小熊が選ぶ、2018年ベストソング60

今年はいろいろあって、クロスビートの年間ベスト号が出なかったのもあり(昨年の号が売れなかったわけではないらしいよ、念のため)、自分の年間ベストをまとめることもないまま、ズルズル大晦日まで来てしまって。でも、何かしら出さないと気持ち悪いので、勢いでバーっと書きなぐってみました。

そんな感じなので、60位→1位の順にコメントも用意しています。急いで書いたのでかなり雑で申し訳ないですが、セレクトだけ発表するのは趣味自慢コンテストみたいで好かんので。

順位だけ手っ取り早く知りたい人は、プレイリストをご参照ください。

60という中途半端な数字なのは、これ以上削れなかったから。アルバムではなく曲単位で選んだのは、ストリーミングでばっかり聴いてたから(反省)。では、そんな感じでさっそく。

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60.Tank And The Bangas/Smoke.Netflix.Chill.

ニューオーリンズの人たち。曲名からして緩くてラヴリーで最高ではないですか。スクラッチがきゅきゅって入るのも可愛い。2017年のTiny Desk Concertも天国すぎる気持ちよさ。

59.Insecure Men/Subaru nights

Fat White FamilyのギタリストとChildhoodのフロントマンによる謎のデュオ。坂本慎太郎に通じるラウンジ〜リゾート感を、悪意のある方向に推し進めていて癖になる。曲の途中で「フー!ハー!」って入るのは全然可愛くない。

58.Eels/The Deconstruction

イールズは最初の3枚だけ凄く好きで(以降も曲単位だとよかったりするんだけど)、特に『Electro-Shock Blues』はスーパー愛聴盤なので、巡り巡ってあの頃のフィーリングが戻ってきたのは感慨深い。今回のアルバムだと「Today Is the Day」も超いい曲。日本盤ライナーノーツを書きました

57.Gorillaz/Magic City

今年6月にZepp DiverCity Tokyoで開催された、ニューアルバム全曲再現ライヴは実に素晴らしかった。そのあと期待値MAXで聴いた『The Now Now』は思いのほか地味で、特別なシチュエーションがよかったのかしらと思ったけど(ごめんデーモン)、アルバム終盤のメロウな流れはやっぱりいい。ライヴレポートを書きました

56.OGRE YOU ASSHOLE/動物的/人間的

学生時代はO-nestに通い詰めていたので、昔から知っているバンド。と言いつつ熱心なファンでは決してなく、むしろ作風が変わってからは醒めてたところもあるけど(すみません)、この曲はめちゃくちゃいい。淡くて切ない。イントロにステレオラブっぽさを薄っすら感じる。

55.Kali Uchis/Just a Stranger (feat. Steve Lacy)

ジョルジャ・スミスの「Blue Lights」と一緒で、イントロの切ない響きだけで全部もってかれる。仕事が被ってフジロックで観れなかったのも切なかった。スティーヴ・レイシーの参加作といえばジ・インターネットの新作はもちろんとして、Ravyn Lenae『Crush EP』もすごくよかった。

54.Rejjie Snow/Egyptian Luvr (feat. Aminé & Dana Williams)

『Dear Annie』は今年一番よく聴いたラップアルバムかも。音もテンションもひたすら丁度よくて、困ったときに取り出したくなる。クライロと一緒にやってた曲もよかった。キング・クルールとフリースタイルやってる音源(2014年)とか今となっては微笑ましくもあるけど、そうやって水面下で進んでいた世代交代が一気に顕在化した年なんだなーと。

53.Jain/Alright

「国際色豊か」という表現はこの人のためにあると思うし、どの曲もポップで可愛くて、聴いているうちに元気になってくる。年明けの来日公演は絶対に駆けつけたい。今年のフランスは、ジェインとクリスティーヌ・アンド・ザ・クイーンズの新作が同時に届いたわけで、盆と正月が一緒にやってきたようなものですね。

