見出し画像

(Small talk)鎌倉シネマワールド Part1

幼少期の頃の話

神奈川に「鎌倉シネマワールド」という施設がありました。
その名の通り、
映画にまつわるテーマパークであり
確か松竹系の映画の実際の撮影に使われていた
スタジオ、小道具などが展示されているような少し大人向けの内容のテーマパークだったと思います。(年齢が低かったため、あまり詳細な記憶はないです)
今調べてみたら、3年で閉園したテーマパークだそうです。

父と姉と私の3人でそこを訪れました。
その頃には、もうすでに閑古鳥が爆鳴きしていて、逆にうるさい状態でした。

園内に入ると、
エントランスからながーいレンガ風の
偽物フローリング街路が
まっすぐ伸びていました。(ちょっと馬車道っぽい感じですかね)
その街路の沿いの両サイドに
お土産屋が並んでおり
エントランスから見れば、ディズニーランドと遜色ないほどのスケール感でした。

街路を見ると大体200Mくらいの長さだったと思うのですが
そこに歩いている人は、数人でした。その数人の方はほとんど大人でした。

子供はその街路の上に私と姉しかいませんでした。

私たちが街路の上を歩いていると、
進行方向に灰色の着ぐるみと茶色い着ぐるみが向こうから
こちらに歩いていることが確認できました。

どんどん距離が詰まっていきます。
ついに
私たちは灰色の着ぐるみと茶色い着ぐるみの正体を認識しました。

彼らはトムとジェリーでした。

「あっ トムとジェリーだ」と私たち姉弟は喜んでいました。

その声・リアクションが届いたのか
向こうにいるトムとジェリーも跳ねて喜んでいるようでした。

そして、彼らは私たちに近づいてくれました。

全速力で

あまりのスピードに
私たち姉弟は恐れ、慄きました。

どんどん近づいてきます。

推定ですがおそらく
着ぐるみを着た状態で全長180cm以上はあることが確認できました。

誰も彼らを妨げてはくれません。大人もましては私たち以外に子供はいないのです。

子供に飢えた野獣は
全速力で私たちを捕えに来ます。

姉が私の手を取り、走り出しました。

「こっちに逃げよう」

姉と私は一番近くにあったお土産屋に入りました。

商品棚の棚と棚の間に二人で身を隠しました。
息をひそめて

商品棚の網目から入り口を確認していました。

そして、彼らの灰色と茶色の2足ずつの足が間違いなく
そのお土産屋の入り口前にあることを確認できました。


私たちの息はどんどん速く浅くなっていきました。

こころの中で「早くいってくれ」と何度も何度も叫びました。

ただ期待とは裏腹に
彼らは入店のチャイムを鳴らしながら
店内に入ってきました。

なんでだ(泣)

店内の入り口は1つしかありません。
袋小路です。
どうしようどうしよう

姉が言います。
「できるだけひきつけて3,2,1で逆側から
 走ってあの入り口から出よう」

私たちはできるだけひきつける作戦
ゼルダの伝説 時のオカリナ ハイラル城作戦を取りました。

彼らは一歩、二歩と私たちに近づいていきます。

私は彼らの位置を把握するために場所変えて
商品棚の網目から彼らを確認することにしました。

この角度からは彼らの顔を確認できます。

覗いてから数秒後
トムがキョロキョロしながら私たちまで2,3メートルのところまで
近づいてきたことがわかりました。
「来た」

急いで先に逆側に移動していた姉のところへ向かいました。
そして、数を数える3、2、1

今だ

私たちは一つしかないお土産屋の出口に向かって走り出しました。

つづく


結構毛だらけ猫灰だらけ

この記事が参加している募集

この経験に学べ

一度は行きたいあの場所

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?