物語の広げ方とまとめ方について ~水星の魔女 二期はひどい…~

水星の魔女が次回で最終回ですね(2023年6月末日)。一期は本当に最高のガンダムアニメだと絶賛していたのですが、二期はこうかみあわなさとつまらなさが気になってきました。で、タイトルの件について考えさせられたので、整理しておきます。

一期を紹介絶賛した感想記事はこちら




一期、二期のおさらい

一期では当初ガンダムとその関係者を魔女として、弾劾してきました。しかし、その度に二人を中心に、決闘やら説得やらで乗り越え、その存在を認めさせてきました。ついにガンダムという会社を設立。しかし、設立後も右往左往しながら、なんとかかんとか新しい道を模索していく中、ガンダム会社属する複合企業体内の権力争いで、多くの人が傷つきすれ違い、死んで、主人公二人の間にも亀裂が入りました。暗雲たちこめます。

ここまでの一期には、魔女や花嫁の存在を認めさせる戦いという明確な目的がありました。そして、紆余曲折でもがく様子が人間味やドラマに溢れていました。ここから、二期の展開はざっくりこんな感じです。

まずは、グエル先輩(父親殺し)の懺悔と地球と宇宙のわだかまりを表現する荒れた地球編。

次は、その地球の人間が引き金を引く学園?文化祭でのテロ事件。金髪君の企てた誘拐クーデターです。そして、権限を手に入れた金髪君はその理想のために、更なる権力を求めようとします。

次いで、複合企業体のトップ不在から、誰をトップにするかの総裁選へ。しかし、金髪君は敗北で離脱し、ある程度の達成はあったものの地球と宇宙の溝はうまらないままに終わります。こうしたトラブル続きで、複合企業体は解体分裂寸前に傾きます。

総裁選は半ばうやむやになり、そのまま仮面の女によるクワイエットゼロが始動。時折こぼしていた真の目的達成のために、もう後数歩のところまで!しかし思い通りにはいかず……最終回、結末は!?ですね。





二期がつまらない原因

一番の理由は、主人公たちの存在感(目的と目的に向けた動き)がないからです。一期は物語のテーマ(差別、親と子、戦争と平和と死)を、目的に向けて動く主人公たちで上手く表現し、その目的達成の苦難の道のりも胸踊るものでした。しかし、二期になると、地球と宇宙の争いの描写や、金髪君の暗躍。最後はクワイエットゼロと続き、そこに主人公たちの目的はほぼありません。

起きた問題に対処して、なんやかんや動いてはいる(対立の解消、崩壊した学校の支援、金髪君を追い詰めて捕まえる等々、総裁選へ立候補する準備)ように見えて、目的に向かって進んでいるわけではありません。もどかしさじれったさを感じます。

次いで、二番の理由は、仮面の女クワイエットゼロ計画と、金髪君の物語上の絡みが弱いせいです。別個に二人の敵と戦っているような分断も展開に集中できない要因だったと思います。特にクワイエットゼロなんて、結局誰の手を借りたり利用したかも、あんまりわからないまま完成してましたし。そんな簡単にクライマックスができるんなら、途中の金髪君の展開は必要あったのだろうか…って思ってしまいます。金髪君を隠れ蓑にしたり、途中から本当の目的を明らかにして離反して真のラスボスになるみたいな連続性があるならばまだしも、そういうわけもなかったですし。色々私の読解力不足でしたらすいませんが、そんな感想です。





まとめ 反省を踏まえて

物語を広げる時は、物語のテーマを考えて、展開的に親和性があるいくつかのテーマを選ぶこと。それに見あうキャラを用意して、また対立するキャラも用意して、様々な目的と場面が交錯すること。伏線もここではる。ただし、主人公というか一番目立たせるキャラは当然として、他の人も目的に徐々に向かわせること。テーマについては下記記事を。



物語をまとめるときは、広がった話を束ねる作業といいかえられる。束ねて1つにまとめるのだから、広げた皆の動きが、その束ねた結果に影響を持つように構築する必要がある。束ねた時に、後から無駄に思える部分は最初からカットするか小さくする。最後の束ねた先の目的にちゃんと皆が向かっていくかを随時確認する。先走っても、遅くてもダメ。タイミングもあわせる。





