弁護士

弁護士の日常について~新人弁護士の過ごし方~

0.雑感

弁護士になって半年が経過しました。

弁護士の中には休む間もなく働く人もいれば、そこそこ休みがある人もいて、事務所によって日々の過ごし方が大きく変わります。そこでこれから弁護士になろうとする方がどういうライフプランを構想しているのか、どうやって弁護士として暮らしていこうとしているのか想像の一助になるよう、私の場合の仕事の様子をお伝えしようと思います。

1.弁護士の日常業務・総論

弁護士の世界に入ろうとする司法試験受験生や修習生ならもう公知のことですが、弁護士といっても一般民事や刑事などを主に担当する事務所で働くか、企業を相手にする仕事を扱う事務所で働くかによって業務内容も活動時間も大きく異なります。

また、訴訟を中心に活動する事務所なのか企業法務・紛争前の予防法務を中心に活動する事務所なのかでも大きく活動状況が異なります。事務所に就活する場合はどういう仕事をしているのか、主な顧問先はどういう業種なのかなどはきちんと聞きましょう。

弊所の場合、主に訴訟法務が中心で顧問先は中小企業がほとんどです。ですので企業法務が中心ですが、企業の担当者からの人脈で個人の方からの依頼も多く入ります。そうなると、弊所はいわゆる町弁か企業法務かという二分論ではくくれないポジションにある事務所といえます。

他方、弊所は訴訟案件が業務の中心であり基本的には訴訟を念頭に相談に来られる方が多いです。そのため主な作業は裁判所のスケジュールに沿って動くことになります。予防法務的な案件もありますが、顧問先が中小企業である関係上、案件の大きさも小規模にとどまりますのでマンパワーをフル活用するような案件(大型M&Aや金融案件)に当たることはほぼありません。

そうなると、必然的に深夜早朝にまでわたる案件も多くはないので大抵は夜早い段階で帰ることができます。仮に遅くなる場合でも事務所によってはリモートワークなどもできるので、早めに自宅に帰りよる自宅で仕事をして寝る時間を確保できることも多いでしょう。弊所もリモートワークは使います。

2.主要業務について

弊所のような事務所の場合、主な弁護士の仕事は訴訟に向けたヒアリングや証拠収集、裁判所への出廷、準備書面や陳述書の作成、尋問対策の打ち合わせなど、裁判にまつわる仕事が中心となります。そのほかには法律相談や顧問先の契約書の作成・チェックや法的アドバイスの提示なども多いですが仕事の総量に占める割合はおおむね半々程度です。

弊所の場合、裁判期日の報告や次回期日に向けた打ち合わせなどの関係で依頼者のもとに移動したり依頼者に来所していただく機会は多いです。裁判所への出廷も多いので日中は事務所にいないことの方が多いかもしれません。その一方で準備書面を作る場合はまとまった執務時間が必要になります。ボス弁との打ち合わせや私の作ったファーストドラフトをボス弁がチェックして、さらに依頼者がチェックして、最終的に裁判所に提出するという風に踏むべき手順が多いのも特徴です。そのため裁判期日間のうち自分自身で準備書面を作成するために使える時間は限られています。

その一方で法律相談の案件は突然やってきます。弁護士は法律相談を受けて、事件になったら弁護してお金をもらう仕事なので、その端緒になる法律相談を受けないわけにはいかないのです。そのためこれらの裁判に関する業務の合間を縫って随時法律相談を受けて解決策を提示し、場合によっては示談交渉や裁判まで行います。

総合すると、私の場合は裁判にまつわる打ち合わせ及び準備書面作成を軸にしたタイムスケジュールがあり、その合間に法律相談や依頼者のいる現地への訪問が五月雨式に入るので日中は忙しいです。その反面依頼者は夜に予定を入れることはあまりないので、夕方以降は準備書面の作成業務や契約書のチェック、事務所内の打ち合わせが主でそれ以外は自由にできます。

3.空き時間の使い方

そうなると、弁護士業を続けるにあたって仕事以外の時間をどうしているか、という点が弁護士を希望する方には気になるかもしれません。多くの先生方は課外活動や執筆活動、講演など本来の弁護士業の業務に加えて絶えずアクティブに動いています。そうでない先生方でも毎日の仕事とは別に社会や法律に関する最新の動向などをチェックしたり自分の活動領域を広げるために資格を取ったり留学されたりして自分に対する投資を行う先生は数多いです。

ただ、日常の業務に加えてさらに自己研鑽・自己投資をすることは時間はともかく、エネルギーを多分に消費するものであり、言うほど簡単ではありません。しかし、弁護士は法律業務の専門家であり法律に関する知見を磨き続けないと食べてはいけなくなる業種でもあります。自分のペースで無理をしない程度に空き時間を勉強に費やす癖をつけることが大事だと思います。

4.営業活動について

弁護士が案件をもらう端緒の一つに人脈によるものがあります。過去の事件でかかわった依頼者が知人を事務所に紹介して事件相談に来るケースです。弊所でも多いです。数多くの人とつながりを持てばその分仕事が舞い込んでくる確率も上がります。またイソ弁でも将来的にはパートナーになるわけですから、自分で仕事を取ってこないと事務所の運営が成り立たなくなります。そのため、人のつながりを取り付けひいては仕事を取ってくる営業力が弁護士として食べるうえでは重要な素養になります。

ただし、新人で営業活動を試みている身からのべると、弁護士の営業は人により得手不得手が激しいというのが実情だと思います。私も話をして名刺交換はできてもそこから一歩踏み込んで商談や企業としての悩み相談まで持ち込めたことはほとんどありません。また、1年目から営業に多数成功したという話もあまり聞かないところです。そうすると、1年目の弁護士としては研究や勉強などの自己投資による自己研鑽にリソースを割いた方が効率は良いのかもしれません。

5.最後に

新人弁護士といってもライフワークの形やこれから考えるべきキャリアパスは多種多様ですのでまずは同期からいろいろな話を聞いて自分のライフワークとどこがあっていてどこがミスマッチなのかを確認して、動くときにはすぐ動けるように自分で準備をするのが肝要だと思います。

小規模事務所から知財ローヤーを目指すための試行錯誤の過程を備忘録としてまとめました。