プロダクトマネージャー採用覚え書き

bosyuのプロダクトマネージャー(PdM)兼、CASTER BIZ recruitingでクライアント企業の採用のお手伝いをしているkoyoです。

エンジニア採用についてのノウハウは世の中に増えてきたのですが、PdMの採用についての情報がまだまだ少なく、各社が採用において苦戦しているように見受けられます。

そこでこのエントリでは、PdMの採用全般についてのことや、PdM採用のコツなどをお伝えします。

そもそもPdMとは?

現在の日本において、PdMという職種が担うべき役割についての社会全体の共通認識は取れていません。そのため、PdM採用とひとことにいっても、どのような人を採用すべきかはその企業によって異なるというのが現状です。

会社によっては名ばかりPdMもたくさんいますし、PdMという職種で呼ばれていないだけでPdM的な仕事をしている方もたくさんいます。

そのため、PdM採用を行う前には「自社におけるPdMとは何か」という部分を定義する必要があります。

なお、このような日本の状況においてもPdMに共通している要素は下記の二つです。一つの参考にしてみてください。

・何を作るか/作らないかを考える際の中心になる
・どんな手段を使ってもプロダクトを前に進める

フェーズによるPdMの仕事の違い

PdMの仕事は会社やプロダクトのフェーズによって大きく異なるのが通常です。そのため、上述のPdMの定義を行う際には、自社(プロダクト)が置かれている状況を正しく認識しておきましょう。

フェーズを分ける際は、大きく下記の3つにわけて考えていくと良いでしょう。

0→1フェーズ

プロダクトをリリースすることや、プロダクトマーケットフィットを達成するための活動が中心となります。そのため、プロダクトをグイグイ引っ張っていける人が求められています。

1→10フェーズ

このフェーズでは、プロダクトを改善し、グロースのためのきっかけを得ることが求められています。それゆえに、プロダクトの改善点を見つけ、そこに対しての施策を継続的に打っていけるタイプが良いでしょう。

10→∞フェーズ

このフェーズにおいては大きめの施策や、他社との連携なども増えてきます。また、それらに伴い社内調整なども増えてくるのが通常です。そのため、いわゆる調整力の強いタイプが求められてきます。

強いPdMは転職市場にいない問題

さて、PdMを採用しようとした際にどのような人をイメージしますか?

私が相談を受ける際によく言われるのは、下記のような人を採用したいという話でした。

・なんらかのプロダクトを成功させた経験がある
・チームビルディング(採用含め)を自身で行うことができる
・開発について詳しく、自身でも開発を行うことができる
・デザインについて詳しく、自身でもデザインを行うことができる
・ビジネスについて詳しく、事業の売上を自身で作ることができる

まだまだ出てきますが、だいたいこんな感じです。

ハッキリ言いますが、こんなレベル感の人はまず転職市場にいませんし、そもそもこれらを全てできる人材は、日本どころか世界でみてもほんの一握りの人材だけです。

さらにいえば、これだけの能力があるならば、どこかに所属するよりも自分で起業する方が勝率もリターンも高く、なによりも自分の好きなプロダクトを好きに作っていくことができ、どこかの会社に所属するメリットは一切ありません

大切なことなのでもう一度言います。強いPdMを採用したい気持ちはわかりますが、そんな人たちがあなたの会社に入るメリットは一切ありません

野生の強いPdMをどう採用するか

とはいえそうは言っても強いPdMを採用したいですよね。

ごく稀にですが、野生の強いPdMがたまたま落ちていて、就職先を探しているケースがあります。それらの多くは下記の3つのパターンに集約されます。

・数億の資金調達をするより、もっと大きな金額を動かせる事業をやりたい
・会社運営の諸々の面倒なことが嫌で起業したくない
・ポテンシャルは高いのに過去の所属会社/事業にに恵まれなかった

つまりは、自分で起業するよりも大きなスケールの事業を今すぐトライできるだとか、面倒ごとに関わることなくプロダクトに集中できる環境および相応の報酬を準備できるのであれば、交渉の余地は生まれるといったところです。

また、例外的なケースとして強いPdMがサービスをクローズした時を狙うという手法もあります。最近ではサービスをクローズした旨のブログなどが書かれるケースも多く、彼らに積極的にコンタクトをしてみるのも良いでしょう。

上記をまとめるならば、運の要素やこれまでの人の繋がりが重要であり、よほどの魅力がない限りは強いPdMを自社で採用することは難しいでしょう。

PdM候補を育てる

そこで個人的にオススメしているのが、強いPdM採用は運と割り切ってしまって、PdM候補を育てる方向に舵を切りましょうというお話です。

地頭が良く他者を巻き込める人であれば、精度はどうであれPdMの役割は一定こなせてしまえるのが実情です。そのため、強いPdMを最初から採用するのは運と割り切ってしまい、PdMの仕事に興味がある若手や、PdMの仕事に必要な経験を積んでいる人がいれば、積極的に起用してみるとよいでしょう。

採用できないといって事業が止まってしまうよりは、育てる方向に割り切ってしまう方が事業としては正しい選択だと考えています。

おまけ 〜良いPdMをどうやって見極めるか〜

良いPdMをどうやって見極めれば良いかということを聞かれることも多いので、私見を記しておきます。

見極めの方法としては、その人が作ったプロダクトを見るということに尽きます。良いプロダクトを作っていれば、その人は多分良いPdMです。それだけです。

ここでの注意点は、その人のプロダクトへの関わり方を具体的に把握することです。ほぼ完成したプロダクトのPdMを引継いだ場合などにおいて、経歴を盛るケースはよく見かけます。また、新規で立ち上げたプロダクトだとしても、後任のPdMが優秀だった場合には非常に完成度の高いプロダクトに見えてしまいます。

そのため、その人がどのフェーズでどこからどこまで関わり、何を行なったのかを具体的に把握するようにしましょう。また、その中で何を考えてどのような施策を行なってきたかを確認するようにしましょう。ここで何かの疑問や不安な点が出てきた場合は盛ってる人なので避けた方が良いです。

なぜなら、その特定の期間においてそのプロダクトについて一番考え尽くした人がプロダクトマネージャーであるのが通常であり、自分が関わったプロダクトについては鮮明な記憶があるのが通常だからです。(あまりに昔すぎる場合は記憶も薄れてしまうので、直近のプロダクトについて聞きましょう!)

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