見出し画像

【3部作】物事は本質的に腐敗する その1

自然の食べ物や物質が時間とともに腐敗する(紫外線や酸素酸化による自然劣化する)ように、人間が作った社会的な物事も、腐敗するのだと気づいた話。つまり、初めから腐敗に対抗するプログラムなり、対抗措置を組み込んでおかないと、人間が作る関わる全てのプロジェクトや組織やチームやら、いたるところで腐敗が進行し、ダメになるのが運命づけられているということだ。長くなったので、その2は腐敗の先や、腐敗しないとは等についても考えてみる。




物事が腐敗するとは

人間の作った社会的なすべての物事(ルールやら会社やら労働やらの社会運営のための体制の類)が、当初に目的意義づけられた本来あるべき姿から外れていくこと。

自己定義


当初の目的意義から外れることが腐敗であり、当初の目的からどれだけどのように外れたかを、判断評価是正する基準が明確になっていないと、その腐敗はどんどん続いていく。これが腐敗という現象だ。




物事の腐敗する原理

個の腐敗

・飽きと変化の作用
・人間の欲望欲求による作用


人間というか生命の持つ、生きようとする力(飽きと変化、欲望欲求)という生命力原動力そのものが腐敗の温床である。そもそも腐敗(当初の目的から外れる)とは変化とも言い換えられるわけで、それが良い変化なのか、あるいは悪い変化なのかは環境に適応できたかどうかの結果論で語られる。そういう変化進化の積み重ねが、生命の今であり、人類誕生の歴史でもある。

しかし、自然界や環境に適応するべく試みた変化(進化)ということならば、結果論で語られるその判断基準でも、問題はない。環境に適応する事を目的に変化したわけなので、目的を満たしたかどうか(適応したかどうか)を正否の判断基準にするのは、全くもって当初の理念や理想と合致している。

変化進化とは一線を画す腐敗とよぶようなおかしな変化がおきるのは、環境適応を人間が飛び越えて、自分にとって都合のよい世界を作り出そうという試みを繰り返していく過程で生じる。つまり、環境適応という判断基準を失くして、何を持ってその変化が正しいのか悪いのかをうやむやにしてしまったことが理由にある。そしてうやむやになればなるほど、”自分”にとって都合のよい方に解釈選択していくのが人間だろう。

人間の飽きという心理は、違う方法や真新しさを試そうとしたり、もっと効率の良いやり方はないかと考えるきっかけになったり、新しい何かを生み出す変化の原動力になる。一方で、自分にとって都合のよい手を抜いたり簡略簡便化する口実にもなる。アルバイトがマニュアルを破って、自分にとって都合の良い(手間がかからないとか、力を入れなくて済む)ピザを作るように。そうしたときに腐敗が生まれる。当初の美味しいピザを作り提供するという目的を外れ、自分にとって楽な方を選んだからだ。

よく聞くマズローの段階的欲求仮説や、宗教であげられる欲の数々、108の煩悩。酒と女で人生を棒に振るなんて話。そういった人間が絶対的に持つ種々の欲望や欲求は、どんな人間でもどんなステージや段階や年齢の人にもそれぞれの形で持っている。食べ物が欲しい。有名になりたい。お金が欲しい。もっと細かく、エロくて若い女と○○がしたいでも。

こういう欲望は自分のやりたい事、自分にとって必要なことを成し遂げる原動力となり、結果として社会に新しいものを産み出す契機にもなる。しかし往々にして、その欲望の発散や発露のしかた、現れかたはただ自分が満足したい、楽したい、自分にとって都合のよい方を選ぶやすい。すると、そこで腐敗が生まれる。

腐敗の定義の話に少し戻ろう。腐敗について深く考えるには、人間や人類に、当初与えられて目的意義づけられたものとはなにかを今一度考えなければいけない。人により細かい違いはあると思う。私は平和と安寧と共存共栄だと思う。

何故なら、それは人間が理性や知性を待ってして、種を越えて、損得を越えて、生存競争のただの熾烈な奪い合いを越えられるからだ。動物の場合、実を食べる動物、葉先を食べる動物、根を食べる動物、昼に活動する、夜に活動する等といった棲み分けという熾烈な争いの結果、言い換えるなら、なんとかその種が生き残れるポジションに自分をねじ込めた結果、共存しているだけだから。

生き残れば(自分さえ、自分が得すれば)良いとは、どれだけ環境に適応できたか??を競う動物的争いである。環境適応を目的意義づけられている動物ならばそれが正解なのだが、人間は上述の通り違う。だから、利己的にふるまったり、自分の都合や自分にとっての欲望だけに振り回される変化は腐敗の温床になる。だから、共存共栄や平和や安寧という枷、業や原罪を抱えて、自分を律して生きることを宿命づけられたのが人間なのだと思う。






集団の腐敗

・共同体コロニーの巨大化に伴う無責任化、役割の希薄化、個人主義化
  → 3タイプの闘争競争作用で、自己満足を図ろうとする。
     ・権威型
     ・富型
     ・傍観、静観、現実逃避、夢、夢想型

