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増える、散らばる、消える。迷子のボールペン。

今回のテーマはボールペンだ。

ボールペンは奥が深い、語る際には少し気を使う。グイグイ勧めたい部分もあるのだが、使い心地の良いペンは人によって違うので、自分の使いやすいペンを安易に勧めることはできない。また、高級感のあふれるペンの代名詞といえば万年筆なので、ボールペンについて語るとそこまで盛り上がらない。

「ここがすごい!」

という感動を声にする機会もあまりないので、誰にも気づかれないまま静かにズブズブと沼にハマっていくような気分だ。インターネット上でレビューや、仕組みの解説なども、あることにはあるのだが、結局の所自分で使ってみないとわからないし、ペンそのものの価格も100円前後なので「迷ったら買う」という悪しき習慣が根付いてしまっている。結果的に、家の中は半分も使っていないペンが床に散らばったまま救出されない状況となった。

ボールペンは買ってもすぐに無くしてしまう。えんぴつを最後まで使い切れたことがないように、ボールペンも例外ではない。ポケットの中にペンをしまって、部屋に戻り、ポケットからペンを取り出してメモをして、出かける時にメモ帳をカバンに押し込んだものの、ペンを机の上に忘れてメモが取れない。ということがよくある。更には、ちゃんとカバンの中にペンを入れていたのに、メモを取るときには「ああ、家に忘れた」と思い込んで、ペンを借りたものの、家に帰ってからカバンの中にあったことに気がつくこともある。かと思えば同じペンが3本、カバンのなかに放り込まれていることもある。でも大体は1本しかペンは使わない。

私はV-CORNというボールペンを気に入って使っている。いかにもブランドっぽい名前だが一本90円位のボールペンだ。変わったところとしては、普通のボールペンと違い、芯の交換ができない。ペンのパーツ全てはしっかりくっついており、交換も含めたカスタマイズがほとんどできない。キャップを外す、くらいのものだ。

ペン本体も半透明で、中のインクがよく見える。書けば書くほど目に見えてインクが減っていく。このペンのインクは非常に減りが早く感じるので、いつの間にか使い切ってしまう。私はこのペンをいつも、カバンか服のポケットに入れていてメモをする時はだいたいこのペンを使っている。

長々と語ってきたが自分の持っているペンの話をすることは殆どない。何度考えても話題として盛り上がりそうなほど高級なペンにも見えない。良さを説明しようにも"直液式"とか言われても、それ以外に何式があるのかイメージできないと、この手の話はちんぷんかんぷんになってしまう。

でも、V-CORNはぜひ一度試してみてほしい。100円しないペンの中では、抜群の書き心地のせいか、液体という性質のせいか、どんどんインクが減る。その代わりほぼ力を入れずに書ける。書いていて疲れない。手が疲れていても、書ける。そういうペンだ。筆圧が強すぎる人は、是非トライしてみてほしい。

書くことへのストレスというのは、日々、微妙な強さで蓄積されていく。買ったものの手に合わなかったペンが、今も床に散らばっている。

……いや、まぁ、片付けなくちゃいけないんですけど、捨てるのも……勿体ないんですよね。

ときおり、拾ってはペン立てに入れていたのだが、既にペン立ても満員だ。

この話を書こう、そう思ってメモ帳を出したけれど、ペンが見つからないので、結局スマホでメモをした。

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今回のテーマ「ボールペン」

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