52.Baloji/Soleil de Volt

ストリーミング経由だとワールド系の音源を探すのが難しくて、今年はあんまり手が回らなかったんだけどこの曲は好き。バロジはお洒落でかっこいいね。

51.the pillows/Star overhead

山中さわおさんにインタビューさせてもらったのは一生の思い出。そして、あのアニメと組んだら今でもこんなイイ曲が出てくるんだなってときめき。「フリクリ オルタナ」もノスタルジックな雰囲気だけで泣いてしまった。ていうか、あの「フリクリ」にノスタルジーを覚えてしまうだなんて。加齢を実感させられた一年。

ちなみに、the pillowsは高校時代にとある人から「開かない扉の前で」を教えてもらって好きになり、そのあと黄金期のアルバムに触れて激ハマりして、さらに「フリクリ」を観て取り返しがつかなくなった感じです。

50.Paul McCartney/Fuh You

長年のグレッグ・カースティン信者だったけど、『Egypt Station』ではライアン・テダーが唯一手がけたこの曲だけプロダクションが今っぽさ全開で、信仰が少し揺らいでしまった。先の来日公演でも、この曲をやっていたときが一番輝いていた印象。ライヴレポートを書きました

49.Superorganism/Reflections On The Screen

スーパーオーガニズムの前進バンドがジ・エヴァーソンズだったていうのは、つくづくイイ話だなと思う。WIREDでインタビューさせてもらった際は、取材の5分前に(同行していた)若林恵さんに「ヨソでも訊かれるだろうし、音楽の話はなくていいんじゃん?」的なことを提案されて、急遽アドリブに切り替えたのでした。うまくいったかはわからないけど、自分のなかで学びの多かった取材のひとつ。

48.Yuno/No Going Back

その若林恵さんがどこだったかでTシャツを着てたのを見て知った曲。ポップ至上主義者なので、こういうサイケでドリーミーで都会的で開放感のある曲は大好きに決まっている。

47.Palm/Composite

マスロックが今もポップな方向に進化していることを知り、感激してしまった一曲。トクマルシューゴさんが彼らについて「総合的テクニックの進化を感じる」とツイートしてたのも印象的でよく覚えてる。

46.Smino/L.M.F.

SKY-HIさんとのインタビュー(聞き手は小熊)でも名前が挙がってたSaba、Towkio、Sminoといった面々は、自分のような軟弱者にも聴きやすいラップとして愛聴したものでした。Sabaの「LOGOUT」もすげーいい曲だけど、「L.M.F.」のキャッチーなノリには抗いがたいものが。

45.George FitzGerald/Frieda

『All That Must Be』は今年のエレクトロニック系でも隠れ名盤だと思う。やっぱりポップでチャーミングでユーフォリックな作品が好きなんだなー。ボノボとかと一緒にトレイシー・ソーンが参加しているのもポイント高い。でもこの曲が一番いいね。

44.Garden City Movement/Slightly All the Time

イスラエル熱いよねっていうのを、バターリング・トリオとともに教えてくれた3人組。ビートの組み方やサイケ感にお国柄が感じられるけど、この人たちはとことんスタイリッシュ。アルバム『Apollonia』は一部で超話題になったクルアンビンと同じレーベル、Night Time Storiesから。2019年4月に来日公演も。ライナーノーツを書きました。

43.Dorian Concept/J Buyers

ソニックマニアでのライヴは最高だったなー。「このアルバムに出てくるジャズも、そこにおける僕のアイデンティティも、ジャズではなく、僕が考えるジャズを模倣したもの、なんだよね」っていう発言通り、アルバムのコンセプトからして惹かれる要素しかない。ライナーノーツとオフィシャルインタビューを担当しました。

42.Now Vs Now/Silkworm Society

『The Buffering Cocoon』は、今年のジャズで一番好きなアルバム。鍵盤やエレクトロニクスの響きが一気に洗練され、ストレンジで儚いトーンが前面に出たのがいい感じ。ジェイソン・リンドナーが『★』に参加していたのもあって、ボウイの『Low』と重ねてしまう。あと、R+R=NOWにも参加してたドラマーのジャスティン・タイソンがいい仕事してる。

41.ものんくる/RELOADING CITY

ポップ・ミュージックは突き抜けた、化けたと思わされる瞬間がいつだって最高なわけで。強烈なまでに勢いを感じた曲。ベースラインが恐ろしくかっこいい。ものんくる最高。

40.Joey Dosik/Don’t Want It to Be Over (feat. Coco O.)

