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ライオスの話

 たまにはバズネタに乗っかってみるのもいいだろう。
 ライオスの何がどうバズったのかに関して触れるのは、このnoteの本意とは無関係なのでさておく。

 ダンジョン飯は好きな作品なので、そのうち触れようとは思っていた。一番好きなキャラを挙げるのはちょっと難しい。でもライオスは間違いなくTier1に入る。なのでライオスの話をする。
 ちなみに漫画版のネタバレありで話します。

 ライオスは、というか、ダンジョン飯のキャラは描かれ方が多重的で、一意に解釈するのが難しい。なのでタマネギの皮のように何重にも折り重なった要素を紐解いたとき、僕が彼のどこに魅力を感じているかを考えたい。
 その洞察力や観察力が、味方の偽物をあぶりだすのに役立つ場面は彼の魅力が出ているし、原作の最終版で、ライオスは悪魔に「人間が嫌い」と指摘された時に、彼の複雑な人間性を感じ取れるのも好きだ。そもそもとして、彼は根っこのところでは好感の持てる善性の存在だとも思う。

 だが結局のところ、僕がライオスが好きなのは、彼が「努力している」からだ。レッドドラゴン討伐後に、魔狼の骨を組み立てる場面や、ファリゴンを救うために「何人で食べればいいんだ?」と真っ先に考えるとところは、目標に対して真摯に向き合っているからだろう。本来ならば、良識や常識で踏みとどまるところを、彼はブレーキが効きにくいので、一見ふざけていたり不謹慎に見えたりする。でも彼は常に真剣で、最良の結果を出すために努力を続けている。
 人間関係においてもそうだ。彼は、自身の人間性に問題があることを自覚している。その上で、彼の主観において常に良く振る舞おうと努力している。まぁ、シュローに言われた「自分は誠実な振りをして他人に負担を強いる」というのは、側面だけ切り取れば事実だとは思うけど、それでもやっぱり、誠実であろうと努めるのはライオスの美徳だと思う。

 僕は、「フルメタル・パニック!」が好きで、その魅力のひとつは主人公の相良宗介がまともになろうと努力し、足掻いている過程だと思っている。「僕の心のヤバイやつ」の市川も、同じ魅力を抱えている。
 コミュ障と言われるタイプのキャラクターが、その問題を自覚し、改善しようと努める。これが好きなんだろうなと思った。TRPGでもそういうキャラを作る。AIに心が芽生える過程も似たようなもので、「人間」というものを学習し、自分の世界を広げていく感覚が好きなのだ。

 市川は逆に共感性が高すぎるパターンだが、ライオスと宗介は自身の常識や良識の無さに苦悩している。やらかすたびに、「今のって多分俺が悪いんだろうな」としょんぼりするのだ。
 この二人は、一般からかけ離れた常識や良識を持っているからこそ、このミニマムで共感性の高い悩みが、アクセントとして機能している部分はあるだろう。彼らの悩みがもっと高次のものだったら、浮世離れしすぎていて「僕らとは違う人間だな」と思ってしまうだろうし。

 ライオスにとってのファリン、宗介にとっての傭兵仲間は、「人間関係を維持するコスト」が低い存在だ。ありのままの自分を受け入れてくれる。だが、彼らの世界が広がった時に、「高いコストを支払っても、彼らとの関係を維持したい」と思える相手が出てた。だからこそ葛藤が生まれて、物語ができる。

 ちょっとバズネタに乗っかるつもりだったが、図らずもきちんと自分の好みを言語化することに成功した。今後のキャラづくりの際には意識したい。
 アニメのダンジョン飯もいよいよレッドドラゴンを倒して、次のクールに入る。フルメタも、続編のfamilyが引き続きドラマガに掲載される。どちらもメチャクチャ楽しみですね。

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