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日米におけるイラストレーターのエージェントの話

もちろん全部が全部そうとは限りませんが、自分が見聞きした限りではということで、日本とアメリカのイラストレーターのエージェントについて、主に違いを感じた部分を書いてみたいと思います。

アメリカのエージェントとは実際に仕事をしていますので、自分の体験から書きます。日本のエージェントとも専属関係ではないですが、何度か仕事をしたことがあります。

アメリカのエージェント

  • エージェントと仕事を開始するまえに契約を結ぶ。通常、契約書があるが、ないこともある。

  • 契約の際にエージェントのコミッションの率についてお互いに合意する。たとえばギャラの25%など。

  • 契約の内容次第ではあるが、自分が取ってきた仕事や付き合いのあるクライアントからの仕事であっても、基本的にアメリカの仕事は全てエージェントを通す必要がある。

  • 仕事が来たら、エージェントがギャラなどを含めた条件の交渉をする。

  • エージェントがギャラなどの条件を伝えてくるので、その仕事を受けるか断るかイラストレーターが判断する。

  • 条件の交渉が成功した後、ラフのやりとりなどクリエイティブに関することはエージェントがイラストレーターに主導権を渡すので、イラストレーターがクライアントと直接やりとりする。

  • クライアントが理不尽なことを言ってきた時など、イラストレーターの側に立って交渉する。

  • 仕事が完了したらエージェントがクライアントに請求書を送る。

  • クライアントからエージェントにギャラが入金される。

  • エージェントがギャラからコミッション分を引いた金額をイラストレーターに送金する。

  • エージェントはクライアントに出した請求書のコピーをイラストレーターに送る。

日本のエージェント

  • 専属契約はしたことがないので、その前提でしか書けないが、日本のエージェントは契約をしていないイラストレーターに仕事を持ってくることがある。

  • 契約をしていないので、当然のことながらコミッション率がわからない。(専属契約をしたらその辺はクリアになるのかもしれないが、わからない)

  • 専属契約をしても、自分で取ってきた仕事や付き合いのあるクライアントからの仕事に関してはエージェントを通さなくてもよいこともある。

  • エージェントから伝えられたギャラや条件をもとに、その仕事を受けるかどうかイラストレーターが判断する。

  • ラフのやりとりなどクリエイティブに関することでもエージェントはイラストレーターとクライアントを直接繋げることはしない。やりとりは常にエージェントが間に入る。

  • クライアントが理不尽なことを言ってきても、相手のメッセージを伝えてくるだけで、イラストレーター側に立って交渉してくれる印象はあまりない。

  • 仕事が完了したらイラストレーターがエージェントに請求書を送る。

  • エージェントがイラストレーターにギャラを送金する。

  • エージェントがクライアントに出している請求書のコピーを見る機会がないので、どのくらいコミッションを取っているのかわからない。

日本のエージェントは契約もしていないイラストレーターに仕事を振ってくるというのが、アメリカでは考えられない点です。まあ、イラストレーターとしては、契約していなくとも仕事が来るのだから条件が悪くなければ受けたいと思うのは自然でしょう。

しかし、よく考えたら、これはたとえば関係のない人が勝手に大谷選手に広告の仕事を持っていくようなもので、非常に変な感じがします。

また、日本のエージェントがどのくらいコミッションを取っているかわからないので、たとえばギャラが10万の仕事を持ってきてイラストレーターが納得して受けたとしても、実はエージェントが数倍のコミッションを取っている可能性も無いとは言い切れません(専属契約していない場合)。

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