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差異的消費という概念が面白かった

タイトルの通り、差異的消費という概念に出会って色々興味深かったことを書こうと思う。



差異的消費とは

原書を読んでいないネット上の要約の要約なので、間違っていたらご勘弁を。

経済が発展し、物資が満たされてくると、モノは機能性や有効性によって需要されるのではなく、社会文化的な記号として消費されるようになる。


要は、実体実利ではなく”イメージ”のやり取りに近くなる。ということだろう。なんとなく欲しいから欲しいとか、ブランド物を持っているとか着飾っているオシャレな私は格好いい!とか。私は他の人とは違うこういうイメージを追求するとか・・・・・・。少し小難しく言えば、次の2点だ。


セレブ達が持ってるモノだから欲しい。そういう生活様式やライフスタイルが格好良さげだから欲しい。といった本質的機能や自己欲求を離れた、あるイメージの集合体をなんとなく求めてしまうということ。


自らのアイデンティティを確立するために、他者との差別化のために消費行動(あらゆる選択)を行う。無限の差異化を強制され、消費(分散)を拡大し続けるメカニズム上にあるということ





あるイメージの集合体を求める

大人になったら、車や家を買う。男は普通車だ、やれ家族を持てばファミリーカーだ。地方だったら奥さんは軽自動車で、カーポートがついているローコスト新築住宅に核家族で住み、子供は二人の4人家族。

都会なら、子供は一人で高層や管理の行き届いたマンション暮らし。子供を持ってもうまく時間管理して、おしゃれでバリバリ仕事もこなす。

本当にそれが正しいとか、幸福なのかは重要ではなく、そういうものでしょとして答えというかレールのように人の心に染み込んでいて、それを目指してしまうというのがイメージの消費だ。日本人の新しいもの(新築)好きとか、横ならび思考なんかも関連しているだろう。ある程度の人たちが、自分の頭で考えていない画一的な答えにすがっていくのかが、この説明でよく理解できる。

毎週遠出するわけもないしファミリーカーは所有する必要あるのか?レンタルでもいいじゃんとか。マンションでなくても郊外の安くなった中古戸建てでもいいじゃんとか。突っ込みどころは山ほどあるのだ。本当なら。合理的に考えるなら。





アイデンティティとしての差異的消費

格好いいとか幸せとかの大きな問いでは、なんとなくのイメージに引っ張られて選択するという没個性的な一方で、その人が興味関心を向けている分野では、必死になりアイデンティティのために差異化を図る。

私見だが、20、30年も前には、ベジタリアンという言葉しか聞く機会はなかった。しかし最近では、ヴィーガンに始まり、多数の丸々ヴィーガンにまで細分化されている。他にもオタクのBL文化や百合文化内でのジャンル分けもそうだし。ガチ勢、ライト勢、動画勢やら、LGBTやら、どの分野でもあげていけばきりがないだろう。昔からもそういう言葉はなんとなくはあったのかもしれない。しかし、私のような専門外の一般人のところまで降りてくるようになるほどまでに、細分化が進行しどんどん市民権を得ていっているように思う。

これら細分化。私はこれまで、人類や人間の思想の発展の証のように思っていた。皆が自由に羽を広げられるようになってきたから、各自の心に元からあった色々な花が咲くようになったのだと。しかし、この差異的消費という視点の方が実情に合っているのかもしれない。

これら細分化は、時代が進んで、文化が進歩した先の、個人の元来の興味関心の深化進展といった、何かの到達点に向かう動きではない。ただの意固地でワガママに近い、私は他の人と違うよ!!という目的で生産された細分化差別化のようなものかもしれない。





終わりに

というわけで、自分の頭で考えていない行動をなんとなくいいっしょ!と言い切れてしまう人の心理がわかったし。

多様化という昨今の現象が、実は人間の心の素直な動きではなく、私は違う!という逆はり、独自性の追求によって歪められた心理かも知れない点が面白かった。

さらに言えば、多様化の根幹が人間の心理という複雑怪奇なものなら予想はできない。しかし、わざと独自性のために多様化していくという要素が強いとなれば、分散の仕方と存続はある程度理論化できると思う。

何故なら、独自性を担保できるほどの散らばり具合は帰納的に導けそうだからだ。もし分散しすぎれば、独自性云々の前に、誰にも理解されなくなる。多すぎる分散多様化は自らの存在を維持できなくなり自滅する。少し違うが、業界の統廃合みたいなことだ。生産性、合理性、感覚性、実態的等から、散らばり収束するわけだ、

やれ価値観だ、私はこういうのが好きだ等の独自性の分散収束の理論化、数式化はいずれしてみたいものである。

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