ポップ至上主義者なので好きに決まっている曲。EP『Game Winner』の頃からアルバムをずっと楽しみにしていた。生でライヴをご覧になられた松永良平さんが羨ましい。最近はどんな感じなんだろ。

39.Jamie Isaac/Wings

リリース直後は年間ベスト候補の筆頭だったんだけど、来日公演を観てすこし熱が落ち着いてしまった。ごめんジェイミー。でも、ライヴ中に黄色い歓声がわくなか、ピクリとも反応しなかったクールな佇まいはかっこよかった。これからもっと伸びるはず。新譜キュレーションで紹介しています

38.Everything Is Recorded/Bloodshot Red Eyes (feat. Infinite & Green Gartside)

スクリッティ・ポリッティのグリーン・ガートサイドが参加してるだけで100万点。極上のソウル。XLはあんまり目立たなかった一年だけど、Jungle、Smerz、Nines、Baba Stiltzと実りは多かった。ライナーノーツを書きました。インタビューもしました

37.Elvis Costello & The Imposters/Stripping Paper

“普通にいい曲”の尊さ、ありがたさを思い知らされる匠の仕事。思わずコステロのバックカタログも聴き返してしまった。せっかくいいアルバムなんだから、あんなダサいジャケにしなくても……。

36.Daphne & Celeste/16 Stars

2018年はマックス・ツンドラが復活した年でもあった。10年待ったよ! 自分からプロデュースを名乗りでただけあって、ダフニィ&セレステとの相性も抜群。相変わらずのキラキラで屈折した音作りに涙が止まりません。他にもインストの新曲も発表したり動きを見せてくれたので、この次は本人名義の新作をなんとか。

35.長谷川白紙/毒

ヴェネチアン・スネアズみたいなブレイクコアなのに、まったくダサく聴こえないのはなぜ。各所で絶賛されているように、他の曲もかっこいい。歌声もエモい。何者なんだ長谷川白紙。インタビューしてみたい。

※リンク見当たらないので他の曲ですみません

34.Jacob Collier & Metropole Orkest & Jules Buckley/With the Love in My Heart

天才ランキングだったら間違いなくぶっちぎり1位のジェイコブ・コリアー。驚異のひとりパフォーマスに比べて、レコーディング作品になると音色にやや難があったのが、メトロポール・オーケストラの貢献もあって一気に解消。いよいよ隙がなくなってしまった。中村佳穂さんが年間ベストに挙げているのも納得。

33.SOPHIE/Is It Cold In the Water?

チャーリーXCXに取材したとき(感涙)、ポップ・ミュージックを確実に進歩させている人物として名前を挙げていたのがソフィーだった。PCミュージックはずっと好きだけど、彼女のアルバムは明らかにひとつの到達点。血まで凍りつきそうなバブルガムポップ。

32.Troye Sivan/My My My!

愛と情熱とダンスの一曲。2016年のフジロックに出演してたとき、Tシャツのデザインが可愛くて買ったのを今更思い出す。この才人に関しては、新谷洋子さんのインタビューが素晴らしいのでぜひご一読を。そんなトロイもソフィーもカーリー・レイ・ジェプセン(新曲よかった)も巻き込みながら、ポップを更新させようと突き進むチャーリーの志たるや。

31.Deafheaven/Honeycomb

相変わらずデスボイス満載なんだけど、今回のアルバムは普通のロックファンにも聴きやすい内容で、個人的にもようやくハマった。どちらかというとエモ/ポストハードコア、あるいはソニックユースの『Daydream Nation』30周年なんかと一緒に語りたくもなってくる。この曲を聴きながら散歩すると最高に気持ちいい。11分が一瞬に感じる。

※超重くなりそうなのでページ分けます。
30位〜1位はこちら

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小熊俊哉

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