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AI37

今年も発送が忘れられていたAmerican Illustration 37の年鑑でしたが、催促したら届きました。

いつものように今回もすごく豪華な装丁で、めずらしくコデックス装です。これだけ分厚い年鑑だとコデックス装は見やすくてありがたいです。

ちなみに今回の年鑑、イラストレーション業界の男女間の賃金の不均衡を表現するために、ブックデザイナーが入選作品を男性と女性のセクションに分け、女性イラストレーターを後半にまとめたうえで、女性の作品だけ17%小さく印刷したといういわくつきの号です。

結果、当然ネット上で議論を巻き起こし、多くの批判を受けました。

たしかに業界における男女間の不均衡に関して問題提起するのは良いと思いますが、年鑑上でそれをデザインに反映させて、女性による作品だけ17%小さく印刷するというのは意味のあるデザインの使い方とは思えません。

この件に関してデザイナーのNa Kimは次のようにコメントしてました。

「2017年、女性たちが声を上げ、私たちが直面している多くの問題を明らかにしてきました。しかし、賃金格差はこの四半世紀ほとんど変わっておらず、2019年には17%にとどまっています。その17%もまた、ほとんどの人には見えないままです。仕事の質という点ではジェンダーは無関係ですが、低いギャラや賃金、交渉の難しさなど、私たちは日々影響を受けています。この業界の内側にいる有色人種の女性として、年鑑をデザインする名誉を与えられたとき、私は何かを言わなければいけない必要性とプレッシャーを感じました。女性たちの画像を17%縮小して印刷することは、ジェンダー平等の問題を説明する強力でわかりやすい方法でした」

挑戦的な試みではあったけれど、結果的にネガティブな反響が多数で、American IllustrationのMark Heflinは判断を誤ったことを謝罪してました。

この問題に抗議する意味で、38号にはエントリーしなかった人もけっこういたようです。

とはいえAmerican Illustrationは他の年鑑と違い、相変わらず贅沢に1ページ1作品を維持しており、掲載されて嬉しいと思える年鑑です。37号も好きなイラストレーターの作品がたくさん載ってました。

これは以前、主にAmerican Illustrationを収納するために特注した黒皮鉄のカラーボックスです(笑)。また何か家具を作りたいものです。

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25年以上フリーランスのイラストレーターとして生きてきた経験から、考えていることや考えてきたたことを綴ります。海外の仕事のことや、ときには…

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