東京メロンボーイが最近の流行に乗ってドット絵を描いていたので、Chuck Closeという人の存在を教えつつ、ネットで画像を見ていた。モザイク状に描写された画面の抽象性について言及していたとき、だいぶ昔に自分が似たようなことを書いた文章があったことを思い出した。

なんだったっけ。

それは2009年にイラストレーション誌より依頼された展覧会のコメントで、大畑伸太郎さんの個展について書いたものだった。以下がそのときの文章である。

　大畑さんの個展を訪ねるのはこれが二回目だ。前回と同様、ギャラリーに入るなりまず作品にある光の存在感に目を奪われた。少し近くに寄ってみると、今度は光よりも色が前面に現われてくる。さらに画面に近づくと、眼前にあるのはモザイク様の筆致で構成された抽象世界であり、これら全ての要素が一つの作品に高次元で内包されていることに感動する。
　光、色、抽象性。これらは僕自身も絵を描くときにとても大事にしているもので、その全ての要素を思い通りに併存させたいと思いつつ、叶わないままでいるからだ。