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マンガ「税金で買った本」の登場人物、早瀬丸さんの魅力を伝えたい

図書館を舞台にした「お仕事系」マンガ

ヤングマガジンで連載中のマンガ、「税金で買った本」(原作:ずいの、作画:系山冏)を知っているだろうか?
「税金で買った本」という不思議なタイトル、要するに公共の図書館の本を意味していて、図書館を舞台にしたいわゆる「お仕事系」のマンガだ。
あらすじは、主人公の石平紀一(高校生、結構な不良少年、本が好き)が、ひょんなきっかけから図書館でアルバイトを始めることに…、といった感じ。
不良なんだけど根はいいやつ、それでいて知的好奇心と行動力が旺盛な石平くんの視点で、図書館の仕事内容や、人間関係やトラブルなんかを描いた作品なんだけれども…。
これが、本当に面白い!
個人的には、最近読み始めたマンガの中では間違いなく最大のヒットだ。
衝動的に「noteで魅力を伝えたい…」と思ってしまうほど、嵌ってしまっている。

基本的に単発のストーリー(1話完結か、長くても3話程度)が続く作品なんだけれども、その一つ一つがかなり面白い。
個性豊かでありつつ、現実的な人間味に溢れる登場人物たちも本当に素晴らしい。
綺麗で読みやすい絵も、作品にとてもマッチしている。
ざっと魅力を挙げるとこんなところなんだろうけれども…、これをnoteの文章で伝えるのは中々難しい気もする。
とは言え、あまりネタバレになるような内容や画像は、質的にも量的にも避けたい。
ストーリーにあまり触れずに作品の魅力を伝えるには…登場人物に焦点を当ててみよう。
と言う訳で、今回紹介するのはタイトル画像の中央にいる眼鏡をかけた女性、早瀬丸小夜香さんだ。

早瀬丸さんの魅力とは?

早瀬丸さんは、図書館の一般図書係(貸出・返却のカウンター業務など)の職員で、石平くんの上司であり指導役のような立ち位置の人物だ。
穏やかな笑顔を浮かべながら利用者に丁寧に対応するその姿は、まさに「図書館司書」と聞いてイメージする理想の姿のよう。

(8巻収録「季節のオーナメント 春と夏」より)

実務面でも、司書資格を有しているという事もあり、本を探す利用者に対して、時にはその知識を活かして素早く目的の本を見つけ出したり、またある時は利用者と共に「答え」になるような本を探す手伝いをしたりと、一般図書係のエース的な立ち位置の人物として描かれている。
穏やかで優しくて優秀なだけに留まらず、時折登場する「問題のある利用者」に対しては丁寧ながら毅然とした対応を取るなど、本当に心強い存在だ。

更には美人というおまけつきで、「完璧な超人」とでも言いたくなる人物なんだけれども、恐らくそれではここまで魅力的なキャラではなかったと思う。
一体何が早瀬丸さんを更に魅力的にしているのかと言うと…リアクションや表情だ。
「お仕事系」マンガの常で、多く取り上げられているエピソードはずばり「トラブル」。
ルールを守らない利用者だったり、暴走しがちな主人公の石平くんだったり…。
そういったトラブルに直面した際、本当に困ったりした際に見せる早瀬丸さんの描写が、なんだかとても人間臭くて魅力的なのだ。
という事で、ここから先は少し画像も引用しながら、早瀬丸さんの「そんな表情」を紹介していきたい。

注意!!
この先、可能な限りネタバレにならないようなシーンと画像をチョイスをしているけれども…。
画像を引用している時点でもちろんネタバレはゼロではないので、「どうしてもネタバレは受け入れられない」という人は、このままブラウザバック!
もし気になるなら、マンガを買おう!

