティブなゲームなのです。

我が子たちはマイクラ内で色んなゲームを作って、みんなで遊んでいます。
自分たちでルールを作りながら。

ゲーム依存症について

ゲームと一括りにしても、遊ぶもの、遊び方、使い方は様々です。
使い方が心配であるなら、親が先回りしてとことん学べばいいと思います。そして一緒に遊べばいい。

「ゲーム脳」などと言う言葉が一時期ささやかれましたが、それこそエビデンスのないものでした。

ちなみにWHOが警笛を鳴らした「ゲーム依存症」や「ゲーム障害」については、確かに心配をする必要がありますが、この私の文章を読んでくださっている方であれば、どのような環境下で、どのような過程で、どのようなゲームで、どのような人がなるものなのか、きっとご自身の判断で調べてくださると思います。
知識を持ったうえで、ゲームとどう付き合うのかは、本人と親が判断することだと思います。

それでも、ゲームを一方的にやってほしくないなら、ゲームよりも熱中できるものをぜひ一緒に見つけてあげてください。


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