サブタイトルは「調達屋のブレーキ」。
　調達屋の本名である振騎玄蕃と、彼がブンブンジャーに関わりながら一歩退いた立ち位置にいるという事実をかけた、割とオシャレなタイトルだ。

　今回の話は、仲間のロボ生命体であるブンドリオが、恋煩いに頭を悩ませているところから始まる。ブンドリオが恋しているのは、「ニマイジタイヤのベローラー」という、パンチの強いビジュアルのゆるキャラ（？）であり、そのゆるキャラの握手イベントに、ピンクとブラックが同行する。

　まぁこのエピソードは、今回の話とはあまり関係がなかったりする。ピンクとブラックを別行動させるためのものだ。ただ、今後の展開に関わりありそうな仕込みはいくつかあるなと思った。

　ひとつは、ブンドリオが「恋」という感情への理解度が低いということ。「恋」と言われれば「そうかも」という態度を取るし、それは「推し活」だと言われれば、すんなり納得する。
　以前、ブンドリオは「孫がお婆ちゃんにプレゼントをしたい」という話を聞いただけで、「愛」という言葉を使って号泣していた。ブンドリオはこうした、人間の「他者を思いやる気持ち」を知りたいと思って、レッドの仲間になった元ハシリヤン……なのではないだろうか。

　もうひとつ感じた仕込みは、話のラストにおいて、調達屋も同じゆるキャラに強く食いついたということだ。
　元から超然とした態度であり、ブンブンジャー内部でのやり取りについても「若い者同士」という言葉を使っていた。調達屋もブンドリオと同じ感性を持ってる異星人だったりしないだろうか。
　今回は調達屋の回だったが、実は彼についてのキャラクターは思ったより深掘りされなかった。次回でもより深く掘り下げられなさそうなので、調達屋の情報については、いろいろ出し惜しみをしている感じがする。

　翻って今回のお話だ。
　レッドとブルーは調達屋の元に向かい、変身アイテムを手渡すが、調達屋は「一緒に戦うつもりはない」と言う。レッドはこれまで何度も勧誘しているものの、調達屋は断っているらしい。曰く「君たちを補い、進歩させ、見届ける。それが私の仕事であり、喜びなんだ」とのこと。
　だがレッドは、「俺たちはこれからも爆アガっていく」「一番近くで見届けられる特等席に招待したい」と言って、無理やり変身アイテムを置いていく。

　ブンブンジャーのいいところは、他者のプロ意識については尊重し、過度な干渉をしないところだと思う。それぞれの考え方、ハンドルの握り方については相手に任せているので、押しつけがない。
　調達屋の心理面については説明が少ないので、多少自分なりに補完してみるが、「過度な干渉はしたくない」という面倒くさい推し活ムーブに近いものがありそうだ。冒頭のブンドリオの話ともつながるし。
　要するに投げ銭、スパチャだけしていたいが、別に同じ画角に移りたいとは思っていなかったのかもしれない。

　今回も怪人、そしてマッドレックスが暴れ、ブンブンジャーはそれを止めるために急行する。これまで調達屋が手助けしていたような危機に陥っても、４人の連携でそれを突破していく。
　だが、マッドレックスの強烈な一撃を前に、ブンブンジャーはとうとう窮地に陥ってしまう。

　そこに、調達屋が「お困りのようだねぇ」と登場。
　「調達屋、今回は何を持ってきてくれたんだ？」「私だ」というオシャレなやり取りのあと、調達屋はブンオレンジに変身する。

　上述の通り、調達屋の心境の変化についてはあまりはっきりとは描かれていない。今まで「一緒に戦わない」と意地を張っていた調達屋が、自身のアシスト無しでも窮地を切り抜けられるブンブンジャーを見て、「あー、もう本当に自分のアシスト要らないのか」と思うまではわかる。
　ただそのあと、「自分」を届けるキッカケが今までと同じブンブンジャーのピンチだったので、「このピンチが無かったら結局加入はしなかったのかな」とか、「手渡された変身アイテム無かったらどうするつもりだったのかな」とか、ちょっと疑問は残る。

　調達屋＝宇宙人説を考えるなら、「自分が不要になったのではなく、一段上のアシストが必要な段階に行ったと認識」「変身アイテムがなくても、怪人の姿に変身して助けに行った」あたりが、納得できる落としどころな気もするが、果たしてどうなんでしょうね。

　次回は、いよいよレッドの「夢」について触れる……ような感じがする回だ。

好きなセリフ

「何か悩みごと？」
「ああ、わかります。自分も貯金がないとか、老後どうしようとか、夜中に考え出すと眠れなくて……」
「……ひょっとして、恋？」
（志布戸未来／ブンピンク）
（阿久瀬錠／ブンブラック）
　冒頭、ため息ばかりつくブンドリオに話しかける二人。
　錠の世知辛い悩みをガンスルーして、核心を突く未来が面白い。

「帽子だけのハットした！」
（ブンドリオ・ブンデラス）
　変装道具の帽子を被せられて。
　たぶん松本梨香のアドリブ。

「燃えろ！　怒りのデスロッド！！」
（マッドレックス）
　やっぱマッドレックスって名前そこから取ったんだ！　と思いました。