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一人で夜を過ごす10代を知るあなたへ

こんばんは、キッチンタイマーです。

この度、私の書いたエッセイが『#8月31日の夜に。(生きるのがつらい10代のあなたへ)』という書籍に収録されました。本日24日、発売です!

ついに、キッチンタイマーの名前のほうで書いた文章がISBN番号が付いた本に掲載されました。オンラインにしかなかった名前が現実のほうに足を踏み入れた瞬間です。172ページのところに私がいます。

掲載いただいたのは「エンドレスエイトを抜けて。」です。

noteのほうは、掲載したときのままにしてありますが、書籍に収録されているほうはいくつか手直しがいれてあります。

先日、手元に書籍が届いたのですが、やはり紙の本になるというのは重みがありますね。そして、そこに自分の名前と文章がそのまま載っているというのは不思議な気分です。

それと、私の文章ってもう、すっげぇ長いんですよ。2000文字が通常形態で、長ければ3000文字とか突破してしまうんですが、それが全部収録されたのは本当にすごいなと、思います。いやーすごい、すごいなぁ。

……さて、すごいんですけどね。ちょっと聞いてください。

この本の魅力を語ろうとすると、私は手が止まります。

本当はもっとこう「こんな人に手に取ってほしいです!」とか書きたいのですが、本当にこの本を手にしてほしい人って実はその、私みたいな大人から「読みなよ!」って勧められても不快に感じるのではないかと思うんですよね。

なぜなら、私がそうだったからです。中学生の私に勧めるとして、今の私から本を差し出されたら絶対どっか放り投げますね。もうそれは、私がこの本を手渡すにはふさわしくない人になってしまったのだと、感じます。俺の痛みなんかわかるわけない。って私を見たら多分思います。

私が直接「読んでください!」って伝えたい10代の子は私からの「読んで!」がとても嫌なんだと思うんですよ。とんでもなく煙たいと思うんです。今私が勧める本はジョジョの奇妙な冒険だろうが、ナルニア国物語だろうが「今の君にぴったりだと思うんだ」みたいなトーンで勧めることによって、半永久的に読まれない本として昇格させることができる気がします。

なので、そういう意味では、これからこの本を手に取ろうとしている10代の方には今書いているこのnoteは目に触れてほしくないなと思います。でも、その子の力になれるのなら、この本は読んでほしいと思います。

そういうわけなので、私が告知をして「あ、これ絶対読まねぇ」ってなる人にどうやって何を伝えればいいものだろうかと考えたんですけれども、このnoteを読んだ方の中で「近くにこの本を勧めたいと思い当たる人がいる」という方に向けてメッセージを書くことにしました。タイトルを見てピンとくる方が、いっぱいいるのではないかと、私は思っています。

えー、しかし、すごいわがままを申しますと、本そのものを勧めるのではなくて、お手に取っていただいた際にちょっとページをめくっていただいて、いろいろな8月31日に触れる中で、好きなエピソードがあればそれを伝達する形でうまいこと話をしていただければなって思うんです。

あくまでこう「お前は別に変じゃないんだぜ」みたいな。「お前のいるところ、昔こんな奴住んでたらしいぜ」みたいな。とにかく、発破かけたり頑張らせる感じではなくて、実際に読んでみてあなたが面白いと感じたところをシェアしてほしいんです。感想です、感想。

その際にもしも「それ、なんの本?」って聞かれたら、そっと教えていただければ私はうれしいです。これは矛盾した話なんですけど、もしこの本の届いた先が生きるのが辛い10代の隣にいる人だったなら、この本そのものは、本人には読まれなくてもいいんじゃないかと思っています。どういう形であれ「私の近くに誰かがいる」と気が付いてもらえたらいいと、私は思います。

この本をこのnoteで初めて知ったあなたが、もし「生きるのが辛い10代を知っている方」であるのなら、その子を助けるのはこの本よりも、あなた自身である可能性が圧倒的に高いです。

あなたが、身近にいる人に届けたいと思った言葉を、あなたの口から伝える。それは、仮に誰かの人生の引用であってもいいと思います。あなたが好きだと思ったことを伝えて、しかもたまたま偶然心に届いたその瞬間に、言葉は力を持つのだと私は思います。それが誰かの受け売りであったとしてもです。

「これは私に向けられた言葉だ。私のための言葉だ」

受け取る人がそう思った瞬間に、言葉はとんでもない力を生み出すことが、ごく稀にあります。そういうものだと、私は思っています。

さて、もう10代ではなくなってしまった皆さん。生きるのがしんどい10代の人を知っている皆さん。むしろ、その10代の人とどう関わればいいかわからずにしんどい思いをしている皆さん。

この本は、しんどい10代の子が「自分の手で」取らなくては効果を発揮しない本です。私からどれほど勧めても、おそらくどこかに放り投げられてしまうでしょう。図書室か、児童館か、もしくはたまたま入った本屋で、この本を見つける。偶然だか運命だかわからないものに頼らなくてはいけません。

しかし、もう一つ、私が頼りにしている偶然だか運命だかわからないものがあります。あなたが今、このnoteを読んでいるということです。そして、私の言葉がごくまれな偶然を起こして、あなたに届くかもしれないということです。

あなたがその子に寄り添うお手伝いをさせてください。

この本には、私以外にもたくさんの8月31日の夜を乗り越えてきた人たちの言葉が書かれています。もし、あなたの近くにいる生きるのが辛い10代の子に、かける言葉が見つからないなら、この本を手に取ってページをめくってください。最初からじゃなくてもいいです、ザクっとめくってもらっても大丈夫です。

引用でもいいです。うろ覚えでもいいです。言葉をかけてあげてください。

一回では全然何ともならないかもしれません。そもそもあなたがその子から信用されていないかもしれません。「またこいつ、綺麗なこと言ってんな」とか思われるかもしれません。それでも、一言「その子に向けた」言葉を向けてあげてください。いい方向に進めるための言葉ではなく「一人ではない」と感じてもらうための言葉が、この本の中には入っています。

この本がどうか、この本を必要とする人の手元に届きますように。

キッチンタイマー


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