コシツのコシツ_バナー川久保

コシツのコシツー3号室の場合

こんにちは、「北大路ハウス」での日々の暮らしやイベント企画のようすをお届けする「住人エッセイ」です!
毎回テーマを決めて、6人の住人+管理人の計7人が交代で執筆していきます。
今回のテーマも前回に引き続き個室についてです!

【コシツのコシツ】
北大路ハウスの個室は3畳程度の狭さで、形もそれぞれ異なっている。建築学生たちはこのクセの強い個室にどんなこだわり(=固執)を閉じ込めるのか?(個室についてもっと知りたい方はこちら

【登場人物】
3号室 かわくぼ(M1):川久保美桜(かわくぼ・みお) 京大大学院M1。建築ではなく美術史や美学の人。最近の悩みは大学まで自転車で鴨川を走っていると顔に虫が当たりまくってつらいこと。
4号室 マンキー(B3):萬喜 亮太(まんき・りょうた) 京都工芸繊維大学B3。建築合宿の代表や美術部の部長などを務めたり活動的。色々やりすぎてるせいで部屋の施工とか北大路でのイベントが後回しになってることが最近の悩み。

【目次】
1.建築学生じゃない学生が建築を考える
2.自由にモノを置く

■建築学生じゃない学生が建築を考える

マンキー  かわくぼさんは住民の中では唯一建築学生じゃないですけど、そもそもなんで入居を考えたんですか?

かわくぼ 父が建築士なので小さい時から建築に興味があったんだけど、高校で油絵をやり始めてから美術に関心を持つようになって、大学では建築じゃなくて芸術学を学ぼうと思ったの。でもやっぱり建築への憧れがあったから、この北大路ハウスの住民になろうと思いました。

マンキー そうだったんですね。でも美術と建築って互いに関わる部分もあるからいい影響がありそうだなと思っていました!個室はどんな感じにするんですか?

かわくぼ 最初はあれこれつくってみようかなと思って考えてたんだけど、父に考えたプランを見せてみたら「こんなん出来ひんで」と言われてしまって…(笑)。なので最低限必要な棚だけつくろうと思いました。

マンキー 最初はどういうプランだったんですか?

かわくぼ 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAで展示されていた「ホテル養生」という作品が面白くて、こういう感じの部屋って楽しそうだなと思いました。これはギャラリーにある可動壁の中に床を作ってベッドにしたり本を置いたりしたもので、狭い壁の中を工夫して空間を生み出していました。これを真似て、寝床を浮かすとか、寝床の上に棚をつくるとかしたいなと思っていたんですが、父に「地震が起きた時に棚に置いたものが自分の上に落ちてくるから危ないよ」と指摘されてハッとしました。
設計ってこれからつくるものを考えることだから、色んな可能性を想定しなくてはいけないんよね。この視点が私にはなかったので、むしろ想定はせずに今目の前にある本やコップとか、その場その場でモノを配置していくことを楽しみたいなと思うようになりました。

「ホテル養生パンフレット」江戸時代の本草学者・貝原益軒による、健康についての指南書「養生訓」をテーマに、教員と学生によって制作された美術作品。画像は「ホテル養生」Facebookページより(https://www.facebook.com/hotelyojo/)

最初に考えていた個室案。寝床の上に棚をおいて、その下を潜れるように考えていました。でも確かに寝ているときに上から物が落ちてきて当たったら痛い...。

■自由にモノを置く

マンキー 確かに可能性を想定するって建築にとっては大事ですよね。今行っている離れの改装のワークショップでもこんな使い方ができるとか、逆にこれは不便だとか色んな想定が挙がってました。自分も個室の前に私物を置いて楽しんでいますけど、自由にしすぎると苦情が挙がってくるので難しい…(笑)。

かわくぼ 共有部はみんなの場所だからね~。
でも自由にモノを置くことって不思議な魅力があるよね。テレビ番組の「探偵ナイトスクープ」で、探偵がいきなり人のお家に入って番組の視聴率を調査する企画って見たことある?その時に映される家の中ってあまり綺麗とは言えないし、むしろ散らかっているけど、なぜかつい見てしまう。規格が揃っていないボックスや収納ケースを並べたり、一時的に置かれたであろうモノの上にさらにモノを置いてめちゃくちゃになっていたり…。でもその場しのぎのモノの配置って真似できないので独特の面白さがあるなと思う。
ちょっと似ているのにアーティストの下道基行さんの作品で《ははのふた》というものがあります。これは下道さんの義理のお母さんがヤカンとかポットの蓋にその場にある皿とかコップを代用している光景を写真に収めたもので、側から見ればおかしな様なんだけれど妙に日常に馴染んでいるんだよね。そしてこれに目を向ける下道さんの眼差しが微笑ましいなと思いました。

下道基行《ははのふた》(2012 - 2015)
画像は下道基行氏ホームページより(http://m-shitamichi.com/hahahuta)

マンキー 確かに自分の母も謎のレイアウトをしているなぁ…(笑)。そういうのも視点を変えれば面白く見えるかもしれないですね。
あと棚はもうつくったんでしたっけ?

かわくぼ そう!ホームセンターで2×4の柱と、棚板と、ラブリコという簡単に柱を天井に取り付けできるDIYパーツを買ってきてつくりました。今まで荷物で部屋が圧迫されてたんだけど、棚のおかげでかなり快適になった!

ホームセンターで材料を買ってきて組み立てているところ。

1時間30分くらいで出来ました。DIYは楽しい。

マンキー おお、結構大きいですね!これならたくさん置けるから狭い空間でもやっていけそう。ん?これはなんですか?

かわくぼ これは細川たかしです。近所のスーパーに置いてたチラシを切り取って貼ってみたよ。木の節と呼応する感じです。

マンキー めっちゃ節に似てますね(笑)。
友達だったらふざけてやっただけかって思いますけど、かわくぼさんがそれを貼ってると芸術的に深い意図があるのではと勘ぐってしまいます...(笑)。

かわくぼ あと他にも友達にもらったカラーボールをなんとなく床に置いてみたり、日々色々楽しんでいます。あと廊下とか共有部までモノが出てきている方が楽しいなと思うので、これからは自室内だけなくもうちょっと飛び出して行こうかなと思っているよ。

マンキー  自分も思い切って遊んでみようかな...!では来週は僕のお部屋を紹介します!

⇒【次回】個室4は6月29日に配信予定です。お楽しみに!

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