       → 腐敗の蔓延、拡大に歯止めがきかなくなる。


人間は社会的で集団的な生き物である。一人でこの自然環境を生き抜くには弱いため、群れるわけだ。そしてその群れが農耕牧畜のような計画的生産的活動を始める、つまり、人が多ければ多い程生産性と生産量があがるような段階に至ると、その共同体は加速度的に膨張していく。そして分業、分担、専門化、資本家と労働者、権力の膨張も進行する。ざっくりのイメージになるが、大きなピラミッド的な共同体として徐々に構成されていくことになる。

共同体全体で物事を動かすのは、社会的権力、お金、武力軍事力、カリスマ(特殊な人柄個性)等による。なので、その共同体に影響力の強い。目に見えてわかりやすい社会的に影響力のある立場、お金をより持つ立場の2つの力が、上部は入り混じっていき、当然人も少なくなる。下部にはそれらを持たない数多くの1労働者1働きアリが連なる。このピラミッド化が進行するとともに、集団としての腐敗が始まっていく。

当初はこの十数人で生き残るためとか、共同体の維持に欠かせない役割等、明確な目的意識や自己認識があり、その達成満足感に充実感を得られていたが、規模が大きくなればなるほど、役割立場の希薄化(細分化されすぎて自分の活躍がよくわからない)、役割立場の無責任化(細分化して多くの人と分担協力しすぎているせいで、自分が手を抜いても大して変わらない)、個人主義化(自分と共同体が離れすぎて、共同体に影響力を行使できないなら、目の前の自己を充実させようとする)が進行する。つまり、自分さえ良ければいいじゃんという意識が拡大拡張する下地が醸成されていく。こうして、個の腐敗がどんどんでやすくなってくるというわけだ。

また、集団だからこその腐敗も存在する。こうしたピラミッド構造を前にして人は3タイプの行動をとるように思う。誰だってみずほらしい立場、下の立場には堕ちたくないと思っているのだから、現状維持かあるいはピラミッドの上、自分より優れた恵まれたよりよくみえる立場を目指そうとする。

上を目指すとは、権威かお金を手にすることであり、人に影響力を行使できる人の上に立つ立場(SNS競争や出世競争や政治争いみたいなもん)を目指すか、富を沢山稼いで人に影響力を行使できるような存在(投資命や成金みたいなもん)になるのかである。あるいは、現状維持というか、そういう争いに敗れたり嫌悪感を抱いたり、そこから一線を置いた人は、ただ日々を平穏に暮らせばいいという傍観者になるか。目の前の現実の手を抜いて、現実逃避の何かに走るか。夢を叶えたい、一発当てるみたいな大ばくち者になるか。

フォロワーを増やす!とか、偉い立場を目指すとか、人に影響力を行使できる人間になりたいという目的の動きや、お金が稼げればいいそれで人に影響力を行使できるようになればいいという目的の動き、傍観や静観や現実逃避で本来与えられた立場を軽視する目的の動き。共同体の繁栄とか、人間の共存共栄に向けた目的とは異なる目的で動く。そうして、集団としての腐敗が横行する。

易しに流れるのが人間なので、そういう腐敗であっても、実利や上に上る人を見て、真似して追随してしまう。諦めた人を見て自分の手も抜いてしまう。腐敗は蔓延し、集団内の腐敗はどんどん拡大拡張していくのである。




おわりに

諦めたものと賢いものだけが勝者の時代に、どこで息を吸う?

愛にできることはまだあるかい 歌詞より

腐敗に諦めて自堕落、自己都合を貫いたものや、腐敗を受け入れて自分だけが生き残ればいいと上を目指そうとする輩。なんかそれが個人の快楽悦楽でみれば勝者に見えてしまうことがある。でも、それは誰かの犠牲や頑張りやなにかの寄せ集めやおこぼれでしかないとおもう。腐敗は腐敗だ。そんなわけで、現代社会は腐敗に満ちて拡大していて、それもあって非常に疲れる面倒くさいものだと思う。

記事の通り、私は共同体主義者であり、こんな考え方をしている。自由主義や個人主義をすべて否定しているわけではないし。共同体を最上段に物事を考えろともおもっちゃいない。でも、理屈で考えれば、こんな風に共同体主義が大前提にあって、その上に個人主義や自由主義を上手にバランスとるものが人間の本来の在り方と腐敗の防止に役立つとおもう。今現在の基本的な捉え方である、公序良俗(一般常識や法律)に反しない、公共の福祉(他人に迷惑かけない)に反しない限り、個人と自由が尊重されるというのは、個人主義や自由主義にまだ偏り過ぎていると思う。大前提を忘れた話のように思う。

その2では、腐敗の原理を踏まえたうえで、腐敗の防止や腐敗の先やら、もうすこし腐敗について具体的な部分を触れてみようと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?