①絵に描いたような困った仕草と顔

いやまあ、「絵に描いたような」って、マンガなんだから絵に描いているんだけれども…。

(1巻収録「エコ節電の教科書」より)

指を頭に当て、困り眉毛で…、「ちょっと困ったなぁ」みたいな表情として、完璧すぎやしないか。

②石平くんへの懇願

「困った利用者」に対して暴走しそうになった石平くんに対して(ちなみに石平くんは、この日バイトはお休みで利用者として来館)、こんな表情を…。

(6巻収録「アンガーマネジメント 実例集」より)

絶望顔からの、必死の懇願。
この日は夏休みで普段より利用者が多く、早瀬丸さんも余裕が無くてこんな弱々しい対応に…。

③自覚はあった

レファレンス(利用者の問い合わせに応じ、図書の照会や検索をする業務)の話題で盛り上がった後に、この一言と表情。

(4巻収録「図解 仏像の鑑賞」より)

これまでも石平くんに色々と積極的に教えていた早瀬丸さん、「相手に教えて喜ばれたい」だけでなく「ほめられたりスゴイと思われたい気持ちもあって…」と、たまに教えたがりが暴走している自覚がある模様…。

④同僚の過激発言に…

資料係勤務の後輩、白井の過激で危険すぎる発言に、本気のドン引き。

(5巻収録「公務員白書 3年版」より)

ドン引きしながらも、しっかり後輩の白井を諭す辺りは早瀬丸さんらしい…とも言えるけれども、ちょっと凄すぎるドン引き顔である。
ちなみにこの白井は、石平くん、早瀬丸さんの次に出番の多いメインキャラクターであると同時に、その個性の強さは作中で随一の超面白キャラだったりする。

⑤もの凄い落差

最後に紹介するのは、個人的にかなりお気に入りのシーンの一つ。
まず前振りとして、石平くんの成長を喜ぶ早瀬丸さんが、天使か菩薩かのような笑顔を見せる。

(5巻収録「恩讐の彼方に 改版」より)

そしてその直後、石平くんが続けて放つ衝撃の言葉に、この表情。

(5巻収録「恩讐の彼方に 改版」より)

これまた芸術的なドン引き顔の直後、石平くんに対して語尾を荒げてしまうぐらい、ショックが大きかった様子…。

ざっと5つのシーンを紹介したけれども、こんな感じで早瀬丸さんは結構大きなリアクションを取ってくれるし、何というか…想像以上に面白い、それでいて普通の人なのだ。
穏やかで優しくて丁寧で、それでいて芯は強く、仕事はテキパキとこなし、更には美人で…というのは事実だけれども、「完璧な超人」ではなく、あくまで普通の人。
時には困るし、悩みもするし、腹を立てることだってある。
それでも、図書館のため…図書館を利用する人のために、志をもって働く。
そんな、魅力たっぷりな人物。
それが早瀬丸早夜香さんだ。

とにかく、面白いから読んでほしい

なんだか「マンガの紹介としてこれでいいのか…?」という内容になってしまった気もするけれども…。
とにかく、「税金で買った本」は面白いのだ。
図書館と言う「知っているようで意外と知らない」場所についてとても分かりやすく、そして面白く紹介されていると思う。
各ストーリーそれぞれに盛り上がりどころがあり、そして締め方が非常に丁寧で上手なこともあり、「トラブル」を多く扱っているにも関わらず、読後感に不快なものが全然無いのは特筆すべき部分だ。

そして、今回紹介した早瀬丸さん以外にも、とても魅力的な登場人物が数多く出てくる。
石平くんと白井のメインキャラクターが「良いキャラ」なのは当然として、他の登場人物も個性的で、それでいて「リアルな存在感」があるのだ。
そしてそんな魅力たっぷりな登場人物同士の会話が、これまた「リアル」で面白い。

個人的には、3巻~4巻に跨って収録されている「マンガでわかる最高の会議(準備編・応用編・実践編の3話構成)」で描かれる会議の様子は、本当に凄いと思った。
ネタバレになるから詳細は書かないけれども…、「登場人物が生きている」とでも言えばいいのだろうか(なんだか陳腐な表現…)。
魅力的なキャラクター同士が「リアルに」会話を交わす、この要素はこの作品の魅力の重要な部分を担っていると思う。

長々と語ってしまったけれども、自分の文章では伝えきれないほど本当に魅力に溢れた作品なので、少しでも気になったのなら是非読んでほしい。
ヤンマガwebとマンガアプリの「マガポケ」には無料で読める部分もあるので、まずはそこだけでもいいから、読んでほしい。

ちなみに単行本は、11/6に9巻が発売されたばかり。
ほら、まだ9巻までだから読みやすいでしょ?
一気読みしても大した時間はかからないし。

…まあとにかく、少しでも気になったら読んでほしい。
本当に、面白いから。

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