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フィルムのデジタル化、どうしてる? ~デジカメ編~

 普段フィルムをWEBで使う場合は、前述のようにフラットベッドスキャナを使ってデータ化している。フィルムの命である階調はまずまずだと思っている。ただ、解像感という点では実用上十分だと思いつつも、本当はもっと写っているのになぁと思ってしまう。

 そこで、フィルムをデジカメで撮影してみたらどうかと思い付いた。昔で言うデュープというやつだ。僕の持っているマクロレンズは1/2倍である。でもこのレンズをマイクロフォーサーズのカメラに付ければ等倍マクロという事になる。等倍というのは35㎜フィルムが画面いっぱいに写せるという事だ。

 実はニコンからES-2というデュープ用のキットが販売されている。ただこれはなかなかいいお値段だし、レンズも選ぶ。もっといい加減な方法でも撮れるのではないか。

フィルムへ光を当てるには意外な落とし穴が

 デュープするには、後ろから均等な光を当てる必要がある。ライトボックスがあれば解決だが、あいにく持ち合わせていない。ん?白紙の画像を作ってパソコンに表示させればディスプレイがライトボックスになるのでは?これ誰も気づいてないよね。天才だな。

 早速白紙の画像を表示し、スキャナのフィルムホルダーにフィルムを挟んでパソコンに貼り付けた。これをマクロレンズで撮影。そして拡大再生して現実を知る。そう、パソコンのディスプレイというのは赤緑青の光の三原色を使ってカラー表示させている。それ自体はモノクロフィルムなので問題ないはずだが、これをカラーのデジカメで撮影してしまうと、解像度の違いからモアレ模様を発生させてしまうのだ。ディスプレイとフィルムの距離を離すことができれば解決しそうだが、実はフィルムホルダーをディスプレイの枠に載っけているだけなので難しい。そこでかなり安易な方法を思いついた。フィルムの後ろに白いビニールを切って挟むのである。フィルムの絵柄によってはムラが出そうだが、とりあえず試してみると意外といけそうだ。

デジカメを使ったデュープは解像感がいい

 これをスキャナーの画像と比較してみたが、やはり解像感がかなり上がる感じだ。いけるぞ。ただ、この方法には欠点があって、フィルムホルダーを液晶の枠に載っけているので、次のコマに動かすのが面倒くさい。また、レンズの重量によってフレームが微妙にずれるとか、液晶の熱がフィルムのカールに影響しそうだとか、作業中にはパソコンが使えなくなるとかこまごまとした問題がある。そこで、光源をタブレットにしてみた。

 タブレットも三原色を使って表示させているのは同じだが、サイズが小さいので、少し距離を取ればいけるかなと思ったが、やはりモアレが発生した。やはり白いビニールは必要だ。ただ、レンズを下向きにセットできるのでフレームは安定し、ピント合わせも楽になった。

 ちなみにロモグラフィーさんからDegitaLIZAなる商品が出ていて、光源の問題とフィルム送りの問題が一気に解決してしまうようだ。うーむ、これは欲しいな。

 この画像はフラットベッドスキャンとデジカメデュープの等倍比較。解像度が違うので、わかりにくいがご参考に。

左:E-P5デュープ   右: GT-F720スキャン


実際の作業の流れ

 まずカメラを三脚に載せて下向きにセット。ちなみに僕の使っているカメラはオリンパスのE-P5というカメラ。10年前のカメラだが、画質的には十分だろう。レンズは30年前のちょいカビマクロ。フルサイズ換算180mmになるが、少し望遠の方がフィルムとの距離が取れて使いやすいと思う。

 このカメラは水準器が付いているので都合がいいが、無くても何とかなるだろう。画面に方眼が出せると水平が取りやすい。感度を最低に固定して、必ずRAWで撮ろう。ケーブルレリーズがあるといいが、無ければセルフタイマーで。最近の機種ならスマホでシャッターを切ってもいいかもしれない。パソコンにつないで撮影ができるカメラなら一番良さそうだ。

 パソコンに取り込んだら、僕の場合はDNGに変換してフォトショップまで持っていく。このあたりのやり方は人それぞれだと思うが、重要なのはトーンカーブをいじるまでは8bitに落とさないようにすることだ。

 僕はカラーネガをあまり使わないのだが、カラーネガはベースにオレンジの色を付けてあるので、色の調整が難しい。そこでバックライトのタブレットに少し青みがかった画像を表示させて、オレンジをある程度中和させて撮影すると調整しやすくなる。フィルムの露光していない部分がグレーになるのが理想だが、ある程度まで近づけておけば後は何とかなる。あまり調整に頑張りすぎるとデジタルっぽくなるので、ネガの柔らかい雰囲気が残るくらいでいいと思う。この写真は20年以上前のフジカラースーパーV100で撮った写真。

OLYMPUS OM-4Ti ZUIKO90mmF2


デジカメデュープの意外なメリット

 実際にデジカメでデュープしてみて気が付いたのは、ゴミがあまり写らない事である。ガラス一枚無いだけでこんなにも違うものかと思う。それともう一つは、大きいフィルムもスキャンできる事だ。うちのスキャナーは下の機種なので、35mmしかスキャンできない。デジカメデュープはその辺が自由である。ハッセルやローライフレックスを使っているという方は是非お試しを。ちなみに僕は祖父の形見であるヤシカフレックスだが、よく写るんだよね。もっとゆるくたって構わないのに。

YASHICA FLEX Yashimar75mmF3.5


 僕のとてもいい加減なやり方でも結構ちゃんとしたデータが作れるので、もっと律儀な性格の人が最近のカメラでやればさらに画質が上がると思う。今までのデータ化で納得がいかない方はぜひお試しを。

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