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Going Deep

UC Berkeleyの同窓会報誌であるCalifornia magazineの仕事をしました。表紙と、中面のMINDBALL - How to watch baseball like a philosopherという記事のためにイラストレーションです。記事は、野球というゲームを別の見方(哲学的な)で見るにはどうしたらよいかというなかなか興味深い内容でした。表紙もそれに関連したイメージです。

アートディレクションはToki DesignのMichiko Tokiさんです。

そのときのラフも載せておきます。今回のイラストレーションはナラティブでもコンセプチュアルでも好きなアプローチでいいよと言われていたので、後者を選びました。

フッサールの現象学に関する本を読んでいて気になった、人間の見ている視界を表現したといわれているマッハの絵からヒントを得たアイディア。その絵というのは、実際人間は自分の眉毛とか鼻とかひげとかも視界の中に見えているというやつです。

マッハの絵からラフを描いていときに、そういえばマグリットも哲学ぽいと思い、おじさんの顔の前に鳩やりんごが浮いている作品を思い出したので、それをもとにしたアイディア。記事中に野球を哲学的に見る際のスコアカードの重要性に言及した部分があったので、人物にスコアカードを持たせています。スコアカードをつけるというのは、単にゲームの記録を残すことではなく、むしろゲームについて考える一つの方法であると。

ソクラテスぽい人がボールを見ていて、目がスコアカードにあるダイヤモンドになってるもの。

「野球の本当の試合はスポーツ的な動きのあるエネルギーの爆発の合間に起こると考えている。それはつまり、守備の姿勢の微妙な変化だったり、サードベースコーチからランナーへのサインや、二塁手と遊撃手のコミュニケーションという類のもので、見る者がピッチャーは次に何を投げるのだろうかという重要な問いに取り組んでいる間に、起こっているのである」

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25年以上フリーランスのイラストレーターとして生きてきた経験から、考えていることや考えてきたたことを綴ります。海外の仕事のことや、ときには…

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