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The Affairs 週刊編集

台湾のメディア「The Affairs 週刊編集」の11号に僕の仕事を取り上げてもらいました。

メールによるインタビューに日本語で答えました。

1、イラストレーターをフルタームの仕事にしたのはいつ頃でしょうか。フルタームのイラストレーターになった時どう思ったんですか。

アメリカの美大を卒業して日本に戻って以来ずっとフリーランスですから、そういう意味では1992年でしょうか。どう思ったかといいますと、果たしてこれでやっていけるのか?しかし、なんとしてでもやっていくしかない、です。

2、風景や動物を描くときは資料を参考にされますか。それとも実際に見に行かれますか。何を入念に観察されますか。

ほとんどの場合、資料を参考にします。それらは自分で撮った写真だったり、ネットで出会った画像だったりです。もし時間的物理的に実際に見に行くことが可能である場合は、行ってみることもあります。

3、木内様の絵といえば、今はデジタルというイメージがありますが、最初は油絵です。木内様にとって、手描きでイラストを描くときと、パソコンでデジ絵を描くときとではどのように違いますか。

一番大きな違いは、デジタルでは白いキャンバスの恐怖が無いということです。つまり手描きの場合、失敗してはいけないという緊張が常につきまといますが、デジタルでは何度描き損じてもアンドゥーができますので、リラックスした状態で仕事ができます。

4、作品のアイデアはどのように生み出されますか。《New York Times》の冬季オリンピック特集に掲載された木内様の作品を例として、イラスト制作のプロセスを教えてください。

原稿がある場合は文章を読んで、無い場合はキーワードから、まず与えられたテーマに対してどのような絵を描くかを考えます。このとき頭に浮かんだアイディアを、スケッチブックに落書きのようにしてサムネールをたくさん描きます。この段階で同時にインターネットで画像検索などをして資料になりそうなイメージを探します。

冬季オリンピックの例で言えば、原稿がありましたので読みました。その内容を頭に入れた上で、スキージャンプ、スピードスケート、バイアスロンなどの競技をどう絵にするか、サムネールを描きつつ考え、また資料としてその競技の写真をネットで探しました。

サムネールスケッチや画像検索である程度自分の描きたい絵の方向性を掴んだら、Photoshopを使用し仕上がりサイズで絵を描き始めます。特に鉛筆で下描きをしたりすることはありません。いきなりモニター上に描き始めます。

仕事のタイプにもよりますが、ここで方向性の違うアイディアの絵を二、三点描いてみることが多いです。

冬季オリンピックの例では、特にコンセプチュアルなアイディアが求められていたわけではなく、ストレートに競技をしている選手を描いて欲しいという依頼でしたので、複数のアイディアを考えずに一種類に絞りました。

こうしてPhotoshopでだいたいの構図を決めて、大まかに色を付けた時点で、つまりフィニッシュまでの30%くらいの途中段階の絵をラフスケッチとしてアートディレクターに送信します。

ラフにOKが出れば、あとは絵の続きをやる感じでフィニッシュです。

5、最も印象的な作品やケースを例を挙げ、教えてください。

今までのイラストレーター人生の中で最も印象深かったのは、Golf Digestより依頼されたマスターズの仕事です。詳しくは以前書いたブログ記事をご覧いただければ幸いです。

6、作品を制作する際に苦労したことがありませんか。その困難ことを乗りこえる方法を教えてください。

絵を描くこと自体の困難はあまり無いのですが、元気に仕事をするにあたって、心身ともに健康である状態をキープするのが大切であり、苦労でもあると思います。スタジオに籠もって一日中絵を描くという仕事柄、眼の疲れ、肩こり、頭痛には常に悩まされています。

なるべくそのような状態に陥らないように、具体的には家からスタジオまで片道25分程度のウォーキングをして通い、軽い筋トレやストレッチをなるべくやるようにしています。しかし仕事が忙しくなって時間に追われ始めると、そのようなトレーニングをする時間的精神的余裕が無くなってしまい、体調を崩してさらに余裕が無くなるという悪循環に陥りがちです。これをできるだけ回避しないといけません。

また、リフレッシュするために、時間があるときはオートバイでツーリングに出かけることにしています。オートバイに乗っている間は運転することに集中していて他のことを考えないので、頭の中を空っぽにするにはとても良いと思っています。

7、今後の展望や目標はなんでしょうか。やりたいお仕事がありませんか。

ロゴやレタリングなどのタイポグラフィーに関わる仕事をしたいです。文字が好きなので、文字をデザインしてみたい。

8、これからイラストレーターを目指す若い方のエールをお願いします。

実は一番難しいことかもしれませんが、一番重要と思えることで、それは続けることです。やめてしまえばそこで終わり、たとえ続けたとしても成功するとは限らない。それでも絵を描き続けることが大事です。


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