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#58 Charles Oliveira vs. Arman Tsarukyan のプレビュー

対戦カード概略

対戦概要 :次期挑戦者決定戦。オリベイラの再挑戦かツァルキヤンが駆け上がるか?
ランキング:オリベイラ#1、ツァルキヤン#4
オッズ  :オリベイラ+170、ツァルキヤン-205
参照   :

Charles Oliveiraについて

スペック

年齢:34
身長:178
リーチ:188
スタンス:オーソドックス

戦績

34-9-0
勝利内訳
・KO:10
・一本:21
・判定:3
敗北内訳
・KO:4
・一本:4
・判定:1
直近戦績
Win - Dariush KO
Loss - Makhachev 一本
Win - Gaethje 一本
ファイター印象
>超攻撃特化型ファイター。フェザー時代からは考えられない力強さ。

SWOT分析

強み:プレッシャー、進化した打撃、寝技
弱み:スタミナ面の不安、気持ちの弱さ、減量苦
機会:経験、打撃or組み技の選択を自分でできる可能性がある、打撃能力で優位
脅威:長いラウンド、トップキープされる恐れ、フィジカルが強い若い相手であること

コメント

 フィニッシュ率が驚異の90%。44戦のキャリアを持つ経験豊富な選手です。フェザー級時代は減量に苦しむケースが多く、試合内容も、はまれば1R一本取り切るがダメなら気持ちの弱さが現れ負けてしまう選手でした。しかしライト級に上げてからはフェルダーには以前の弱さが現れた負け方をしたもののその後は驚異の11連勝。しかも対戦相手も難敵・強敵ばかりの中で王者になりました。
 柔術のテクニックはもとより、現時点の最強の武器は打撃力だと思います。その強さの背景に前に出続けられる強さ、そして組んで下になることを厭わない柔術力。まさに柔術家の理想的なMMAアジャスト。キャリアの後半とも言える段階でここまでのスタイルを作り上げたことに敬意を示します。
 直近のダリウシュ戦では早々にTDされるもののしのぎ、立ち上がってからはプレッシャーかけつつ相手の前手を掴み・封じて、ハイキックからストレートでKOとvsメンデス戦のマクレガーを思い出させる逆転のフィニッシュを見せました。王座陥落のマカチェフ戦では1R互角に渡り合うもマカチェフ相手にはスタンドのプレッシャーがそこまで効かず、組み力では上回られ、寝かされるとトップポジションからのプレッシャーと常に後手に回りがちな展開。2R開始時には消耗して雑な展開からフィニッシュに至ってしまったように見えます。今回の対戦相手ツァルキヤンにタイプ的には近いと思われるケビン・リーにはスタンドではプレッシャー、TDされるものの下からうるさく、相手を消耗させてのフィニッシュに見えました。
 オリベイラの必勝パターンは打撃でも寝技でも先に相手を消耗させてからのフィニッシュなのだと感じます。その手段が打撃で勝るなら打撃のプレッシャー、組で勝るなら組みのプレッシャー、寝かされるなら下からのプレッシャー(柔術)。相手が先に疲れれば占めたもの。一方で自分が先に疲れてしまうと厳しくなる。そんな選手だと見ています。今回、タフで若いレスラー=ツァルキヤン相手に先に疲れるのはどちらか?興味深いです。

Arman Tsarukyanについて

スペック

年齢:27
身長:170
リーチ:184
スタンス:オーソドックス

戦績

21-3-0
勝利内訳
・KO:9
・一本:5
・判定:7
敗北内訳
・KO:1
・一本:0
・判定:2
直近戦績
Win - Dariush KO
Win - Silva KO
Win - Ismagulov 判定
ファイター印象
>旧ソ連圏、アルメニアンファイター。猛烈な闘志が闘い方に出ている印象。

SWOT分析

強み:テイクダウン、タフさ、蹴り技
弱み:打撃ディフェンス、対戦相手のレベル/経験
機会:プレッシャーで勝る可能性がある、テイクダウン&トップキープ、スタミナ面で勝る可能性
脅威:打撃技術で劣る、スタミナがやや不明、経験/対戦相手の質にかなりの差