主人公たちを活躍させるてこ入れ

一期の奮闘にて、存在を認めさせる!居場所を作る!の目的は成就してしまったので、主人公らに次に向かう新たな目的が必要だったと思います。ざっくり思いつくのは下記の通りです。

水星に学校を作る! → 資金集め?子供の実情調査?見聞を広げる?
母親の盲信からの自立 → 自分で考えられるよう主人公の成長
複合企業グループの存続 → ミオリネ目線で父と母が作ったものを作りたかったものをちゃんと理解して進みだす
ガンダム会社の医療的活躍 → ガントの理念、ガンダム技術の先へ

1期終了時点から、完全な妄想創作テコ入れをしてみようと思います。興味ある方はついてきてもらえれぱ。

寮長とニカ姉のスパイ騒動の対立、ミオリネとスレッタのすれ違いという問題が発生しながら1期終了。大規模なクーデター事件の後、事情聴取やらでミオリネが不在の中、ミオリネの為!ミオリネが帰ってきたときの為!とスレッタが人殺し無反省のままで、ガンダム会社の今後やらについて、色々思案する。

ミオリネ帰還。スレッタは人殺し!発言をミオリネがパニックで言っただけで、自分はなにも気にしてないよ!という体で自然に無自覚に接する。一方、ミオリネは助けられた手前、違和感を感じ少し反論しながらも、手応えのなさに諦めてそのまま接する。表面上は普通だが、どこかぎこちない二人。

ギクシャクしながら、○○の為!で自覚がないスレッタ、母親への盲信についにしびれを切らして、ミオリネがエアリアルやホルダーを一時切り離すことに。今後について、二人で話しあう機会が訪れて、スレッタの自立という学校を作る目的と、ガンダム会社の発展(まずはガント医療の発展販売)を目的に再始動する。

金髪君の助力を得て、販売提供の学生には難しい実務面での補助を得て、地球での義手義足販売とか、ガント医療技術の提供を始める。その現地視察で地球へ。地球と宇宙民との凄惨な実情を目の当たりにする。ここで、金髪君の差し金で、ニカ姉とテロリストが再度接触することになり、そのまま二期前半の親殺しの懺悔問題やテロリスト関連を物語をなぞる。

ミオリネの地球にこれた話を膨らませつつ、落ち込んでるグエル先輩を慰めたスレッタ。グエルにガチ告白もここでさせる。水星に学校を作る夢の話も再度語らせる。

会社として順調に軌道に乗り、グループ内でもイメージ戦略担当として良い働きを担いつつある中、ミオリネは、金髪君が武器の供与を地球に行っている疑惑、同時に、義足を売るというマッチポンプ的な構造に加担していることが発覚。証拠がないまま、文化祭のテロ、クーデターの流れへ。疑惑があったミオリネたちだけはすぐ動けて、エアリアルに再搭乗、甚大な被害を出しながらも金髪君確保、退場。

金髪君の動かしていたお金の使途不明金が仮面の女と関連している。話の節々から大量のガンダムを製造してどこかに隠しているんじゃないかとミオリネは確信する。以下略。仮面の女との対決へ





おわりに

真実は闇の中ですが、本当の問題は製作費やらのせいで2クールで終了!!が決まっていたことだと思います。1期時点で、ハイペースのスピード感ある展開で心地よさと危なっかしさを感じてはいましたが、2期では、尺の関係でギュウギュウ感や省略カット感から、もっと飛ばしている印象です。言い換えるなら、このへんはもっと掘り下げたり、じっくり描写してもいいだろうに・・・。と思わされました。せめて3クールならば、もっと間やテンポや深堀りの関係で、もっと面白くできただろうにと思います。まぁ、どっかの漫画で、なにがあってもちゃんと”成立”させるのがプロの世界だとかいう手厳しい言葉もあるので、それでもやりようはあっただろうにとも思います。

少し話は変わりますが、”面白さ”も奥深いものですよね。私はこんな感じで水星の魔女の面白さの足りない点や、こうした方が良いのではということで目的について語りましたが、人によって感じる振れ幅は様々だと思います。お笑いも一緒で、結局のところ、なにがウケるか。どうすればウケるかって言語化してみても、かなりシビアになってくる気がします。色々書きましたが、最後に思っているのは、人によって世界の見え方は違うんだよな。と改めて思っています。

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