コメント

 UFCライト級コンテンダーで最も若い27歳。分類すればグラップラーですが打撃も強力。意外に器用に前足の蹴り技も優れます。
 UFCでの敗戦はデビューのマカチェフとガムロット。いずれもかなり競り合ったもののグラップリングで競り合い敗れてしまいました。とはいえ特に後者との対戦ではかなり際どい判定で、優れたグラップラーにも全く引け劣らない組技力を見せつけています。更に、進化した打撃で直近のダリウシュ戦では膝からのフックという超速い、相手が見えてないコンビネーションで仕留めてしまいました。まだまだ若く伸びしろのあるツァルキヤン。成長を感じさせる勝利。
 気になる点としては打撃交換を厭わない一方で打たれるシーン、効かされるシーンも目立つ事。一戦前のシルバ戦では圧倒的なフェイバリットにもかかわらず、パンチを効かされあわやのシーンも。タックルでしのぎ、トップからのパウンドで逆転させましたがオリベイラ相手にはこれは非常に危険な一手になりそうです。

試合内容について

勝者予測

 勝者予測はアンダードッグのオリベイラ。オッズはちょっと意外です。2〜3RのKOを予想します。必勝パターンなら疲れた相手にパンチが刺さってパウンドアウトしそうな気がします。でも希望はツァルキヤン。マカチェフの様にオリベイラを一本で仕留めて欲しいですね。

予測/考察

 この試合のポイントはどちらが先に疲れるかの勝負になるのではないかと思います。おそらく序盤からバチバチのプレッシャー掛け合いになると予想。オリベイラはプレッシャーかけつつパンチ、ツァルキヤンはパンチで迎え撃つかミドルを蹴っていくかでしょうが、正直打撃交換は危険。オリベイラの方がパンチの技術に優れ、また、ツァルキヤンのガードの甘さを考えると安易な打ち合いは疲れるどころかKOの可能性もはらみそう。ツァルキヤンとしてはミドルでオリベイラのプレッシャーを迎え撃つ事が必要なのではないかと思います。また、ツァルキヤンの蹴りにオリベイラも蹴りで応戦してくるならキックキャッチからのTDチャンスもあり得るのかと。
 組を仕掛けるのがどちらからになるのか気になるところですが個人的にはオリベイラじゃないかなぁ〜と思っています。相手を疲れさせたいオリベイラ。身長で劣る相手にムエタイクリンチなんかが有効そうです。ここの組みの展開でどの程度パワーが拮抗するかで勝敗が分かれそうな気がします。オリベイラが打撃でプレッシャー、組でも勝るならいずれ疲れたツァルキヤンを仕留めそうですし、打撃が効けばツァルキヤンの安易なタックルを引き出し、ギロチンカウンターなんかも炸裂しそう。若いツァルキヤンがオリベイラの想像以上であればマカチェフ戦の様にオリベイラが削られ、疲れ、ツァルキヤンのTD、そこからトップゲームで削られそうな気がします。
 予想としてはオリベイラが打撃でも組でも勝り、勝利しそうな気はするのですが、ツァルキヤンが想像を上回りオリベイラを圧殺する。そんな驚きの進化も見たいという気持ちがあります。
 いずれにしてもぶつかり合いになると思われるこの闘い。同ライト級マッチとしてBMFタイトルのゲイジーvsホロウェイが組まれていますが、それ以上のしばきあいの様な試合を期待します。

終わりに

 あまりにも豪華すぎるUFC300。計量も無事に全員突破し予定通りの対戦カードが並びます。UFC100、200の様に圧倒的なスター選手、飛び道具的なカードが注目を集めるというよりは、しっかり実力拮抗、普通に対戦カードとしても興味深く、今後の展開が楽しみになる対戦ばかりが並んでいます。5Rマッチが3試合と長丁場になる事が想像はされますが一試合目からしっかり楽しみたいと思います。

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